空に刻んだパラレログラム「夏季2軍トーナメント第2戦」の感想・レビュー

チームメイトの信頼関係がテーマ。目的意識バラバラの部員をどのように統合するか。
楽しくやりたいからと1軍を蹴った主人公くんの妹の玻璃が何故だか勝ちに拘りだす。
しかし玻璃はその理由を述べることができず、チームに不協和音が轟く。
最初は楽しければ良かった玻璃だったが、全国優勝の特典に目がくらんでしまったのだ。
その特典を使えば、選手生命を絶たれた兄を治療してくれるかもしれない・・・
他者を信じて自己を曝け出すことで初めて信頼関係が構築される。
玻璃の目的を知ったチームは一丸となり、見事勝利を収めるのだった。

夏季2軍トーナメント第2戦 VS唯我独尊チーム

チームメイト間の信頼関係の構築

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  • 病気で長時間プレイできない幼馴染(里亜)が、楽しく競技するために結成したチームなのに、それに賛同して1軍を蹴ったはずの妹(玻璃)が勝利至上主義になっており不協和音発生!
    • 夏季2軍トーナメント第1戦でスランプを克服したほたる先輩。選手ではなくコーチとして主人公くんのチームを育成しようと1軍から2軍へ自ら降格し、主人公くんのチームのコーチとなります。しかしほたる先輩がコーチだけでなく、選手登録してベンチ入りしていたため、チームに衝撃が走ります。その理由は、里亜が長時間競技できない病気であったこと。勝利を目指すためには里亜が控えに入り、ほたる先輩が出場した方がいいに決まっているのです。
    • ここでイモウトの玻璃がイキナリ勝ちにこだわるようになったため、チームは空中分解します。そもそも玻璃は1軍を蹴って2軍に来ていました。もともと主人公くんは1軍で勝利を目指す玻璃のために戦略眼や戦術指南、コーチング技術を身に付けて支援しようとしていたのでしたね。しかし玻璃は、2軍で幼馴染の里亜のチームに入り楽しく部活をする方を選びます。それなのに、どうしてイキナリ勝ちを目指すようになってしまったの?勝ちたいなら1軍にいればよかったじゃない?この疑問に対し、玻璃は答えず、チームメイトを信頼せず、自分の活躍で敵チームに勝てば全て問題は解決すると息巻き、独善的なプレイを連発します。さらには里亜が役割を満たせないことを前提としたプレイをしてしまうのです。これによりチームは完全崩壊さ。
    • ハーフタイム中、改めて勝ちにこだわる理由を聞くと、全国大会の優勝特典について聞かされます。全国大会に優勝すれば、その褒美として色々な優遇措置を受けられるのですが、世界最高峰の治療をも受けられるとのこと。さすれば、選手生命が断たれた主人公くんも復活し、もう一度競技ができるのではないかと考えたのです。このことをチームメイトに告げると連帯感が生まれます。腹を割って話そう。相手から信頼を得るためには自らの弱さを曝け出す強さが必要なのです。
      • 勝利至上主義になった玻璃が、1軍ではなく里亜のチームに留まるのは矛盾かもしれません。しかしここで里亜のチームに拘る理由が説明されます。かつて主人公くんは勝利のために幼馴染チームを捨てて新しいチームに入ったのですが、この時玻璃は見捨てられた・置いていかれたという惨めな気持ちを味わったと。そのため自分が同じことをチームメイトにしたくないというプチトラウマがあったことが紹介されています。
    • こうしてわだかまりのなくなったチームは、徐々に連係プレイを発揮していき、敵チームを撃破!第2戦にも勝利します。しかしこの代償は大きく、里亜は今大会に出場し続けることはできなくなってしまったのでした。

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敵チームの事情

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  • 唯我独尊チーム
    • 本作では自分のチームだけでなく、相手チームも詳述し、部活あるあるというか、部活でよく発生する問題点を扱っております。今回の主題は強すぎる自我と個性です。メインとなるのは遊佐硝子であり、彼女は我儘で自分勝手、世界の中心が自分でなければならないという思考の持主でした。それ故チームプレイでは苦労することが多く、チームに入れてもらっては出禁をくらい、別のチームを求めて彷徨うことを繰り返していました。中学3年間はそうしてレギュラーになれずに時間を無駄にすごしてしまうのです。そんな硝子を見かねた矢継才加は、チームに馴染めないのなら自分がチームを作れば良いとアドバイス。自らもチームに参加することを提案します。そしてもう一人のメンバーとして選ばれたのが、これまた戦闘狂で行く先々でチームを追放された姉崎航太。体験版ではスピード狂のような印象でしたが、戦闘大好きっ子でした。こうしてワガママで自我の強いお嬢、戦闘狂、それを束ねる裏の支配者の3人がチームを結成します。唯我独尊だからこそ、社会からはみ出してしまったものたちの叫びを聞け!

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