Erewhon「永見稀世良シナリオ」の感想・レビュー

外界から隔離された近世農村的社会において、ムラの因習的な祭祀で来訪神の役割を果たす話。
主人公くんは世俗に倦み退職したが、民俗学を専攻していたことから「地図にない村」を訪れる。
見所は「自分の常識が解体されていく」ことで、頭ではムラの因習を理解していても、精神が追いつかない。
稀世良√ではショッキングな村の祭祀の一連の流れを体験させ、プレイヤーに衝撃を受けさせることが目的?
現代人の感覚からするとおかしなことでも、その共同体の中では当然だということはよくある。
雰囲気としては、痕・水月ひぐらし・Omegaの視界・カルタグラのような感じである。

雑感


  • ムラの因習的な祭祀
    • 主人公くんは世間に対して帰属意識を持てない性分であり、それなりに仕事をして勤労の義務を果たしていたものの世俗に倦んで退職します。気晴らしにここではないどこかへ行こうと、古書に書かれた都市伝説的な「地図に無い村」を求めて、物語の舞台となる村へやってきます。そこで主人公くんはマレビト信仰よろしく来訪神として迎え入れられ、ムラの伝統祭祀において、神の役割を担って欲しいと請われます。主人公くんは流され気味にそれを承諾するのですが、その風習は主人公くんの常識をはるかに凌駕するものだったのです。地域社会には地域社会の伝統や風習があり、それを第三者が自分の価値観で悪であると判断することは愚かなことです。民俗学を専攻していた主人公くんはそのことを重々承知なのですが、理屈では分かっていても、心がついてこないのです。カースト制度のような身分制社会は次第に主人公くんを蝕んでいきます。極めつけは村の祭祀の内容。来訪神としての主人公くんが、鬼役の娘を調伏するのですが、その方法がなかなかえぐい。主人公くんが逸物で懲らしめた後、村人で輪姦するのは想定の範囲内でしょうが、逆さ吊りにして漏斗を突っ込んでボテっぱらになるまで注ぎ込むのはなかなか衝撃的な描写だと思います。さらに、鬼役の娘を調伏した後は、嫁役の娘と婚姻の儀式を行うのですが、これまたえぐい。三々九度で女性が飲むのは、これまで主人公くんが膣出ししてきたものを搾りだして溜め込んで発酵させたもの。ずぞずぞ飲みます。で、最後はマレビトであるはずの主人公くんが、村に居ついて妊娠エンドとなる。ムラの因習的な祭祀をプレイヤーに体験させる機能を持っていると考えられます。他のルートではどうなるのでしょうかね?