シュヴァルツェスマーケン 殉教者たち「アイリスディーナ√」の感想・レビュー

2.26事件的な展開。戦術機同士の戦いでは最後まで決着がつかず、面制圧の砲撃を食らってエンド。
アイリスディーナとベアトリクスの友情ゆえのすれ違いがテーマだが、あまり深くは語られず。
テオドールとアイリスディーナの情交もあまり描かれず、アイリスは植物人間となる。
内戦後、東ドイツでは何も問題が解決せず、東欧連合建設の計画も、官僚の権力争いに転化する。
消化不良に感じられるなかで、トートツにエンディングを迎えた感が強い。

概要


  • 2.26事件的な展開
    • 国家保安省内部にベルリン派とモスクワ派がいて、ベルリン派にクーデタを起こさせて反対派を粛清させた後、モスクワ派がベルリン派を殲滅し、実権を握った。この内容を読んでいて感じたのが、2.26事件との関連性。陸軍には皇道派と統制派がいて、皇道派がクーデタを起こすも、叛乱軍扱い。この後、陸軍では統制派が権力を握り、発言権を強化させていくというようなノリ。
  • ヒロイン全員退場
    • リィズは国家保安省の二重スパイ。最終目的は兄を救うことのみだが、ベルリン派とモスクワ派をいったりきたりしながら綱渡りをする。リィズはベルリン派のトップであるアクスマンを殺害、モスクワ派のベアトリクスになびく。アイリス√での役割はベルリン派とモスクワ派の上に立つシュミットを殺害する機能を果たす。自らの命と引き換えにメガンテするのであった。
    • カティアは民衆に革命を起こさせる導火線の役割を担う。基本的にカティア√と同じ。違うのは、アイリス√ではカティアはテレビ放送で演説を行い、西側の支援を引き出したのちに、砲撃を受け死んでしまうことである。
    • アイリスは植物人間状態となる。最後までベアトリクスとの決着はつかない。ベアトリクスはアイリス自身が殺害した兄の元・恋人であったことが判明する。この兄の死を契機に二人は道を違えることになる。アイリスの思想とベアトリクスの思想はもう既にカティア√で語られてしまっているの新規性はない。テオドールもアイリスのために何かできたわけでもない。