春音アリス*グラム 体験版の感想・レビュー

中二系異能カードを駆使しながらお悩み解決部をするキャラゲー。絵はとても可愛い。
「謎」という漢字にルビを振ってアリスグラムと読ませ「推理」を主軸とするのだが、内容が微妙。
「さすおに」展開が目立ちスカした主人公くんがひたすらヨイショされる場面ばかり眺めることとなる。
被服部が規則を破ったしょうもない理由を主人公くんが指摘しただけで全ヒロインがスタンディングオベーション!
キャラクター造形はとても可愛いがシナリオは粗製乱造品に近く原画集ゲーとなりそうな予感。

雑感

  • お悩み相談部モノってはよっぽど題材を研究しないと陳腐なシナリオになりがち
    • 絵がとても可愛いゲームです。しかし中二系異能カードを駆使しながらお悩み相談部の活動を通してイチャコラするだけのキャラゲーであり、シナリオは陳腐な感じが否めません。二つの生徒会(的な組織)が対立するなかで、嘱託ポジションの主人公くんたちが所属する黄昏部が美味しいところを掻っ攫っていきます。テーマは「推理」を打ち出しているのですが、本格的なミステリーサスペンスなどではなく、すごくしょうもない事件です。体験版では「謎の生物探し事件」を通して登場人物と舞台装置の説明がなされていくのですが、「謎の生物」は猫でしたというオチ。そして被服部の中で発見され無事に捕獲されるのですが、今度は如何にして被服部に入り込んだかというのをヒロインたちと推理ゲームします。「被服部が合鍵作ってました」ということを確認するためだけに大仰なエフェクトが入って黒髪ヒロインが異能を使用します。曰く、被服部は合鍵を作って部室を使用しており、施錠をし忘れたところ猫が入り込んでしまい、その後に鍵を閉められたというオチ。

  • 「さすおに」展開
    • そしてここからが「さすおに」展開となります。「さすおに」展開とは「」「さしたる理由もないのに主人公くんが周囲から賞賛される」というシナリオ記号のことを指します。本作の主人公くんが与えられた異能カードは「一つ上の段階の推理ができる」という異能であり、主人公くんは自信満々に以下の趣旨のことを主張します。被服部が規則違反をしたのには重々酌量の余地があり、彼女らは大事なデザインコンペのために日夜泊まり込んでいたんだ!故にただ罰するのではなく考慮が必要である云々。こうして主人公くんの推理?を聞いたヒロインたちはスタンディングオベーションで主人公くんを称賛します。チャラい系の主人公くんなので、彼を受け入れられるかどうかがプレイヤーに問われます。私は読書をファッションのように捉えて表面的な知識をひけらかしている時点で、この方は目で文字を追ってるだけで、著者の思想とか叙述対象とか全然考えてないなと感じてしまい無理でした。
    • 物語の原動力となるのは二つであり、「分かりやすい敵対勢力であるもう一つの生徒会的な組織と如何に戦うか」と、「提示される学園の謎を如何に解き明かすか」という異能推理ゲーです。当面の課題として、文化祭的なイベントが設定されています。果たして主人公くんたちは異能カードを駆使しながら提示される謎を推理し、敵対勢力に打ち勝ち文化祭を成功させることができるのでしょうかというところで、体験版はお開きとなります。