枯れない世界と終わる花「ユキナ編」の感想・レビュー

母娘愛と二段階裏切りに関するおはなし。
幼少期、他者を信じられず孤独に陥ったユキナは修道院のシスターの愛で救われた。
しかし今度は信じたシスターに裏切られたと思い込んでしまうのである(ホントウは裏切られてない)。
故にユキナは他人を信じられなくなってしまうのであった。
そんなユキナにシスターの真相を知らせて「しんじるこころ」を取り戻させてあげましょう。

概要


  • 人を信じられない幼女が改心するはなし
    • ユキナは浮浪児(≒ストリートチルドレン)であり、盗みを働いて暮らしていました。ユキナは幼くして労働を嫌い、あくせく働く主人公くんたち教会の孤児を見下していたのです。そんなユキナに対し、教会孤児たちは隣人愛で接していきます。これまで無償の愛に触れたことがなかったユキナは戸惑うばかりでした。ユキナは親に捨てられた経験から他者を信じることができなくなっていたのです。そんなユキナの心を溶かす直接のきっかけとなったのが教会のシスターであるショウの存在でした。人を疑ってしまうユキナをシスターは熱い抱擁で包みます。純粋無垢な幼女に人間社会の暗黒面を見せつけ絶望させてしまったことを詫び、もう一度人を信じてほしいと訴えるのです。このシスターの愛に触れたユキナは改心し、教会の孤児メンバーズの一員となるのでした。



  • 物語の世界観構築と二度目の裏切り
    • 本作の世界観の設定は、天使として選ばれた存在が、人間を花に変えることで世界への供物とし、世界の維持を図っているというものです。教会のシスターはこの天使の役目を果たす存在だったのです。この天使の役目は消耗が激しく、ついにシスターにも終わりの時がやってきます。この時、きちんとした別離をしなかったため、教会孤児たちはいつまでもシスターを待ち続けることになってしまったのです。いくら待ってもシスターが帰ってくることなどなく・・・教会孤児たち、とりわけユキナは自分たちが捨てられたと思ってしまったのでした。ユキナは裏切られて人間不信になったあと、やっとのことで信頼できるようになったシスターに、またしても裏切られるという形になってしまったのです。ゆえに、ユキナは表面上は他人とうまく接しているものの、決して誰も信じてなどいなかったのです。



  • 母娘愛としんじるこころ
    • そんなユキナを再びオープンハートさせるのが我らが主人公くんの役割さ。コトセ編で出てきたサブキャラと同じ構造で、ユキナ√にもヒロインに転向をもたらす契機となるサブキャラが登場します。このサブキャラによりユキナは母娘愛を提示されて精神を苛立たせるのです。こうしてユキナの感情を揺さぶらせた主人公くんはユキナに天使の役割を捨てたいと心から思わせることに成功します。そして主人公くんはユキナに天使の役割を終えた後の亡骸(=シスター死去後のむくろ)を見せるのです。こうしてユキナは自分を捨てたと思っていたシスターが実は全然そんなことはなく、しかも自分たちと同じように天使の役目に苛まされていたことを知り愕然とします。こうしてユキナは真実を知り、自分が裏切られていなかったことを確信するに至り、信じるこころを取り戻すのでした。