グリザイア:ファントムトリガー(Volume2)「レナ√」の感想・レビュー

チャイルドソルジャーズ列伝。今回の国防装置少女は銃撃格闘特攻少女レナのはなし。
臓器輸送争奪戦を軸とするアクションシーンとストリートチルドレンの悲哀がメイン。
敵対するロシアンマフィアの飼い犬はレナの浮浪児時代のイモウト的存在でしたというノリ。
人生の生き甲斐や生存理由、人生観や生き様に関する説教を有難く頂戴しましょう。
あと食事を摂取する描写が秀逸でウマそうに食ってんなーと思わされてしまうし言語ネタも大好き。

レナ√概要

  • レナの過去話〜浮浪児時代とそのイモウト〜
    • GPT第2巻のメインは銃撃格闘特攻少女レナに焦点が当てられます。レナは元々浮浪児であり、ストリートチルドレンから生きるためにチャイルドソルジャー養成所に入り、いくつか仕事をこなした後、オークションに売り出されました。当初レナは劣等意識が強く自己肯定感を持てない少女でした。そんなレナをハルトさん(主人公くん)が購入し、手塩にかけて育て上げたのです。以来レナはハルトさんに尽くすことに人生の意義を見出し、仲間のために生きることを人生の目標としたのでした。ハルトさんは自分の死後にはレナを好きに生きさせるよう求めており、未だ主人に尽くすこと以外に喜びを知らないレナに価値観の多様性を学ばせ自分の生きる道を選び取れるように指導しているのでした。
    • そんなレナには浮浪児時代にイモウト的存在がいました。浮浪児時代のレナはアシックスの「a」の字が取れかかっていたのでシックス、イモウトはスタバのゴミ箱漁りをしていたのでバックスと称されていました。孤児であったレナに対し、イモウトは元資産家の令嬢であり一家心中の際に自殺を拒否したので浮浪児となったのです。イモウトはゴミ箱漁りを行うもナワバリを荒らしたとボコボコにされて死にかかっていました。そこを助けたのがレナであり、それをきっかけにスールの契りを交わすのでした。浮浪児が生き残るには殺し屋か娼婦になるしか道はなく、二人は肉棒よりも銃を握る道を選び、チャイルドソルジャー養成所に送られたのです。

  • 臓器輸送攻防戦
    • ハルトさんに買われたレナに対し、イモウトはロシアンマフィアの老翁に買われることになりました。この老翁も悪い人物ではなくイモウトにロシアンマフィアなりの愛情を注ぐことになります。そしてレナ√のメインイベントとなる臓器輸送争奪問題はこの老翁と大きく関わってくるのです。もともと争奪の対象となる臓器は日本国高官が違法スレスレで購入したものでした。それと同時にロシアンマフィアの老翁も死にかけており臓器を必要としていました。そんなわけで仲介業者が3倍の値段でロシアンマフィアに転売することになったのです。こうして臓器を巡る攻防戦が繰り広げられることになったのでしたという展開。まぁこの攻防戦は結局は茶番であり、奪回した臓器も使い物になる状態ではなくなっていたというオチとなります。
    • イモウトはレナとの近接格闘戦に敗れてフルボッコにされた挙句、老翁を失う結果になります。これまでの生き甲斐を失い無意義となったイモウトとハルトさんは会話を交わします。そして始まる過去語りと心情吐露。イモウトは、ロシアンマフィアの老翁が自分の死後のことを「腕時計」に見立てて託していたことなどをツラツラと話します。要するに人生の意義や目的、生き甲斐や生き様に関するおはなし。そしてイモウトは処刑か生存かの選択に際してハルトさん連中の仲間になることを決めたのでしたとハッピーエンド。
    • わりとどうでもいいのですが言語ネタについて。本作のライターさんは言葉遊びのネタが秀逸なのですが(『ドラクリウス』における濁点のはなしや英語方言ネタ、『グリザイアの果実』におけるサチやマキナなど)、今回は外国人に日本の方言をしゃべらせると外国語っぽく聞こえる日本語方言ネタが炸裂しており思わずニヨニヨしてしまいました。