- 復刻版第1巻収録内容
- 第1巻第1号<第1号>(1933年9月)~第2巻第6号<8号>(1934年11月)
- 各巻まとめ
『満洲グラフ』第1巻第1号(1号) (昭和8(1933)年9月15日発行)
概要
序文「-新しき満洲を、新しく見よ!-」
「赤い夕陽の満洲は、今、朗らかな建国の朝あけだ。新五色旗の翻るところ、王道の慈光は広茅八万包里の山河に漲り、民族の睦みに三千万民衆の歓喜は沸く。過去半世紀に於て、満蒙の天地に注がれた十万同胞の熱血は、今こそ輝かしい満洲建国の花を咲かせたのだ。かくて満洲の平和と文化を守り育てた日本は、更に理想郷満洲の実現達成の聖業に就いた。血脈通ずる満洲国の健やかな成長は、一に懸つて日本の双肩にある。満洲国新興の実相は、又正義日本の正しき反映だ。新しき日本の方途を知らんとするものは、先づ新しき満洲の姿を正視すべきだ。」
表紙
- 高粱の穂
「秋!」
- 内容
- 季節の紹介。旧暦の七夕には「高粱の穂」は紅々と色づく。「実りの秋」が全満洲に満ち溢れる。「赤い夕日」が火のように燃えさかって舞い降りていく。
「農業国満洲」
「国都建設」
「日満最短交通路の完成へ 拉濱線新設工事」
- 内容
- 各種キャプション
「熱河離宮と寺廟」
「大連市催 満洲大博覧会」
概要
「晩秋」
- 内容
- 高粱の切り株を掘り返す農夫
「耀く凱旋 事変記念日」
- 内容
- 第6師団が日本へ帰国することの紹介。1932年12月出動以来、熱河の粛正工作や長城線の確保にあたった第6師団の将士が常勝将軍坂本師団長以下、10月3日~5日の5日間かけて故国へ凱旋した。
- 各種キャプション
「建設途上の羅津」
「蒙古の風貌」
- 内容
- 満洲国の西境に近い興安省における蒙古人の遊牧生活の紹介。
- 各種キャプション
- 「渋紙の様に日焼けのしたお爺さんと彼氏の愛馬」、「髪をお下げにした蒙古のお婆あさん」、「移動式の天幕(包)の前に並んだ家族たち」、「颯爽たる蒙古娘」、「草原に放牧された駱駝の群」、「砂漠性の地貌」
「国境に行く」
「鋪道に拾う―北満の秋―」
- 内容
- ロシア人特集。晩秋のひとときを惜しんでいるロシア人の種々相を拾う。
- 各種キャプション
- 「ガルモンカを弾く街頭の音楽師」、「仲よく日向ボツコをするロシヤの子供たち」、「憩へる労働者」、「街上の花売り」、「ハルピンの銀座キタイスカヤ街とロシヤ婦人」
概要
「冬景」(※復刻版目次では「冬景」だが内容では「氷の上」というタイトルになっている)
「冬来たりなば」
- 内容
- 満洲に於ける冬の生活を写真で紹介している(その1)。
- 各キャプション
「寒中素描」
「開発の前線」
- 内容
- 各種キャプション
- 「満鉄の敷設列車」、「沿線建設状況(拉濱線三棵樹)」、「鉄道隊の活動」
「日鮮満直通幹線なる」
- 内容
- 斉北線、濱北線、拉濱線、京図線、北鮮鉄道がつながったことにより、大連を経由しなくても北満-北鮮-日本海-日本のルートでの交通が可能となったことを紹介する記事。
- 「京図線を北鮮の海港雄基(将来は羅津)清津につなぐ北鮮鉄道も満鉄に移管され、昭和8年10月15日から新京清津間に直通列車を運転することになつた。二十年来の懸案として多年待望された吉会鉄道は、茲に始めて実現を見た訳だ。」
- 「京図線の一駅拉法からハルビン(三棵樹)に至る拉濱線去る12月16日に開通、濱北線に連結された。北満の穀倉をめぐる斉北、濱北両線は拉濱線に依て京図線に橋渡しされた訳だ。そして満洲の特産物は、大連を迂回することなく、一路北鮮の海港から日本海を横断して日本内地に輸出される事となつた。〔……〕従来の交通路に比し距離に於て三分の一を短縮し、日満経済上に大きな貢献をもたらすべき本交通路が、主として日本の手に依て完成された事も明記さるべきだ。」
