- 前回 史学史を振り返る 時代区分論もちょっと入った
【2】時代区分論について
- マルクス史観を日本に当てはめようとしたとき・・・
- 日本史における中世とはどこからなんだ!?
- 鎌倉時代 地頭に土地が与えられる
- 江戸時代 藩に土地が与えられる
- 安良城盛昭氏の主張
- 太閤検地 中間搾取をする勢力が排除される 1対1の関係になる 中間搾取いなくなる
- 「職」に関する説明
- 仕事を担当する 仕事すると実入りがある 当時の人達からすると「徳分」
- 中世 土地の境目の争論 境目争論 川の水利・山の芝などの争論
- 裁判を有利に進めるためには? 名義上の有力者を連れてくる → 面をかえる
- ただで名義貸しをするわけでなく・・・見返りを求めてくる → 「寄進」
- 利害関係が重層的になってくる→ これを「職の体系」と呼ぶ。
- 「寄進」だけでなく「立荘」
- 上の人達は寄進を待っているだけでなく・・・上から囲い込む
- 自分で荘園を作る ショウデン?ではなく 領域型
- 下のベクトルが寄進なら 上からのベクトルは立荘 荘園がでかくなってくる
- 上下の関係は複雑だが重層的なってくる 中世 11世紀
- 職の体系は動く
- 例:下地中分(土地をわけちゃおう)・地頭請(経営まかせるから上がりをくれ)
- 室町時代になると守護請 守護の被官 家臣クラスが引き受ける 土地誰のものかわからない 権利の錯綜
- 中間搾取をしていく状況を「作合」という
- 安良城盛昭先生はこの中間搾取をすべて取っ払ったことを強調
- 安良城先生は「中世までは、封建制ではない」とのたまうらしい
- 封建制の概念 抽象的な概念というのは・・・・
- ある日 どっかから抽出してくる概念 日本に自動的に当てはまるかというとそうとは考えられない
- 「概念」 これを鍛え直す より良い概念を作る これが人文社会系!
- どういう表現をすれば中世社会を把握すればいいのか?
- 何をすべきかというと 抽象をやり直す 具体をバラバラにして 具体の再定義を行う 「具象の再編集」「再構築」
- 自分で納得をいくまで考えて この概念はこういう定義をした方がよい!というのを作り出す
- のんべんだらりと語るわけにはいかないので、中世は院政期〜検地が行われる織豊期と大体区分する
- 【疑問】「中世」を「中世」として概念把握する際、封建的主従関係という概念しかないのか ?
- 中世「概念」 → 「荘園制」が存在した時代
- 時代区分を考えることで社会の構造を考えるきっかけとなる
- 「近世」概念 「early modern」 近代の先駆け
- 近世は日本が発祥 鎌倉時代と江戸時代は違うんだ!という概念が近代の日本人にあった
- 次第に近世という用語が定着してくる
- 近世を Medievalにひきつけるか Modernにひきつけるか
- 近世史の人は中世を見てくれない 近世研究は農村調査や海外との関係から始まるので近代に引きつけて理解する
- 近世って中世をかなり引き摺ってるんじゃないですか?という問題提起 ⇒ 複合国家論 複合政体論 (近世ヨーロッパ)
- より重要なのは、見かけの問題だけでなく、15〜16世紀 のearly modern が世界史上の「近世」世界が繋がる
- 価格が東と西で連動してくる 中国近世史の岸本美緒先生はリズムがそろってくる!という
- 岸本先生は積極的に「近世」と言っている。リズム! 一体化 繋がってる リズムの連動
- それが何によってもたらされるか 「銀」がリズムの連動を支えている。
- 今まではドメスティックな議論 現在はグローバルヒストリー
- グローバルヒストリー的には15世紀以前をどう名付けていくのか とても難しい
- 大航海時代に近世が始まり一体化するという概念は中世史は悔しい
- グローバルになったのはいつからなのか論争 → モンゴル帝国論者 ユーラシア世界の一体化
- 世界史的にも新しい段階に入っている
- 日本国内だけではない
- 日本社会の近世化 アジア史・世界史のなかで考える必要あり
【3】歴史をなぜ考え直すのか?
- 通史とか概説書とかも毎年書き換えられる 歴史は常に考え直さなければならない
- 勘合について
- 【台詞】「我々を縛る身近なものにパスポートがある 我々を管理する どういう仕組みなんだ?(戸籍も国籍もそう)そういうのを考える際に歴史的な役割を知るために 勘合が重要だと思ってるんですよ」
- 勘合が重要 勘合は面白い 日本の国家が発行したものではない 中国の明が発行したもの
- 脳内で行われているのは、遡って考える 究極の問いは「なぜ」どうしてこうなった 【因果関係】
- 結果から原因を探る
- なんで昼ご飯これたべたんだろう? 因果の結論はひとつに絞れないことが多い たった一つの理由ではない 因果は一つに絞れない 様々な要因が絡み合って 結果論に
- だからといって原因追及を放棄するわけにはいかない その中でもっとも根幹的なものを探す → 「最善の仮説」アブダクション
- 演繹と帰納
- 人文社会科学では100%正しいことはない
- 誰が見てもそうだよね確からしいと認識する
- 「アブダクション」で原因を追究している
- 「問題意識をぶつける」ことが大事。 <わたし>から出発し<いま><ここ>を知りたい
- 「問題意識」!!!
- 問題意識を問う
- 問う事を問う 自分の問題意識に自覚的であれ!!!
- ベクトル どれだけ鋭い問題意識を持つか
- 【読め】小坂井敏晶『答えのない世界を生きる』祥伝社
- →劇薬みたいなもの 研究とはどういうものかを激しく書いたもの 真理を追究し学問を究めるとは
- 歴史を考え直すのはなぜ!?
- 問題をぶつける いい問題をぶつければ いい答えが返ってくる
- 例:着物を見てステキというだけではなだめ。どういうデザインでありなぜステキなのか
- 問題をぶつける いい問題をぶつければ いい答えが返ってくる
質問コーナー
【質問】
先生は問題意識が重要であると強調しておりましたが、先生がたいへんなコダワリを持つ「勘合」について、どのような問題意識をお持ちなのですか?
【お答え】
勘合とはチェック機能。では、何をチェックするのか。勘合は日本だけではなく、シャムにもタイにも勘合を与えていた。
なぜ勘合を研究しているかというと、「国家に身柄を拘束されたくない!!」という問題意識がある。
勘合ってのは何のためにあるかというと、倭寇と区別するためではない。シャムに倭寇とかいないし。
勘合を「倭寇と区別するため」というのは、日本史を理解するため、一面的なすごく楽ちんな説明だから。
じゃあ、シャムはチャンパーはスマトラは?
我々は勘合を倭寇と区別するためという認識を捏造しているのだ!!
そういう捏造された認識というものを問いたい!!!!!