枯れない世界と終わる花「コトセ編」の感想・レビュー

自己の死を正当化すべく、友情のために自己犠牲死して、感情の欠落を取り戻させるはなし。
流行り病から逃れるため人間のコトワリから逸脱して世界を維持する天使となった少女を解放せよ。
主人公くんが最初に救済するのは信号機ヒロイン(赤・青・黄)のうちの長女(青髪)のコトセ。
コトセの救済劇を通じて、世界観の設定とヒロインたちの役割が回収されます。
コトセが尊敬する作家先生が、自らの命と引き換えに綴った小説でコトセを救う友情モノです。

概要


  • 世界を維持する天使の役目
    • コトセたち喫茶店メンバーズは元孤児。教会に収容されて日銭を稼いで暮らしていました。コトセはもともとは上流階級出身だったことが匂わされており、教会に来た時には生きる気力を無くしていました。そんなコトセを孤児仲間たちは温かく支えていきます。それらの献身はやがてコトセの心をうち、徐々にコトセを回復させていったのでした。しかし、その後、運悪く流行り病に感染してしまいます。コトセたちは生きることを望むのですが、死という運命から逃れるためには、人間のコトワリから外れるしかありません。コトセたち孤児仲間は世界を維持する天使となり生きながらえることになったのでした。しかし代償はつきものであり、天使の異能を保持したコトセたちは余計なものを組み込んだ分、何かを捨て去らなければなりませんでした(コトセの場合はそれが「悲しい」という感情)。さらに世界を維持する天使の役目というのは、人間の命を吸い取り対象を花とすることだったのです。そのうえ、天使の役目は自身をも削ってしまうため、コトセはもう既に限界が近い状態でした。



  • 作家先生の友情物語
    • コトセが最後に命を吸い取ることになったのが、友人の作家先生:マヤでした。一方でマヤは自分が生きた証として、コトセを救いたいと願うようになります。それがマヤの自己の存在証明。マヤができることは小説を綴ることであり、コトセの心をうつ作品を書き上げることができるかどうかが焦点となります。マヤが書いた作品は、コトセとマヤの関係をメタファーとしたものでした。友情と自己犠牲のはなし。そして最後に物語の終わりをコトセ自身が綴ってくれと遺言として残して散っていきます。こうして諦念にかられ、世界の仕組みだから仕方がないと感情を殺していたコトセは、運命に抗うことを望みます。ヒロインの自発的意志が発現することではじめて、主人公くんはヒロインを役目から解放することができるのです。以上によりコトセが背負っていた天使の役目を回収することに成功し、運命の軛から解き放ちます。主人公くんはコトセの咎を背負うことになりましたが、コトセは救われたのでした。