雑録

消費者がシナリオを語るという行為について

  • 消費者行動について 作品内部における指摘
    • ハローレディーという作品の中にサブカル趣味のヒロインが登場する。その少女が語った「消費者意識」は記憶に残るものだった。曰く、消費者の趣味嗜好が多様化している今日において、自分の好みに合うジャンルを創り出す供給者を探しだすことは消費者の務めであると。そしてその能動的な消費活動が供給者サイドを育てることにつながりジャンル全体の活性化が起こるのだと。
    • はるまで、くるるという作品の中で古典系読書好き少女が登場する。そのヒロインが読書の楽しみを語る際に、作品を読んで楽しむのはもちろんのこと、それについてあーじゃねこーじゃねと感想を言いあうことの方がさらに楽しいのであると述べる。つまりは作品を語ることの楽しみを唱えているのだ。
  • 消費者行動について 自分の私的な事例
    • 私が作品の感想を書くのも、読んだ作品の内容を忘れないようにしておくという目的が大半ではあるが、それだけではない。かつて先人の皆さんが書いていたゲームプレイ日記などを読んで影響されたことは否定できない。作品の主題・テーマは何か、シナリオの流れや構造はどうなっているか、メッセージを伝えるためにキャラクターをどのように配置しているのか、伝えたいこと(抽象)のために使用される具体的な題材は何かなど、読んでいて楽しかったので、私が感想を書く時にもそのようなことがわかるように書いている。
  • はい、ここから図書館利用に関するはなし。
    • 私は事務作業と部活指導と生徒指導以外はほぼ全て教材研究と授業準備に時間を費やし、残った時間で岩波講座とか山川の大系とかを読んでいる。が、飽きる。物憂くなると朦朧と図書館の開架へ行き、適当に古典だのラノベだの漫画だのを漁るのだ。図書館の本だとシリーズものは借りられていて最初から揃っていないことが多々あるが、私はそんなことは気にならない性質である。適当にペラペラめくって突如中盤から読み始め、ある程度気晴らしになったら最後まで読まずに棚に戻すとかよくやる読書スタイル。借りても読まずに満足し、適当に積んでおいて司書から3日前なんでそろそれ返せメールをもらって返却するとかもよくやる。
  • で、ここからラノベ人類は衰退しました』のはなし。
    • 図書館でラノベを漁るのは少し背徳感を感じるね。この日は人退をたまたま手に取った。この作者はすごく有名らしい。普段ライターの名前なんぞほとんど気にしない私でも知ってるレベル。かつて読んでいたwebサイトでもゲームプレイ日記が書かれていたのを眺めたことがある。家族ゲーの金字塔「カゾクケイカク」とか不治の病系イモウトで有名な「カナ」とか、サブカル系論文でやたらと引用される「クロチャン」とか。いつかはやらなくてはなぁと思いながらも自分ではやったことのない作品たちに思いを馳せながら人退とやらの10巻?(本編後の短編集か?)をペラペラとめくった。
    • そしてタイトルに戻って消費者がシナリオを語る行為についてのはなしをみつけたのがこのとき。人退を読んでいたら、その作者が自分を語るページがあって、そこでゑ口ゲェシナリオライターとしてデビューした時のことを述懐していたのだ。
    • 作者の引用
      • 「物書きになろうと思ってたどり着いた新天地、エロゲー業界。そこでブラック働き(自主的に会社に泊まることで恭順の意を示すいやらしき行為)や下積み(企画者がシナリオ未完成のまま退職したシナリオを完成させること)を経て、ようやく純粋に企画・シナリオを任せてもらえるようになったわけですが、このデビュー作が当時パソコン掲示板(インターネットは普及していなかった)で一部話題になったことがありました」
      • 「この「ユーザーがシナリオを語る」という行為に、私けっこうな衝撃を受けました。口コミの概念が存在していなかったので、ユーザーの感想を気にするという意識そのものが存在しなかったんです。評価というものは売り上げのみで判断でき、意見や感想は運が良ければアンケートはがき等で確認できることもある、くらいの認識でした。だからパソコン通信でリアルタイムの感想を目にするのはとても刺激的な体験……」
    • 以上のように消費者の行動がクリエイターに影響を与えていたことを具体的に示す一事例であり、冒頭で取り上げたハロレが指摘していたように、消費者も消費者意識を持つことが大切なのだなぁとか思ったりしたのでしたとさ。