日本植民地研究会春季研究会に参加してきた話

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2019年3月2日(土) 於:外大
研究報告は二つ。
一つ目が八田與一に関する通説批判。
二つ目が帝国日本統治下の台湾・朝鮮における監獄看守について。
以下、忘れないように概要をメモしておく。

報告1:八田與一に関する通説批判

  • 八田與一とは誰か?
  • 八田神話
    • 台湾では台南への奉仕者として高く評価されており、八田物語・八田神話が広く認識されている。
    • 通説では「台湾を水利施設の整備により農業面で豊かにすることで台湾人に奉仕し、日本人や台湾人の間で、民族差別をしなかった理想的な人物」と理解されている。
  • 日本の台湾統治の正当化の手段としての八田神話
    • 日本人の八田認識→八田の功績を日本の功績とし、両者に対する日本人の感謝を強調する傾向にある。すなわち、日本の植民地統治の光であったことの証拠として、八田を用いている。
  • 結論:八田神話の見直しの必要性
    • 日本技術協会、台湾技術協会における八田の言説を見ると、八田神話は大きな見直しが必要。
    • 八田の思想には日本帝国のイデオロギーがあった。

報告2:帝国日本統治下の台湾・朝鮮における監獄看守

  • 明らかにすること
    • 監獄看守制度の専門化過程、変遷過程、制限内容、在監者と看守との関係
  • 論証内容
    • 一、近代日本における監獄看守の専門職化
    • 二、植民地台湾の監獄看守について
    • 三、植民地朝鮮における監獄看守について
    • 四、看守と受刑者の関係
    • 五、戦時期の変化
  • 結論:監獄は本当に近代化されていたのか疑問
    • 看守警護に関する知識の発展
      • 小河滋治郎がまとめた『看守必携獄務提要』を頂点とし、それ以後の進展は限定的。
    • 実践面
      • 看守訓練が徹底されず。
      • 朝鮮人看守に対する差別的待遇
    • 両植民地の民族別構成
      • 両植民地の由来が異なっていたという理由が明白。