雑録

国史概説005 身分制社会について 〜領主的土地所有と百姓的土地所有〜

1.身分制社会とは何か。

  • 「民族」にもとづく身分制度
    • 民族にもとづく 征服民族が被征服民族を劣位とする 
  • 「職能」にもとづく身分制度
    • 職能にもとづく 同じ集団内で賤しい職業として賤視
  • 差別とは
    • その人が選べない その人の責任が全くない だから差別
    • 生まれながらにしてその身分に
  • 現代の身分制度ではどのような身分があるか?
    • →皇室の人たち 皇族・国民の二つの身分制度
    • ヒロヒトさまはキコヒ殿下から生まれたくて生まれたのではなく、偶然生まれたから親王殿下となった。
    • 本人の意志ではどうにもならない 
    • 女性は皇族になれる→女性は婚姻によって身分の移動ができる 
      • 皇族になるとできなくなることとは→選挙権を喪失する 被選挙権も失う 個人の財産を持つことも出来なくなる 人からモノを貰うことが難しくなる
  • 現代日本は1947年以来の封建残滓を引きずっている
    • 1947年以前は臣民は3つの身分で分れていた(華族・士族・平民)
    • 華族は財産を法人的に管理できたり貴族院議員になれたりした。
  • 1868年以前は? 
    • 近世の身分社会 → 士 | 農工商穢多非人
      • このラインを引いたのが太閤検地 身分を確定するという近世社会の構成原理 
      • 小農自立 一地一作人 中間搾取をなくしたのよ

2.近世日本の身分と土地所有

  • 太閤検地の意義を強調
    • 一つの土地(農地)に対しては、二つ(二人)の権利だけが設定されるようになった 
    • 領主的土地所有と百姓的土地所有 原則的に1対1 
      • 生産された農産物を年貢として収奪する権利→領主的土地所有
      • その土地を耕して生産する権利→百姓的土地所有権
  • 中世は領主的所有権が重層的錯綜的だったし 農民サイドも奴隷制など重層的だった
    • 近世はその中間支配がとっぱらわれた
  • 百姓的土地所有は、農地だけの土地ではない。
    • 商店や工房も同じだし 海辺でいえば海産カンバ(水産加工する場所が漁師の土地) キコリだったら山
  • 百姓と領主しかない 
    • 町人も職人も百姓の一種 
  • エタヒニンも百姓的土地所有権 エタヒニンは身分的に賤視された職業に従事
  • 天皇家も領主的に土地を所有している 公家とか大名とか寺社も領主的に土地を所有する
    • そこから年貢を取る権利を持っている 

ここで突如、授業中に疑問に思う
教授さま「たくさんの武士たちは年貢をとって生活している」
!?疑問発生!?
??? 年貢を取る権利をもらっている??? 武士って城下町に集住させられて、俸禄米とか貰ってるのでは?
【解決】領主的土地所有には、地方知行制と蔵米知行制があって、蔵米知行制は武士が直接土地所有してなくとも、領主的土地所有の枠組みってことね!