- 各種キャプション
- 「黄金の釘を打つ(拉濱線開通式)」、「松花江鉄橋開通の刹那」、「匪襲の跡(拉濱線大平嶺附近)」、「犠牲者の火葬(水城子)」、「京図線風景」
「拓けゆく沿線」
- 内容
- 満鉄沿線の開発状況を写真入りで解説。
- 「克山と海倫」
- 「鮮満国境に近く」
- 各種キャプション
- 「克山(貴金属店々頭所見)」、「海倫市街」、「駅舎建築」、「間島地方の山村風景」、「鮮満国境に近い延吉市街」
概要
「即位詔書」・「声明書」
「満洲国皇帝陛下」
- 内容
- 軍服姿の溥儀の立ち姿の写真が掲載されている
「皇上即位」
「泰運重光」
「国基永奠」
「乾元正位」
「普天同慶 歓びの帝都」
「萬寿無疆 奉天の慶祝」
「山河増色」
「四民和楽」
- 内容
- 多民族国家満洲とそれを統合するための「民族協和」と「皇帝溥儀」の紹介。
- 解説文より→「満洲国の人口はまだ三千万しかないが、日本の二倍余りもある広いお国だけに、種々雑多の民族が住んでゐる。先づ、普通満洲国人といはれてゐる二千数百万の漢人(支那から移住した人たち)をはじめ約百万の朝鮮人、廿五万の日本人、十万のロシヤ人、それに満洲土着の蒙古人、満洲旗人等がゐる。殊に、ロシヤと満洲の境を流れてゐる黒竜江(アムール河)の上流地方には、今なほ文化の光を知らないエロト、ブリヤード、ダホール、オロチョン、ソロン、ゴリドといふ様な未開種民族も生活してゐる。満洲国では、建国当初から専ら民族の協和に留意し、民族の安居楽業に力を注いで来た。人種、風俗、習慣、言語は異なつても、自由と平和を求め、愛と正義を念願する点に何の相違があらう。その日、満洲全土の諸民族は「我らが皇上の御登極」に雀躍欣舞したのだつた。」
- 各種キャプション
『満洲グラフ』第2巻第3号(5号) 昭和9(1934)年5月15日発行
概要
「春」
-
- 内容
- 満洲の春の象徴として4枚の写真が掲載されている。
- 各種キャプション
- 「蒙古ひばり」、「白楊の芽もふくらんだ」、「河の氷も割け始めた」、タイトルはないが、牛耕をしている農民の様子の写真
「娘々まつり」
「娘々祭と娘々市」
- 内容
- 娘々さまの御利益とそれを得るために集う人々。及び、それらの人を相手に商売しようと賑わう露天市の様子。
- 解説文より
- 「名さへ優しい娘々(ニヤンニヤン)様は、福寿、治眼、拾児の三体の女神。お金が授かり、病気が癒り、そのうへ子宝まで恵まれるといふのだから民衆の絶大な尊信を得るのは無理もない。」
- 「その霊験あらたかな娘々様のお祭りは、毎年5月半ば〔……〕お祭りの時になると、満洲国中およそ娘々廟のあるところなら、どんな寒村僻地でも、村人たちは千里を遠しとせずして廟舎に集まつて来る。我仕立の幌馬車で、曠野の中を軽塵をあげて八方から押し寄せてくるのだ。〔……〕そして廟のある山麓に馬車をとどめて、本祭の前後、3日から6日間ぐらい馬車の中で参詣する。」
- 「〔……〕さて娘々祭には、きまつて農具、建築材料、馬具、鉄器、籠細工、古着、日用品雑貨の市がたつ。しかも此の娘々市は、一年に一度の廉価デーなのだ。交通不便な地方の人たちは、一年分の生活用品をしこたま仕入れて馬車に積んで帰へる。商売が繁盛するのは勿論だが、余興もなかなか盛である。それに、数日に亙る馬車生活の安易さに、みんな露店飲食店に飛び込んで鱈腹御馳走を食い廻る。農民にとつて娘々祭は、一年にたつた一度の安息日だ。このお祭のうちでは陰暦四月十八日の本祭の日が一番賑やかである。それは娘々様が昇天された当日なのだ。」
