デレステ3周年イベントを利用した観光政策で一躍有名になった群馬県前橋市ですが、そのデレステ効果は「ふるさと納税」にまで波及しました。アイマスシリーズにおける「ふるさと納税」の成功例としては、大阪府高槻市の返礼品「やよいTシャツ」が有名です。前橋市は高槻市のようにバンナムのIP軸戦略を「ふるさと納税」に取り入れるところまでいくでしょうか!?ネットではコラボできる商品が色々と紹介されています。
(以下引用文献内における強調は引用者による)
市未来の芽創造課によると、市はイベントに合わせ約2万枚の特製マップを配布し、紹介された飲食店などは行列ができるところもあった。「デレステ」イベントに参加した人から、10日朝の段階でふるさと納税の申し込みが8件あり、市の取り組みに感謝を伝えた人もいたという。
(『朝日新聞』2018年09月12日朝刊、群馬全県・2地方、024頁)
- キャラクターへの想いが新たな聖地を生み出す。
- 先日(9/8・9/9)行われたデレステ(アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ)の3周年イベント(SS3A)における前橋市の取り組みが各メディアで紹介され話題を読んでいます。特に強調されているのが、「前橋市がデレステと全く関係の無い土地だった」ということです。従来型のコンテンツツーリズムでは、漫画・アニメ・ラノベ・ゲームなどの舞台となった「聖地」に、ファンが訪れるという形式でした。しかし、今回の前橋市の場合は、縁もゆかりもない地域に「聖地」が発生したのです。この背景として作用したのが、キャラクターへの思い入れです。アイマスシリーズはプレイヤーがプロデューサーさんとなり、担当アイドルと二人三脚していくゲームです。そのため、自分がプロデュースするキャラにはとてつもない愛着が湧きます。それ故、キャラクターに関係を見出せるお店や商品などが、逆に聖地・珍味として神聖視されるようになったのです。今回の前橋市の事例では、聖地として、ハルナメガネ(まぁまぁ眼鏡どうぞ)・青柳(まゆすき)・結城屋(晴ちん)が、珍味としてはころとんのしっぽ(ソーセージマルメターノ)、赤城御神水(みりあP)などがクローズアップされました。
- 「IP軸戦略」とは
- このようなキャラクターへの情熱を利用することを、バンナムは企業戦略として「IP軸戦略」として明確に打ち出しています(主要IPのご紹介|事業紹介|株式会社バンダイナムコホールディングス)。IPとは「IPアドレス」ではなく、「Intellectual Property」の略でキャラクターなどの知的財産を指しています。要するに既存のキャラクターを商品・サービスとして提供する商法です。最近ではカレーメシとのコラボが思い当たるのではないでしょうか(カレーメシくん on Twitter: "キャンペーンの応援ソングとして、ポジティブパッションが歌う新曲「スパイスパラダイス~カレーメシver.~」を制作。夏らしい元気さにカレーメシが絡みあう絶妙な曲になっているので、楽しみにしてほしい。… ")。
- 大阪府高槻市の事例 高槻やよい効果
- 凄まじい効果を生むデレステ効果ですが、実はこのようなキャラクターによる「新たな聖地の創出」及び「ふるさと納税」への波及は、アイマスシリーズでは初めてのことではなかったのです。アイマスシリーズの中でも屈指の人気を誇る「高槻やよい」へのファンの情熱が、聖地を創出し、ふるさと納税の返礼品のグッズ化にまで至ったのです。大阪府高槻市にある飲食店「やよい軒」。このお店はアイマスシリーズとは全く関係のない土地かつお店でした。しかし、「高槻」市にある「やよい」軒、つまりは「高槻やよいの聖地」であるとして神聖視されるようになり、やよいの誕生日の3月25日には大行列を生むようになったのです。さらに、やよい軒が聖地化したことに着目した高槻市は、ふるさと納税の返礼品に「やよいTシャツ」を用意するようになったのです。しかもこのことが『朝日新聞』で紹介されています。小々長いですが、以下に引用しておきます。
高槻市のふるさと納税で、人気のアイドル育成ゲーム「アイドルマスター」の登場人物「高槻やよい」が制度の普及に一役買っている。関連グッズを返礼品にしたところ、1週間もたたずに品切れとなり、全体の納税額は前月の3倍に増えた。市はグッズの補充を検討している。
「アイドルマスター」はアイドル候補生をトップアイドルに育てるゲームで2005年に登場。多様なキャラクターが人気を集め、アニメ化もされている。
「高槻やよい」は人気キャラの一人で、その名にちなんで、高槻市北園町にある定食チェーン「やよい軒高槻店」がいつしかファンの間で「聖地」と呼ばれるようになった。やよい軒を運営するプレナス(福岡)によると、キャラの誕生日とされる3月25日には全国からこの店にファンが集まってくるという。
この人気ぶりに着目したのが高槻市で、ゲーム・フィギュア通販店「駿河屋」高槻店と連携し、ふるさと納税で3万円以上を寄付した人への返礼品として、高槻やよいがプリントされたTシャツや文具の詰め合わせセットを5月23日に登場させたところ、わずか6日で全20セットが品切れになった。
市機動政策室によると、5月の納税額は計150万円と、4月の50万円から3倍増に。グッズ狙いの納税に加え、他の返礼品にも波及効果をもたらしたとみられ、「ここまで反応があるとはびっくり。ファンの底力はすごい」と左海英和主査。年内にもグッズを補充できるよう駿河屋と相談している。
ふるさと納税は08年から制度が始まったが、市が導入したのは今年1月から。返礼品には高槻やよいグッズのほか、地元の銘菓や焼き物など全97品目をそろえた。左海主査は「高槻には魅力がたくさんある。高槻やよいグッズをきっかけに、もっと知ってもらえたら」と期待を寄せる。問い合わせは同室(072・674・7274)。(吉川喬)
(『朝日新聞』 2016年07月07日朝刊、大阪市内・1地方、23頁)
- ふるさと納税の返礼品「やよいTシャツ」