雑録

芝村裕吏『遥か凍土のカナン』(7)(星海社FICTIONS)の雑感

日露戦争から第一次世界大戦までを描いた架空戦史モノシリーズ最終巻。
印象としてはすごくダイジェストモード。
ロシア帝国の崩壊に乗じて東シベリア共和国を独立させましたよエンド。

1巻では黒溝台の戦い?を丁寧に描いていたのに、最終巻は説明調でさっさと片付く。予想通りメインヒロインのオレーナ嬢は生きており、しかも再会方法がすごく雑。あれだけ日本軍とユダヤのスパイ的な陰謀にリョーゾーが嵌められ、オレーナ嬢がアメリカに拘留されているとか前フリしといて、実はオレーナ嬢は解放されており、向こうからノコノコとやってくるという展開。そしてオレーナ嬢は自らの独占欲のためにジブリールを置き去りにした悔恨から、リョーゾーの前から姿を消したというのに、結局は受け入れて3Pするんですね(ジニは退場)。しかもオレーナ嬢は再開後ほぼ活躍しなかったどころか、セリフすらほとんど無くて残念だ。序盤では下士官の視線である主人公と大局的な視点を持つオレーナ嬢が二人三脚で国造りを目指していたのに、オレーナ嬢が終盤空気になってしまったのでした。1巻のキャッチコピーであった「可愛い一人の少女がいればどうでもよくなる」?(うろ覚え)が最終巻でも登場しましたが、既にレナは少女ではなくなっていたのでした。

最後の祖国防衛戦争は『マージナル=オペレーション』と同じようなノリ。機動的な部隊編成による嫌がらせ風の消耗戦で削りプレイを展開。この戦いがとてもダイジェスト的で、この戦いこそ、もっと描きようがあったのではないかと。おそらくマジオペアフター『空白の1年』のようにスピンオフ的な作品が発売されるのであろうと予想されます。人気が出た作品の続編商法。面白かったところは作中でしばしば唱えられている「文化融合」のところが好き。コサックは交じり合って融けあうというのがコンセプトになってたのが良かった。東シベリア共和国がユダヤとコサックと赤とジャップの混淆になって一つになっていく様子は坩堝っぷりを醸し出していてワクワクした。一方で、あんまり好きではないのが、やたらと作者自身の他作品とクロスオーバーさせようとしてるところ。人気が出たのは分かるけれども、マジオペとはるカナは別作品でいいではないかと。無理やり世界観統一させようとするところに違和感を感じる。