サクラノモリ†ドリーマーズ「ヒデサン√」の感想・レビュー

児童虐待がテーマ。徹底してネグレクトされたため、暴力されることを幸せに感じた男のはなし。
攻略ヒロインって何?という感じ。ほとんど活躍せず、いる必要性が全く感じられない。
むしろラスボスに辿り着くまでのかませとなる男性陣の方がよっぽど人物像が掘り下げられている。
そして幼馴染最強伝説であり、シナリオの踏み台にされ、話の流れ的に死亡させられたが最重要キャラ。
さらに主人公くんに寄生する左腕の「ヒダリー」こそが相棒であるとも思えるかもしれない。
ヒデサン√は和服黒髪√なのだが、和服黒髪はまったくといっていいほど空気でした。

雑感


  • 育児放棄されるヒデサン
    • 物語のラスボスとなるのはヒデサン。彼はどこの誰の種かも分からずいらん子扱いされていました。父親はまだ理解があったのですが問題となるのは母親の方であり、徹底的に無視され続けてきました。育児放棄された幼少期のヒデサンはそれでも母親に存在を認識してもらおうと、薄気味悪い笑いを浮かべるようになります。母親はそれに耐えられず暴力をふるうのですが、ヒデサンにとってはその虐待が母親とのコミュニケーションだったのです。やがて母親は生活に耐えられず無理心中をはかるのですが、父親は殺してもヒデサンは殺さなかったので、ヒデサンは自分が殺されなかったことに母親からの愛の喪失を感じずにはいられないのでした。どうして自分を殺してくれなかったの?と。そんなわけでからっぽになってしまったヒデサンは、孤児院で職員に掘られたりして悲惨な体験をするのですが、ある時定年間際の刑事から聞いた「人には役割がある」という話を曲解してしまいます。



  • ヒデサンが主人公くんに求めたもの
    • 正義のヒーローが成り立つには敵が必要であり、自分は悪となり、それに殺してもらおうというのです。しかし誰にでも殺されていいのではありません。ソウルメイト、魂が惹かれ合う存在でなければならないのです。ヒデサンはそれを主人公くんに求めます。主人公くんは飛行機事故で両親を亡くしておりヒデサンに近い存在だったからです。ヒデサンは自分を殺すのにふさわしい存在として主人公くんを成長させるため、主人公くんの幼馴染を殺害します。物語の終盤になるまで幼馴染は死霊として主人公くんと行動を共にするのですが・・・。幼馴染は主人公くんが殺しをするのを望んでいないため、最終局面でヒデサンを殺すか殺さないかの選択肢がでるのですが、ぶっちゃけどっち選んでもそんなに変わらない。殺せば殺したで平和になり、殺さないとヒデサンは閉鎖空間に閉じ込められることになり平和になる。