雑録

マブラヴ オルタネイティヴ「佐渡島攻略戦まで」の感想・レビュー

ループモノ・強くてNewGame・並行世界の多世界解釈ナショナリズムの昂揚・架空戦史。
人類が地球外生命体から侵略を受ける並行世界に飛ばされてバッドエンドを体験しループ。
物語は既に周回プレイの状態で始まり、因果律を変えながら地球を救えエンドを目指す。
軍事クーデターまではフツーの良作という感じだが、指導教官が頭から食われてからが怒涛の展開。
特に並行世界から自分の世界へ逃げかえるも因果導体により絶望するまでの流れが「ゼロ年代」の古典。
数多の絶望を経て強さを得た主人公くんは前に進む強さを得るというのがここまでの流れ。

佐渡島攻略までの流れ


  • 強くてNewGame
    • 舞台は戦時下に置かれた現代日本(ただし敵は宇宙人)。インデペンデンス・デイズなノリで宇宙から地球外生命体が侵略してきたぞ!!という展開です。世界観は主に3つあり、ここでは便宜的に世界線α・β・γと置きます。世界線αが主人公くんがそもそもいた平和な現代日本世界線βが戦時下の日本、そして世界線βで主人公くんが死ぬとループが発生して国連軍入隊前まで戻され世界線γが派生します。物語はループした周回プレイである世界線γからスタートします。記憶と知識と身体能力だけはリセットされておらず、主人公くんは地球滅亡を防ぐため、人類のために世界変革に挑戦します。まぁここまではループモノではよくある展開で、強くてNewGameな主人公くんの活躍を眺めることが主眼となります(チームメイトたちを鍛えたり、訓練兵の実技試験において過去の記憶で困難を回避したり)。しかし主人公くんが活躍することで世界を変えていくと世界線βでは知りえなかった世界の秘密や起こりえなかったイベントが発生してきます。



  • 軍事クーデタ
    • 世界線γにおける新イベントが軍事クーデタです(日本史で言えば2.26事件といったところでしょうか)。世界線βの日本には「権威的指導者」が日本のトップにあるのですが、現政権は腐敗しており「国民」を蔑ろにしているとして「権威的指導者」を仰いで皇道派がクーデターを起こすのです。主人公くんたちは国連軍に所属しているのですが、クーデター軍・仙台臨時政府・アメリカ軍の戦いに巻き込まれていきます。主人公くんたちは後方支援の離宮に配属されるのですが、あら大変!なんと「権威的指導者」が地下脱出網を通って主人公くんたちの所へきちゃった☆をしてくれます。そして主人公くんたちはこの指導者を横浜へ移送することが任務となるのですが、ここの場面はナショナリズム全開の描写となっています。主人公くんは当初内戦状態に陥った状態を冷めた目で見ていました。地球外生命体と対峙しているのに貴重な人員・兵器・資源を割いて内戦をしているんじゃねーよと。しかしクーデター軍との抗争の中で「国家」と「国民」と「権威的指導者」と「政府」は違うものであると悟り精神的成長を果たしていきます。また理屈では割り切りながら自分で手を下せない弱さを持っていた主人公くんはナショナリズムとか国家意識とかノビレスオブリージュの精神に感染し、自分のアイデンティティの根源を獲得。無事クーデタは鎮圧されます。



  • 指導教官が頭から丸かじりされる事件
    • ここから面白くなります。軍事クーデタ後、周囲から実力が認められ始める主人公くん。しかしながら演習中に突如地球外生命体に襲われ対処に手間取ります。薬物投与された主人公くんは発狂し、武装もないまま演習用装備で暴走してしまいます。結局のところ、地球外生命体は駆除されたのですが、落ち込む主人公くん。軍事クーデタで褒められていい気になったが故に、地球外生命体との戦いで醜態をさらしたことを悔いていたのです。そんなナヨナヨする主人公くんに指導教官がアドバイス。色々自分の恥体験などを交えて励ましてくれるのですが・・・主人公くんが振り向くとそこには残存していた地球外生命体がおり指導教官の頭を貪り食っていたのです。主人公くんはこれまた発狂。身近な人の死に打ち勝てなかった主人公くんは、ついには地球防衛も人類保護も投げ捨て、世界線αに逃げ帰ってしまうのでした。



