雑録

Erewhon シナリオ回収編の感想・レビュー

過去改編もの。山の異界で閉鎖的な山村の悲劇を見せ続けられる。スーパーカニバリズムタイム。
「太歳(タイサイ)」と呼ばれる不老長寿の肉片を巡り、人々が殺し合い復讐をし合う。人肉食。
堂々巡りの地獄に堕とされ、何度も凄惨な過去を追体験させられる描写が見どころ。
最後の場面で選択肢が与えられ、過去改編に挑戦することになる。
主人公は愛した女の理想に殉じ、ムラの悲劇を救うことになる。バッドエンドも結構ある。

山の異界と不老不死の肉片を巡る伝奇


  • 異界と太歳
    • 山岳信仰において山は異界の領域であり、そこには様々な怪異が存在していた。ここでは「太歳」という異物が題材とされており、紅を食って育つが、その肉片を食べるとどんな怪我や病気も治り長寿となる。この「太歳」の肉片を人型化し「姫様」と呼ばれる女体を作り上げたのが永海家と呼ばれる一族。彼らは姫様と性交させることで、不老長寿を操り繁栄することになった。一方、この山の異界の領域を守護するように命じられたのが、永海家の分家。彼らは永見家と称されるようになり、ひたすら異界を守り続けた。しかし、どれだけ待っても本家から交替の巫女が来ることはなく、永見家は次第に永海家に怨念を抱くようになっていった。



  • 分家のおぞましい怨念
    • 物語の転機となるのが、戦時下における疎開。永海家は姫様を始め、一族の伝統と財産を守るべく、分家の永見家の山村へと疎開したのである。そこで本家の永海家は分家の永見家を召使のようにあつかったがために、ついに分家が造反を起こす。なんと分家の巫女が姫様を簒奪してしまったのである。そして本家の従者たちを殺害し、侍女及び美壽々、八千代、千鶴子の三人は村の肉便器となったのであった。分家筋の怨念はすさまじく、性欲の掃きだめとなる女たち。しかしここで村に自然災害が襲い掛かると美寿々の逆襲が始まる。美寿々は永海家の縁戚でありながら、その才能と努力で筆頭巫女となった存在であり、何とかして、姫様や八千代、千鶴子を守ろうとする。しかし、集団暴行を受けうちに永海家に尽くす自分がアホらしくなったのである。美壽々はまず、村長の正之助一派に反感を持つ若い衆の勝を手懐けることに成功する。そして美壽々は、正之助を追放し、新勢力の嫁として台頭したのである。美寿々は、復讐心に燃え、それを生きる動機としたのであった。


  • 美壽々の凄まじい復讐
    • 美壽々は、かつて筆頭巫女であった能力を武器に、村の「しきたり」を作り上げ実効支配することに成功する。そしてスーパーカニバリズムタイム。太歳の肉片をヒト型化した姫様は災害時に食べ尽くしてしまったのだが、『姫様』の遺伝子は自分を食った人間の細胞の中に潜んで、適合した細胞を持つ人間の中では自らを顕現した。つまり、姫様を食った村人の子孫の中に、不老長寿をもたらす生きた妙薬としての力を持つ娘を顕現させることになったのだ。美壽々は、能力の修行と称して太歳の力を持つ娘を選別し、その娘を食らっていったのであった。こうして祭りに参加する美壽々・八千代・千鶴子およびそれぞれの旦那計6名は、不老長寿を保っていったのである。
    • 主人公は山の洞窟の異界のなかで、この凄惨な歴史を何度も見せつけられる。山の洞窟の時間軸は過去・現在・未来が行ったり来たりしており、主人公が村に辿り着くことなった手記を書いた未来の時間軸の学者や、過去の重要人物である正彌と遭遇したりもする。そしてついに終局部において過去改編に挑戦する。愛する女の為に理想に殉じればハッピーエンド。主人公くんは過去の転機を分家の人間が姫様を簒奪した時であると選定。分家筋の永見家の巫女を脅して叛逆を起こさせないようにしたのである。こうして凄惨な過去を乗り越え、悍ましい怨念や凄まじい復讐に終止符を打つことになるのであった。