雑録

ぬきたし2「SSビッグスリー√」の感想・レビュー

ぬきたし1で敵サイドとして立ちはだかってきたヒロインたち。
FDでは新たに彼女らが攻略可能となったことがウリの一つでした。
しかし、彼女らは一筋縄ではいかない凄惨な過去を持っていたのです。
基本はバカゲーなノリですが、少女救済をするところが見所となっています。
要介護と共依存、泡に沈められた過去と自罰意識、家族形成への不安がテーマ。

ROUTE02「冷泉院桐香」シナリオの感想・レビュー

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  • とーかちゃん介護係り
    • 冷泉院灯華は生徒会長。容姿端麗・才色兼備・仕事も出来て弁舌も上手いという最強キャラ。しかしながら特異な才能を持つがゆえに代償も激しく、パラメーター全振りで有るがゆえに、基本的な日常のことは何もできないという欠点をもまた抱えていたのです。着替えもできなければ、歯磨きをも出来ない、食事もポロポロとこぼし、一人で階段を登ろうとすると吐くという人物だったのです。主人公くんはとーかちゃん係りに就任してその介護に励んでいくのですが、周囲の仲間たちは、このままでは将来介護疲れにより一家心中を図るのではないか危惧し、アレコレと世話を焼いてくれることになります。痴呆症にしろ老齢にしろ、家に要介護者の家族がいる方は共感できるかと思いますが、家族が暗くなっていく悲惨さを真剣に説いてくれるところは破壊力抜群。そんなわけで、とーかちゃんに基本的な生活習慣を身につけさせようというのがROUTE02の趣旨となります。

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ROUTE03「糺川礼」シナリオの感想・レビュー

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  • 自罰的な少女の咎と贖い
    • 糺川礼は真面目で情に厚い風紀委員長。この作品は性行為を観光資源とする島という設定であり、性交拒否者は風紀を乱す者として処罰が与えられました。それ故、風紀委員長である礼もその身体は爛れきっており、性産業の慰み者となっていたのです。礼は主人公くんから好意を告げられるも、それを拒絶してしまいます。礼自身も主人公くんのことを好いてはいたのですが、誰からかまわず股を開いてきた、汚れてしまった身体であるため、処女厨である主人公くんを苦悩させてしまうであろうと考え身を引いたのです。
    • 礼と結ばれるためには、トラウマを解消することが主題となります。礼の家庭は幼少期に父親が多額の借金を残して死亡し母親が精神的に病んでしまったため、極限状態に陥ります。そして礼は母親によって幼くして泡に沈められ、水商売をすることになったのでした。そんな過去を持つ礼だからこそ、私怨により性交拒否者を許すことができず、風紀違反を名目に厳しく取り締まってきたのですね。自分が苦しめられたのだから、他人も苦しまないのは不当であると風紀と立場を利用して、価値観の押し付けを強いて来たのです。以上により、礼は社会的立ち位置を利用して個人的な怨恨を晴らしていたことに対して罪の意識を抱いているのです。この自罰的な少女を罪の意識から解放することが礼シナリオの見どころとなっています。礼の親友であるわたちゃんから赦されるシーンはグッとくる描写となっています。おススメ!!

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ROUTE04「女部田郁子」シナリオの感想・レビュー

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  • 長崎方言女子 よくある男として育てられた女の子モノ
    • 女部田郁子は戦闘狂の特攻隊長。ぬきたし「1」ではバーサーカーとなり主人公くんに襲い掛かってきます。「2」ではそんな郁子の過去が語られ人物像の掘り下げが行われます。郁子は長崎の名門の武術家の家系に生まれ、当初は蝶よ花よと育てられました。しかし母親が男の子を身ごもると周囲の大人の関心はこれから生まれてくる胎児に向かい、郁子からは離れて行ったのです。故に郁子は弟を呪うことになるのですが、なんと死産に終わり、母親もまた死んでしまったのです。自分が呪ったせいで弟が死んだ、母も死んだと愕然とする郁子でしたが、父と祖父は跡継ぎとして郁子を擁立しようと考え、郁子を男として扱う事となったのでした。以来、郁子は厳しい訓練を積むことになり、一流の腕を身に着けます。しかし不幸は重なるもので、父も祖父も流行り病に感染して死亡。同じように死にかけていた郁子は九死に一生を得たのです。女性であることを封ぜられた郁子が自分が女であることのヨスガとしたのがおなぬーであり、これにより自我の崩壊を防いでいたのでした。郁子ルートの主題は、「自分は幸せな家族を作ることができるか」という不安についてです。一般的なフツーとは程遠い家庭に生まれ育った郁子は主人公くんと結婚して子どもを作っても幸せになれないのではないかと恐れているのです。また、子どもを孕んだとしても、主人公くんの関心が自分にではなく子どもに行ってしまうのではないかと煩悶します。郁子の不安を取り除き、幸せにしてあげましょう。

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