  • 領主的な土地所有権 
    • 江戸時代には誰が認めるのか それは一人しかいない 江戸将軍だけ
    • 豊臣秀吉以前には認めるといっても当知行権 自力検断する 自分の力で支配する それを室町将軍が追認する
    • 戦国大名は大きくなったり小さくなったりする 
    • 豊臣政権ではそれが禁止される
    • そのあと 徳川政権が一元的に管理する 将軍が領知の支配権を決める だから転封ができる 鉢植え大名 お国替え
  • 蔵米知行制
    • 幕府は コウギゴリョウに ダイカンを 派遣して年貢を取り立てる → 将軍が派遣する役人が年貢徴収 → コウギゴリョウから集まって来た年貢を分配する 
    • 蔵米知行制では、土地を貰うのではなく米や金を貰う ※土地を貰った方が格式が高い=ジカタチギョウの方が格式が高い
  • 幕府や藩はできるだけクラマイチギョウを増やしていきたい
    • 土地を渡してしまったら 資本投下して生産性あげても 幕府や藩に入ってこない できるだけ蔵米知行にしていきたい
    • 19世紀になるとクラマイチギョウが増えてくる → 家臣の家来は領主的土地所有の分配化に置かれる
  • やっかいなのは、侍・中間・小物(武家奉公人) → 領主的土地所有権の配分を受けているのだが・・・
    • 一季居奉公人 ある期間だけ務める 臨時採用
    • 譜代は管理できるが一季居奉公人は管理できない 期限が終わると領主的土地所有から百姓的土地所有に変わる
  • 人宿 人材派遣センター
    • 人宿に居る限りは百姓 採用されたら武家奉公人 百姓から武家に準ずる 期限終わったら戻る
  • 太閤検地の時、かなりセンシティヴな問題となる
    • 一季居奉公人をどのように編成するか 譜代にしたいけど無理
  • 一季居奉公人必要な事例
    • 軍役を課せられる 江戸時代には戦争がないから 軍事パレードとなる 領知の大きさに応じて軍制を整えておかねばならない
    • 江戸と国元を往復する 細かく決まっている 軍役令に定まっている ピッタリに仕立てなければならない
    • 奉公人の数が規定されているが ぴったりになんかできない 大体出発するときと、大きな城下町を通る時と、江戸に入る時だけ人数を揃える あとはスリムでくる 
    • 人宿はスキルがある奉公人を斡旋してくれ!と頼まれる 必要に応じて武士として雇われる 【身分的周縁論】
  • 寄進
    • 徳川将軍家が寄進する場合がある 社家は血縁相続 僧家はガランボウ相続
    • 寺社には寄進する 
  • 天皇には「進献」する 
    • 天皇から将軍が任命されるので領知宛行できない
    • 禁裏御料10万石 天皇は地下官人
  • 宮家や公家は将軍から知行されている 
    • 宮家や公家は侍・受領などを抱えている
    • 将軍家が認めた土地から年貢を取っている
  • 年貢を納める側 
    • 用益権(耕作などをできる権利)
  • エタヒニンは
    • 百姓的土地支配をしていますよ。
  • 土地アレコレ
    • 朱印地(幕府が寄進する土地)
    • 除地(年貢を免除する土地)
  • 固定と流動
    • 年貢を払う側・もらう側が確定している →身分固定化の側面 家産継承の側面 分割相続しない 蛙の子は蛙 夢も希望もない
    • しかしながら、身分は流動する

3 流動する身分

  • 1980年代に盛んになった 身分的周縁の人々
  • 身分制度グチャグチャの例1【本所編成】→ 渡辺左京
    • 士族として生まれるが勘当されて浪人へ
    • 浪人は領主的土地所有権を持たない存在 →再生産活動ができない → 武家奉公人となる
    • 土御門家(※公家 特別な領主 京都の宮廷に仕える 先祖はアベノセイメイ)に入門し、陰陽師となる → 公家は家職を持っていて、本所として振る舞う 
      • 冷泉家は和歌の家元・本所。全国に門人をもってる、和歌の指導をして生活。
      • 飛鳥井家は蹴鞠の本所(全国の大名が競って入所する 大名は江戸城に烏帽子を被って入城するが蹴鞠の段位によって、烏帽子の紐が決まっていた 何色の紐で競う 飛鳥井家に入門して伝授を受ける 紐をゲットする 飛鳥井家は入門料と免許料で生活する)
      • 土御門家は陰陽寮陰陽頭 安部はウジ 土御門家がイエ 土御門家に入門していないと無免許陰陽師となる 陰陽師の免許をもっていないとできないこと(手相・風水・印鑑を彫る・辻占など) 陰陽師になるには京都の土御門家に入門しないとダメ 土御門家に陰陽師の管理を任せる 京都の土御門家にいかないと陰陽師になれないが、19世紀になると土御門家は江戸に出張所を設ける。
    • 【身分的周縁】→陰陽師の身分。その後、人気陰陽師となる。
    • 神社の「社人」となる。除地を獲得する 土地持ち陰陽師
    • 土御門家江戸役所の陰陽師組組頭頭取役に就任する→土御門家の家来となり公家身分へ
    • 問題を起こして江戸から1年間追放されたあと、江戸にもどり旗本の家来となる →身分は武士へ
    • 家老として抜擢されるも家臣不正事件告発により、告発した家臣に殺害される。
  • 身分グチャグチャの例2【株売買と養子縁組】→樋口則義
    • 百姓として生まれるも武家奉公人→陪臣(旗本の家来)→身分を偽り御家人同族としての形式を整える→御家人の株を100両で買う→幕府から許され正式に御家人となる→大政奉還により新政府の陪臣となる→新政府に出仕
  • 身分制の中の流動性
    • 江戸時代はイエとしてはかっちり決まっているが 本所編成や株売買や養子縁組によって個人が流動的に動いていく。