史料判読能力養成講座001 古文書について

1:資料と史料

(1)様々なシリョウ
  • 文字シリョウ(製本・絹本・金石etc)、
    • 手稿本(手書き)、
    • 版本
      • 板本と活字本
  • 図像シリョウ → 絵巻物など
  • モノシリョウ → 物質 玉虫厨子弥生土器など
  • 口承伝承 → オーラルヒストリー
  • 景観 → 屯田兵村など

2:文書と記録

(1)文字は文書か記録に分けられる。
  • 文書というのは、宛先と差し出しがある、
    • 手紙は差し出しと宛先があるから文書。
    • 領収書なども文書。卒業証書も文書。
  • 記録とは

問い:以下のものは文書か、記録か。
メール→差出と宛先があるので文書。
ブログは→ないので、記録

  • 古文書とは
    • 古い文書のことを言う。

 

3.公文書と私文書

4.現用文書(⇔非現用文書)と古文書

  • いつから文章が古文書となるのか?
    • 現用文書は→ 今、効力を持っている文章。 
    • 役所で現在効力があるものは現用文書、ないものは非現用文書。
    • 非現用文書であるのにもかかわらず、現在にも残っているもの。

 

問い:古文書の例は
日米修好通商条約。現在では効力がないが残っている。これを分析することで現在のことが分かる→「史」料

現用文書の価値とは→業務的・財務的・法務的
それに歴史的価値(中間保管庫の意義)が加わる。

  • 古文書学
    • 古文書をどう正確に読み解くか。

5.古文書学のはなし

  • 様式論
    • 例:偉い人から下のものへ、身分
  • 組織論
    • 例:役所の組織、お寺の組織、企業の組織など
  • 時代が「平成」のものでも古文書となる!!(上記)
  • 古文書の様式は組織によって変わる!
    • 組織は同じ時代でもしばしば変わる!!室町どうし、江戸どうしでも異なる
    • よって前述の「伊江御殿家資料」(伊江の辞令)は、平成3年の内閣制度が分からないと文章の内容を読めない。

6.アーカイブズ学(文書館学/史料管理学)のはなし

  • アーカイブは文章のこと、アーカイブズは文書館
    • 世界中にある。記録をどのように保管していくか。第三者機関として政府とは独立して措置されるのが一般的。
  • 文書:アーカイブズarchivesはどう管理されるか…現用文書の管理と保存

  

  • ☆なぜ第三者機関が文書を保存するのか
    • 現用文書が効力をなくなった後は捨てられる運命にあるが、中間保存庫にとっておいて、アーキビストが判断して保存する。
  • 現在文書があったりなかったり処分したとかいったのに出てきたりする問題について
    • 民主主義の根幹を揺るがす重大な事件。歴史的価値の有無を判断してない。私たちの知る権利。
  • アーカイブズ、アルキーフ、档案館
    • 棄てないで見せる。捨てる場合は歴史的価値の有無を判断して捨てる。
    • 文書管理の歴史が一つの歴史学のテーマとなっている。

7.資料保存機関のはなし

  • 【民間】
    • 大同生命株式会社 「大同生命文書」cf.朝のNHK連続テレビ小説「朝が来た」女優:春、女性なのに社長となり生命保険会社を作った。
    • 現在の企業にも明治以前の文書がはいっている。
  • 北海道利尻富士町鬼脇寺嶋家文書
    • 松前からの古文書を持っている。
    • 150年間の漁業やお菓子の経営が残されている。
  • ヨーロッパや中国では公文書中心、私文書は残らない。
    • 日本はフツーの民家のタンスとかに私文書がいっぱいある
      • 研究者→体力勝負。キミはいくつ蔵をやぶったのかね?
  • 古文書を読むときに留意する点
    • 資料の解釈
    • 資料がどういう風に伝わって来たか、保管されてきたか、伝来や保存の経緯
    • どの資料が、どの資料の上にあったのか? 資料の順番など

8.移動する史料のはなし

  • 国際関係史への応用の試み
    • イルクーツク 天明6年板「紅梅用文書顕徳大成」択捉島で接収した資料
      • 本の中身ではなくて、本の墨付きやどのように管理されてきたかが歴史になる。
      • 中身はたいしたことない。
  • IOM所蔵 サハリンアイヌ交易帳簿とフヴォストフ事件
    • アイヌの帳簿がなぜロシアにあるのか?
    • 田藩文庫旧蔵「東蝦夷彙考」とグリコーエフのコレクション
    • この本が重要なのはハンコ → 田安徳川家の本がロシアにある
      • 本の中身ではなく「蔵書印」から見えてくる歴史
  • 物質としてのシリョウ