札幌駅周辺でアイヌ文化に触れられる場所はあるが、その場所が市民や観光客に認知され、有効に機能しているかと言われればそうではない。で、あるならば、どうすれば有効活用できるか?という問題。
問題の所在
- 札幌駅におけるアイヌ文化
- 今回の課題は、「札幌駅周辺においてアイヌ文化は観光資源としてどのように活用されているか」です。札幌駅とその周辺には、アイヌ文化に触れられる場所がたくさんあります。JR札幌駅西改札口には「弓矢を持つアイヌ男性の木彫り像」が立っていますし、その近くの壁には「アイヌ文様タペストリー」が飾られています。また2019年3月21日にはアイヌ文化を発信する空間「ミナパ」が地下鉄南北線さっぽろ駅の北改札と南改札の間にオープンしました。そして札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の柱のガラスケースではアイヌ刺繍を見ることが出来ます。
今回の巡検のテーマ
- アイヌ文化の認識を深めるためには
- 札幌駅周辺にある上記アイヌ文化は有効に機能しているといえるでしょうか。またアイヌ文化の認識を深めるためにはどのような手段や工夫や方法があるのでしょうか。これらを確かめるために、今回の巡検では札幌駅周辺を調査しました。
- 他国に比べて日本はアイヌ文化を活用しきれていない?
- 教授曰く、カナダのバンクーバーでは先住民の文化を活かした景観づくりが行われているが、それと比べると札幌駅周辺を見てもアイヌ文化は「パッと見」では見つけることができない。アイヌ文化が自然と目に着くようにすれば、「エキゾチシズム」という付加価値をつけることができ、札幌を他の観光都市と比べて差異化できる。
アイヌグッズは札幌ではどこで買えますか?
- アイヌグッズを求めて
- 巡検に出る前に早速クイズが!札幌市内においてアイヌグッズが買える場所はどこか?という問題です。で、私は自信満々に「かでる2・7」と答えてしまいました。しかし、本日「かでる2・7」の北海道立アイヌ総合センターに行きましたが、売ってませんでした!!「かでる2・7」アイヌグッズ売ってないよ!!じゃあどこに売ってるの?答えは以下の通り。
- 北大総合博物館「ミュージアムショップ・ぽとろ」
- アイヌToyToy屋 のグッズを取り扱っている札幌の店
- 【補:アイヌグッズではないが】アイヌ料理の店(海空のハル)
札幌市のアイヌ政策とは
- 札幌市アイヌ施策推進計画
- まず、札幌市アイヌ施策推進計画では「アイヌ民族の誇りが尊重されるまちの実現」が謳われていることを確認しましょう。上述したミナパも「市民や国内外からの観光客に対する、アイヌ民族の歴史や文化に対する理解促進のきっかけづくりと、市内・道内に存在するアイヌ関連施設の情報発信を目的」としています。
札幌駅へ
- 札幌駅地下巡検
- 西改札口、チカホを経て、我々がミナパに着くと、そこは単なる休憩場所と化しており、アイヌ文化発信空間として認識している一般の方々はほぼいませんでした。先端技術を駆使した投影ディスプレイもスルーされがちで、人々はそんなものには見向きもせず、ただただ世間話に興じるのみ・・・誰もアイヌについて理解促進されていませんでしたし、アイヌ関連施設のパンフレットもただ置いてあるだけでした・・・ミナパを出てさらに大通り方面に進みましょう。チカホの柱に飾られているアイヌ文様はさすがに目に入り、興味を惹かれると思われます。ですが、アイヌ文化の解説パネルは端っこの隅の方にあり、発見しにくいことこの上ありません。一体、何人がこの解説パネルを読んだことでしょう・・・さらにJRタワーオフィスプラザさっぽろの「アイヌ・トライブ」を見に行きます。このアートがある場所は、人の流れの動線から外れており、一般人はちょっとアクセスしづらいところにありました。
- アートツーリズム
- このような状況に対し、教授が唱えていたのがアートツーリズムからのアプローチ。札幌駅にはJRタワーアートとして様々な美術作品が展示されており、そのうちのいくつかがアイヌアートです。つまりヘリテージツーリズムの逆のアプローチで、アートツーリズムの一つとしてアイヌを扱ってもらうことにより、アイヌに興味のない人々にアイヌ文化に触れてもらうことができると述べていました。また教授はミナパにおけるアイヌ文字をイメージした文字フォントにも注目しておられました。アイヌの文字フォントを使うことで、アイヌ文化への接触率をあげることができることでしょう。
旧道庁赤れんが庁舎
- そらメソの舞台訪問
- 地下街から出た我々一行は、道庁赤れんが庁舎へと赴きました。天メソの聖地であり、階段や踊り場、教室の再現度がかなり高いものとなっています。作品中の教室の扉は記念室、教室内部は観光センターがモデルとなっています。赤れんが庁舎は2019年10月1日から改修工事に入るので、その前に訪問できて良かったです。消失聖地ツーリズムになるかもしれません。前回の近現代史演習で来たときには主に1階を見学しており、今回のヘリテージツーリズム論演習で2階を中心に見学したので、これで一通り見たことになります。1階には「北海道立文書館」及び「北海道の歴史資料ギャラリー」があり、2階には「北海道博物館赤れんがサテライト」、「樺太関係資料館」、「赤れんが北方領土館」、「国際交流・道産品展示室」、「観光情報コーナー」、「記念室」があります。
- ここでもアイヌに関する展示は2階の「北海道博物館赤れんがサテライト」のごく一部であり、オホーツク文化からいきなり13世紀のアイヌ文化に飛んでしまいます。教授からは、それ故に先住民としての連続性が問題になり、先住民としてなかなか認められなかったことが解説されました。和人が蝦夷地に流入しているので、アイヌを先住民とは見なせないとの論調があったとのことでした。
かでる2・7展示室
- 資料展示室は無人である。
- 授業は赤れんが庁舎で解散しましたが、個人として「かでる2・7」の7階にある北海道立アイヌ総合センターにも行きました。webでは「学芸員・職員に解説を求めることも可能」とか書いてありますが、資料展示室は無人で誰もいませんでした。図書情報資料室に入るには管理事務室を通る必要があり、一般の方は入りづらいかもしれません。また管理事務室の方に札幌市内で買えるアイヌグッズの販売場所を訪ねたのですが、明確な店名は出て来ず、新千歳空港と教えて頂きました。(アイヌグッズが売っている場所についてはこのページの上述の通りです)。