- 本研究会の趣旨
- 2011年からアイヌ・先住民研究センター(CAIS)とロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所(IOM)との共同研究が行われており、今回の研究会はその成果を発表する第2回目。
【近世】
- 東俊祐「ションコ乙名蝦夷地奉行の定書について」
- ロシア国立図書館(サンクトペテルブルク)所蔵のションコ乙名宛蝦夷地奉行の定書の紹介。及びその内容と、同館に所蔵されるに至った経緯等についての考察。
- 内容:1778(安永7)年7月に「蝦夷地奉行」なる役名の者(もしくは機関)がノッカマップのアイヌの有力者ションコに宛てた文書。
- 意義:(1)蝦夷地関係発給文書の原本、(2)松前藩の職制としての蝦夷地奉行の存在、(3)安永年間のキイタップ場所、(4)アイヌへの発給文書の最古の原本、(5)松前藩の漂流民送還体制
- 露米会社の所蔵品となっていた定書は、ミハイル・ブルダコフ(1767-1830、露米会社支配人)により、1814年にロシア国立図書館へ直接送られ、同館の所蔵品となった(シェプキン報告・O.V.ワシーリエヴァ論文による)。
- ナゾ:定書は、いつアイヌの手からロシア人への手に渡ったのか?
- 鈴木建治「東洋古籍文献研究所(IOM)所蔵和書からみるコレクション形成史」
- ロシア・サンクトペテルブルク市の東洋古籍文献研究所(IOM)における世界有数の所蔵数の日本語史料が、どのような歴史的経緯でロシアへ渡ったのか?
- 漂流民の大黒屋光太夫が所持しており、エカチェリーナ2世に献上した書籍と、文化魯寇事件(フヴォストフ事件)の際に接収した書籍がある。
- 文化魯寇事件で接収された書籍は露米会社系のブルダコフ本と海軍局系のブハーリン本に分れた。前者のブルダコフ本は科学アカデミーや帝室公共図書館に移った。