雑録

国史概説010「昭和史(1)1930年代と戦争」

  • 010〜012は昭和史関連
    • 第1回 1930年代と戦争
    • 第2回 植民地近代化論
    • 第3回 北海道経済史

(1)戦争の区分と名称

  • 1930年代当時における日本が起こした戦争の呼称
    • 満洲事変
    • 支那事変(日支事変)
    • 大東亜戦争(共栄圏と結びついている)
      • ※今現在歴史を研究する際 → 日本の防衛省 防衛研究所 図書室 一般公開している史料分類の際にはこの名称を使用している
  • 戦後における呼称
    • 満洲事変(中国東北戦争という案が出たが定着せず)
    • 日華事変→日中戦争
    • 太平洋戦争/アジア太平洋戦争 (歴史家の中で論争がある、1941.12-1945.8、中国とは引き続き戦争しているし、東南アジア大陸部でも戦争をしている) 
      • 支那の言葉自体に問題はないが、戦前戦中に侮蔑的に使われたので、戦後になって使用は避けている(教育研究マスコミ)
      • アジア太平洋戦争の呼称を言い出したのは研究者 研究者のなかでは広がっていく 
      • アジア・太平洋戦争 岩波講座シリーズではアジア太平洋戦争で満洲事変も含めると言っている  
      • 最近はあくまでも太平洋戦争の置き換え 岩波講座シリーズの認識で使う人は少ない
      • 当該教授自身は、満洲事変・日中戦争・太平洋戦争と使う 中国のことを説明する際には、日中戦争が1945年まで続くという認識
  • 【資料1】 鶴見俊輔 → 十五年戦争の名付け親
    • 十五年戦争 学会でも受け入れられて1970年代・1980年代に使う人が増える
    • 批判もある:満洲事変と日中戦争の間には空白がある 十五年間戦争したのではない 約4年間の間に休みがある 戦争ではない状態 
    • 現在当該教授は十五年戦争という呼称は使っていない ただし便利なので、三つひっくるめて言いたいときに使ったりもする 15年間ビッシリ戦争をしたわけではない
  • 戦争の呼称は変わる
満洲は「州」か「洲」か
  • 【昔の区分】
    • 「洲」は旧関係者が使っていた 戦前は勿論付いている  → 満洲国を弁護するものが多い
    • 「州」は研究者が使っていた
  • 【今の区分】
    • 「洲」は中国史の研究者から使われ始める 「州」と「洲」は別の意味の漢字 満洲は地名ではない 満洲という地方はない 「満洲族」という民族名 そこから日本が地域として「満洲」と呼んだ 
    • 「州」を旧漢字・新漢字の意味で使用している
      • 当該教授は民族名説に従い、サンズイを付けている

(2)満洲事変

(2)-1 満蒙問題
  • 満洲事変がなぜ起こったのか
    • ※【重要】日本と満洲の関わりは朝鮮統治を安定させるため
    • →1919年の三一独立運動以降、吉林省の間島地方が朝鮮独立運動の根拠地となったことから、南満洲にたいする日本の支配は朝鮮統治のためにも強く要請されるようになった。
      • 間島 渡満江 朝鮮で抗日運動をする人は間島で訓練する 渡満江を越えて逃げられると朝鮮総督府は手を出せない 間島パルチザンとしては金日成が有名
  • 中国東北地方における日本帝国臣民:100万人が満洲事変起こる前の権益下で住んでいる
    • 在満朝鮮人 → 農民、水田、間島+吉林省
    • 在満邦人 → 会社員、都市
  • 柳条湖事件(1931.9.18)
    • 関東軍の謀略 → 奉天郊外の柳条湖で鉄道を爆破 関東軍が自作自演で中国のせいにして戦闘開始 
    • 関東軍 出先の暴走というのは極端すぎる 東京は東京で考えている

 

  • 塘沽停戦協定(1933) → 満洲事変終わる

(3)日中戦争

(3)-1 華北分離工作
  • 蔣介石南京政権と華北を切り離し親日政府を樹立する動き
  • 1935年 中国国民政府による幣制改革(金本位制) 
    • 「法幣」 →統一した通貨制度の確立! 日本は見くびっていたが成功する
    • 蔣介石政権の経済的統一
  • 華北分離工作
    • 1935年11月24日 冀東防共自治委員会(12月25日冀東防共自治政府)
    • 1935年12月18日 冀察政務委員会(国民政府系 相哲元委員長) 
    • 1935年12月 興中公司設立 → 日本の資本・商品がなだれ込む 密貿易が盛んになる
    • 1936年2月 冀東政権は関東軍の指導の下に冀東特殊貿易として公認
(3)-2 日中全面戦争
  • 盧溝橋事件(1937.7.7)
    • 日本の戦時体制の契機 (例)輸出入品等臨時措置法<物資統制> 臨時資金調整法<資金統制> 1937年9月
    • 戦争期間中にものすごく細かい法令がでるが、上記二つが根拠法となる
  • 政府は研究していて戦時体制下になるが国民はまだわかっていない 
    • あらゆるものが統制されることを隠すため、輸出入品としてカムフラージュしている。「等」で他の物資も統制
    • 「臨時」もカムフラージュ 「調整」も「統制」では通らないため
  • 次第にエスカレートしていく
  • 国家総動員法(1938.2)<人員統制> 
    • 意外と早いことに注目せよ  戦時体制の確立!
  • 臨時軍事費 無尽蔵に増えていく 支那事変が契機 国家予算とは別に巨額!
  • 日中戦争が契機となっていてそれ以後が戦時体制

まとめ

  • 30年代の戦争の名称の理解
  • 戦争の経過の理解 満洲事変の始まりと終わり 日中戦争の始まり 
    • 満洲事変では政府は後手後手、不拡大とか言ってたけど現地が言う事を聞かない 
    • 日中戦争では現地では和解の雰囲気となるが、東京で全面戦争を決定 戦争体制を覚悟していた きっかけは偶発だが必然的に起こる(華北分離工作などで準備)
    • 15年戦争 4年間のブランクは平和ではなく戦争準備 連続的に理解できる