- 「〔……〕とにかく、数日の間、馬車の中に或はアンペラの褥の上に、或は夜天に星を仰いで石を枕に健やかな夢を結ぶ娘々祭は、誠に郷土色豊かな満洲景物の一でもあり、また、大陸的な、美しい民俗信仰の神秘を語る一巻の絵巻物である。」
- 各種キャプション
- 「建ち並んだ露店」、「柳籠の市」、「人形の店」、「土人形」、「胡弓流し」、「材木の市」
「満洲野の5月」
- 内容
- 陽春5月の候には、蒙古の草原が一望のお花畑になってしまうことの紹介。北満、南満の植生が紹介される。特に樺太、北海道との共通性が指摘されている。また「アルカリ土壌の多い蒙古地方」や、関東州における桜に言及される。「この頃では関東州内到る処で桜を見る事が出来る。殊に旅順戦跡の桜、安東県鎮江山の桜は名高い。」
- 各種キャプション
- 「ライラツク・つつじ」、「梨の花咲く村」、「野あやめの群落・蒙古」
「楽土に殺到する移民群」
- 内容
- ここでの移民は日本からの移民ではなく、支那から満洲に渡ってくる移民たちの様子が紹介されている。
- 解説文より
- 「〔……〕今日の移民も流民または避難民と言つた方が適切だ。みんな着のみ着のままの旅費も持たない様な貧乏人ばかりで、何等政府の庇護など受けてゐない。全くの徒手空拳である。彼等は海路、青島、芝罘、龍口の各港から渤海湾を横断して大連、営口、安東の孰かに上陸する者と、陸路、山海関から奉山鉄路によつて奉天を経由する者とある。その割合は、大連経由が過半数を占め、奉天経由が約二割五分といふ事になつて居る。そこから満鉄の四等車に乗つて、吉林、新京方面に向ふのであるが、旅費のない者は、線路を伝つて、乞食をしながら、北満洲をさしてとぼとぼ長い旅路をつづける者も少くない。」
- 「〔……〕移民の目ざす移住地は、やはり地味の肥えた北満洲が第一で、この方面に向かふ者が総数の四分の三、南満方面が四分の一ぐらいの割合で、西北の蒙古地帯に足を向ける者は極めて少ない。これは曹達地が多い為である。」
- 「さて、移住地に着いた彼らは、そこで極めて原始的な生活をはじめる。先づ開墾の初年にはすぐにも彼等の食糧となり、また種子が安く、雑草との競争力の高い糜子、粟、黍等を作り、3、4年目頃から初めて大豆、小麦等が作れる様になる。こうして、彼等は、開拓のパイオニヤとして満洲に力強い永住の根を下すのだ。彼等の不撓不屈の生活的弾力には全く感嘆のほかはないが、彼等の面上には、常に自然を楽しむ様な和やかさへ流れてゐる。」
- 各種キャプション
- 「鈴なりになつた甲板」、「父ちやんに手を曳かれて」、「野に臥し草に寝ね 北満へ・北満へ」、「汽車を待つ間・大連駅前」、「母ちやんも一緒に」、「堀立小屋もわれらの青空」
「満鉄 生まれて27年」
- 内容
- 各種キャプション
概要
「秩父御名代宮殿下の御声明」
「栄光燦たり‼ 大連港頭」
「耀く帝都 新京の御動静」
「風薫る 奉天より大連へ」
- 内容
- 各キャプション
「満支を貫く一直線 直通列車は運行を開始した!!」
「直通旅客スケッチ」
「奉山沿線風景」
「直通線上に踊る山海関」
「林間生活」
「関東州防空演習」
- 内容
- 関東州は上海、ウラヂオ、ブラゴエから1500キロの圏内にあり、空襲をひとたび受ければ危機に直面する。そのため6月19日から21日まで旅順要塞司令官鎌山少将の統監下に実践さながらの関東州防空演習を挙行。30万大連市民は軍に協力して都市を戦い守った。
- 各種キャプション
- 「演習劈頭を飾る大連白雲山麓に於ける模擬市街の爆撃」
概要
「東満洲を衝く図寧新線」
- 内容
- 京図線の終着駅:図們と北鉄東部線:寧北(牡丹江站)を結ぶ図寧線の紹介。
- 図寧線は3区域に分けられ、図們-李樹溝間は灌木の粗生した緩やかな丘陵と湿地と細流が点綴する間島の処女地、李樹溝-鹿道間は老松嶺の森林地帯、鹿松-寧北間は1200年前に渤海国が興った平野。
