『ChronoBox -クロノボックス-』の感想・レビュー

二重人格障害者モノ。欲望剥き出しで倫理観のない狂暴なもう一つの人格を抹消させるはなし。
『Re:LieF』や『アぺイリア』と舞台装置は同じ。前半は仮想現実で主人公くんの意識下の世界だったよオチ。
シナリオの終局部における世界観のネタ晴らしは多少は面白かったけれども、前半戦は完全に茶番。
主人公くんがもう一つの人格を殺し尽くすためのループであるという構造だから仕方がないが微妙。
比較的面白く感じる後半もスプラッタ、バイオレンスなエログロで猟奇的に惹きつけているだけ感がある。

二重人格において、もうひとつの非主人格を消滅させようとする話


  • 障害者たちの隔離施設
    • 主人公くんたちは障害者を抱えており、そのトラウマから自我を守るために別人格を作り出しました。この別人格が問題となっており、極めて嗜虐性の強い残忍な傾向を持っていたのです。そのため主人公くんたちは島ごと隔離施設なっている学園に閉じ込められ、脳神経科のモルモットとされていたのです。隔離施設では脳波チャイムと投薬により別人格を抑え込み、経過が観察されていたのですが、ある時痴情のもつれから事件が発生してしまいます。主人公くんは航空機事故の生き残りであったのですが片目、声帯、片腕、性器を喪失し火傷まみれとなっていました。そんな主人公くんはなぜか学園の中ではモテモテであり、競争が激しかったのです。それ故、主人公くんを勝ち取るために別人格を利用することを思いついた少女が出てきます。彼女は絶対音感により脳波チャイムを打ち消すリズムを開発し、別人格を呼び起こします。呼び起こされたもうひとつの非主人格は、これ幸いと主人格を封じ込め身体を乗っ取ってしまいまうのでした。


  • メインヒロインいじめ
    • そこへ健常者であるメインヒロインが隔離施設に送り込まれます。それは研究主任が新たな実験テーマとして障害者たちに健常者を混ぜたらどうなるかをサンプリングするためのものでした。研究主任はメインヒロインである自らの娘を隔離施設のモルモットに捧げたのです。メインヒロインは親に構ってもらえず孤独であったので、自分が親に必要とされていることに承認欲求・他者受容願望が満たされ嬉々として生贄となるのでした。メインヒロインは速攻で主人公くんと仲良くなるのですが、それが女たちの怒りを買うことになります。そしてメインヒロインが健常者であることも速攻でバレて残虐なイジメの日々が始まったのです。


  • ルルーシュオチ(対象を救済するために自らを主人公くんに殺させるパターン)
    • 運が悪かったことには、サブヒロインたちの主人格が非主人格にとって代わられていたことであり、残忍卑劣なイジメが繰り返されます。こうして非主人格の恐ろしさを知ったメインヒロインは、主人公くんもまた非主人格を抱え込んでいることに気づくのです。イジメにあう境遇と主人公くんへの愛はメインヒロインをして残りの命の使い方を考えさせます。メインヒロインは主人公くんの非主人格を消却するため、自らを殺させるのです。その理屈は次のような感じ。非主人格は残忍であるけれども人格として認められているので強制的な抹消は禁じられているが、極めて重度の残虐性を示す場合は物理的に消してもかまわないのだと。すなわちメインヒロインは自分を主人公くんの非主人格に殺させることで、主人公くんの非主人格が残忍であるという判定を出させ、それを消去してもらおうとしたのでした。メインヒロインの目論見どおり主人公くんの非主人格はメインヒロインを殺します。


  • 死体損壊タイム
    • しかしそれでは終わらず、非主人格に乗っ取られたサブヒロインたちが、メインヒロインの死体を弄ぶのです。かたわである主人公くんが喪失している部位と同じところを切断してしまおうというのです。さらに鎖で吊るしあげた挙句、首を落とし、さらにはその首をカニバリズムときたもんだ。そして死体に精液をぶちまける。エログロここに極まれり。当然これらの行為は当然隠しきれるはずもなく、サブヒロインズの非主人格も抹消されることになりました。結果として、残忍な非主人格を一掃できてよかったじゃんという展開ですね。


  • シナリオ構造とエンド分岐
    • そしてこの各位の非主人格の抹消の手段とされたのが、シナリオの前半で描かれた主人公くんの意識下における仮想現実ライフだったというわけさ。どんなに非主人格を消去したとしても脳の中における残滓は完全には消し去ることができない。だったら極力消去し尽くせるまで消去し尽くそうではないかということで、仮想現実をループさせながら残虐体験を強いさせていったというオチになります。こうしてメインヒロイン殺害事件を通して主人公くんとサブヒロインズは非主人格を抹消できたわけですが、ここで今後主人公くんはどうするかでエンドが分岐します。仮想生活の中においてメインヒロインとの情交に救済を見出すか、それとも死ぬか。1周目が仮想メインヒロイン依存エンド。未読シナリオを回収すると主人公くん死亡エンドを迎えます(明確に自殺しているわけではないが、メインヒロインと並んで机の上に花が飾られることから死を選んだと類推しても良いかと思います)。