雑録

ルリのかさね「いいちこ√」の感想・レビュー

孤児院育ちのバイト戦士女子大生がアイデンティティの確立に悩む話。短め。
バイト戦士だったのは資本蓄積をすることを通して自分の存在証明をするため。
しかし溜まった預金通帳を前にした時には、単純労働しかしてこなかった自分には何もないと知る。
幸せに手を掴めなくなってしまった少女を見た主人公くんは少女の手を掴んであげてハッピーエンドとなる。
これもある種の俺と一緒に生きろ!エンドかもしれない。

いいちこのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • バイト戦士と自己の存在証明
    • いいちこはバイト戦士。通帳にカネが溜まっていくのを見てニヤニヤします。ありとあらゆるバイトをこなすいいちこは、主人公くんに対し社会的経験値を積むためと述懐します。ではなぜいいちこは社会的経験値を欲していたのでしょうか?それはいいちこが孤児院出身に起因するものだったのです。逆境に対し自己の存在証明をするためには、拠り所が必要であり、いいちこが依存したのは資本蓄積と職業経験だったというわけです。しかし多様な社会経験を積んだと称するいいちこでしたが、様々なバイトと言っても、それらは結局誰しもすることができる単純労働でしかなかったのです。つまりは代替可能な都合の良い労働力。いいちこは、自己の存在証明を労働に求めていたのですが、資本蓄積に成功しバイトを辞めた後で、過去の自分が働いた場所を振り返ってみても、そこには別の人が自分がやっていた仕事をやっているだけで、労働の代替可能性を思い知らされてしまうのです。これにより「別に自分じゃなくても良いじゃん」というアイデンティティ拡散の危機に陥り、心が弱まります。そんな心の隙間を埋めてあげるのが主人公くんであり、いいちこに手を伸ばすのでした。いいちこはこれまで手を伸ばして必死に存在証明してきたわけですが、努力は水泡に帰し、手を伸ばして掴むことに疲れてしまいます。そんないいちこの手を掴んであげましょう。こうしていいちこは主人公くんと一緒に過ごすことに存在意義を見つけることができたのでしたエンドを迎えます。