  • 並行世界でゼロ年代(ONEとかそれ散るなど)
    • 世界線αに舞い戻った主人公くんは指導教官の転生元型であった担任の先生に泣きつき、甘え、励まされ、立ち直ります。しかしそれは悲劇の序章に過ぎませんでした。なんと並行世界を行き来する主人公くんは因果導体となり世界線γの事象を世界線αに持ち込んでしまうとのことでした。故に世界線γで死んだ指導教官の因果を背負った担任教諭は死亡してしまいます。自分のせいで担任を殺したことを悟った主人公くんはこれまた精神崩壊。
    • 何回精神崩壊すりゃ気が済むんやねんと思うプレイヤを尻目に今度はゼロ年代展開が始まります。つまりは因果導体としての役割を持つ主人公くんを、周囲の関係者が次々に認識できなくなってしまうのです。これまで主人公くんに好意を寄せていた同居人から存在忘却された時の絶望感の描写では「ゼロ年代」やなぁノスタルジック!!と思わずにはいられません。ここで存在忘却に抗うのはいつだって幼馴染パワー。並行世界の他世界解釈を心を許した人たちに告白できなかった主人公くんにとって自分のはなしを信じてくれる幼馴染は至高の存在だったのですね。そしてどんなにか幼馴染が自分の事を想っていてくれたかを知ります。はいしかしここでお約束。ついには幼馴染も存在忘却しちゃって主人公くんのことを名字で呼び出します。絶望感半端ないですね。
    • そして因果導体の特性により、担任の先生死亡に続いて愛する幼馴染も天井からつるされていたバスケのゴールが落ちてきてぺしゃんこに。悔いる主人公くんは精神的成長を果たし、世界の根源の謎に迫る決意をします。世界線βにおいて主人公くんをループさせている原因を取り除けば、世界線は収束し、αの世界は分岐する前に時間軸が巻き戻り、担任の先生の死や幼馴染ぺしゃんこは回避できるというのです。主人公くんは世界線γに舞い戻り並行世界の謎を解いていくことになります。



  • オルタネイティブ1〜5
    • 世界線βでは地球外生命体に対してどのような対策がとられてきたでしょうか。その対策がいわゆる「オルタネイティブ」シリーズなわけです。高度な科学を持つ地球外生命体とはコミュニケーションができるに相違ない。と、いうことでオルタ1では地球外生命体のコミュニケーションの手段を解析し、オルタ2では地球外生命体を捕獲しその生態を研究、オルタ3では思考リーディングを目的とした人工ESP発言体の生育を行います。オルタ4が主人公くんたちが実行しようとする政策。オルタ5は宇宙船を開発して地球を放棄し、超高性能爆弾で焦土化する計画です。物語のカギをに握るのがオルタ3で製造された少女。思考リーディングができる超能力者を生み出すため、人工授精による試験管生殖が行われ数多のデザイナーズチャイルド作られました。そのひとりがたびたび主人公くんと交流を重ねるウサギ系少女なのでした。
    • 並行世界には世界線αの人物たちが世界線βにも出てきていましたが、主人公くんの幼馴染だけはでてきません。幼馴染はつらい戦争に巻き込まれなくて済むんだと主人公くんは考えていました。またウサギ系少女が幼馴染の行動パターンを取ったりするので、ウサギ系少女=幼馴染ではないのかと思ったりもします。しかし現実は過酷であり、幼馴染は地球外生命体に捕縛された際、脳と脊髄だけになっていたのです。その脳と脊髄は後に回収されるのですが、主人公くんの上司により改造され非炭素系擬似生命体にされてしまいます。主人公くんが目指すオルタネイティブ4とは主人公くんの幼馴染の脳と脊髄を利用した非炭素系擬似生命体に地球外生命体の思考リーディングをさせることだったのです。また最終兵器彼女よろしくこの非炭素系擬似生命体の幼馴染は地球外生命体を蹂躙できる能力を保持していたのです。



  • 佐渡島攻防戦
    • 非炭素系擬似生命体幼馴染を手に入れた国連軍は、地球外生命体の巣に反抗作戦を仕掛けることになります。国連軍と日本軍により攻撃される佐渡島。主人公くんたちに任務は、幼馴染に地球外生命体の思考リーディングをさせること。数多の兵士が地球外生命体との戦いで犠牲となるなか、ついに幼馴染が始動し荷電粒子砲で敵を薙ぎ払っていきます。しかしここで事件が発生。なんと主人公くんは「世界線γにおいて他のヒロインとの別√をたどった並行世界の残滓」を想起し、幼馴染以外とセクロスしている場面が頭によぎってしまうのです。幼馴染は改造され思考リーディングできるようになっているわけですから、さぁ大変。主人公くんへの愛情により自己を制御していた幼馴染は情緒不安定になり、せっかくの荷電粒子砲も2発しか打てなかったではありませんか。また幼馴染を救出する際に、同隊員を2名戦死させてしまい、佐渡島はリーダーが自爆したことで吹っ飛ばされてしまいました。主人公くんは並行世界で自分が他の女とセクロスしたことが今回の戦死を招いたことに苦悩します。しかし非炭素系擬似生命体に恋愛や嫉妬などの感情が芽生えたことに上層部は喜び、また思考リーディングにも成功したため、朝鮮半島、続いて地球外生命体が地球において増殖の根拠地としている拠点に攻め込むことが決定されたのでした。