- 図寧線沿線は将来の移民地として有望な土地であり、なおかつ寧北から日本屯墾隊の移民地佳木斯まで新鉄道が敷かれようとしている。
- 図寧線の経済的意義は、従来北鉄によりウラジオに搬出されていた農林諸産物が北鮮経由で搬出されるようになること。交通体系が新しくなり、開発の第一線にも踊り出た。
- キャプション
- 密林を行く
「老松嶺の原始林」
- 内容
- 図寧線の中間に横たわる老松嶺の紹介。大森林に覆われた密林地帯を切り開いて鉄道建設をしているが、北老松嶺墜道は満鉄関係鉄道中、最難工である。
- 各種キャプション
- 「老樹天を摩して」、「ただ見る一眸の樹海」、「老松嶺山脈」
「風物諸相」
「建設は進む」
「沿道拾遺」
「国道建設」
概要
「東洋最初の流線型列車 満鉄の超特急・あじあ」
- 内容
- 各種キャプション
- 「超特急・あじあ・の後尾」、「幕進」、「三等車内部」、「二等車座席」、「展望一等車」、「食堂車」、「発車前・大連駅フォーム」、「各車の接合部と出人台」、「自動送炭機」、「機関車パシナの働輪全高4.8米」、「機関車の安全弁」、「炭櫃カバー」、「空気警笛」、「機関車の連結機」、「手荷物郵便車」
「“慰安船„の松花江巡航」
- 内容
- 各種キャプション
- 慰安船の様子
- 各都市の慰安の情勢
- 「押寄せた女学生・樺川」、「初めて見る活動写真・佳木斯」、「地方官民と慰安船代表者の歓談」、「満洲国童子団も賑々しく慰安船へ・通河」、「歓迎門を作つて慰安船を待つ・佳木斯」、「木蘭市街・人口約四余千の小都市であるが、木蘭県公署の所在地である。背後の青山嶺から約7千トンの薪を産出する」、「通河の娯楽場・通河は人口1万6千人、県公署の所在地で、一時匪賊来襲で商況停滞したが、現在やうやく活気を呈してゐる」、「依蘭の流筏・依蘭は三姓とも言はれる。鏡泊湖を経て東満洲を貫流して来た牡丹江と松花江の合流点で、人口約2万3千、木材の集散地だ」、「樺川着の慰安船、樺川は蘇々屯の別名がある。」、「人口約3万、背後の沃野に満人移民の流入する者が最近激増した。」、「富錦埠頭、富錦は松花江と黒竜江との合流点に近い江下第一の埠頭都市で人口約3万、うち500人は日鮮人である」
「曠野を行く」
- 内容
- 満洲写真作家協会第2回展覧会における馬場八潮による作品の掲載
- キャプション
- 「建国の大事業に参加する宣撫官の一隊が、生命の危険と行路難と戦ひながら、営々として行進する現実の相は、観者の魂に深甚なる迫力を齎さずにおかない。」
「満洲国第1回陸軍大演習」
「満洲国の新行政区画」
- 内容
- 各種キャプション
- 龍江省 チチハル
- 「古く北満に於ける政治上の要地として名高い。人口約8万人日鮮人3千余居住してゐる。」
- 興安省
- 「もとは東部内蒙古と言はれた地方で、百万に近い蒙古人が半農半牧の生活を営んでゐる。」
- 熱河省 承徳
- 錦州 錦州
- 「錦州は古くから遼西の政治経済的主要都市として知られる。人口約7万のうち日鮮人は約1万5千人である。」
- 奉天省 奉天
- 安東省 安東
- 「鴨緑江節で名高い安東の鉄橋もこの10月限りで動かなくなつた。人口約18万日鮮人約2万5千である。」
- 吉林省 吉林
- 間島省 延吉
- 「人口約2万余、うち日鮮人は半数を占めるが、間島住民の8割以上は朝鮮人である。」
- 濱江省 ハルビン
- 「人口約42万のうち露人5万5千余、日鮮人約1万3千、其他30余ヶ国人が居住する国際都市。」
- 三江省 佳木斯
- 「松花江岸にある、背後に樺川の沃野を擁し、附近の永豊鎮は日本屯墾隊の移民地である。人口約4万人、日鮮人7百を算する。」
- 黒河省 黒河
- 龍江省 チチハル