雑録

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(全11話)の感想・レビュー

コンテンツツーリズムで重要な作品であるため視聴。
埼玉県及び秩父市の観光政策に利用されているアニメ作品。
幼少期の仲良し6人組がヒロインの死により空中分解し過去の呪縛に囚われる。
それぞれがトラウマを抱えて歪んだまま成長しあの日の夏に執着し続ける。
高1の夏、死んだヒロインの死霊が出現したことを契機に過去の清算が始まる。
メンバー達の激しい感情のぶつかり合いと最終的な和解が本作品の見どころ。

雑感

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  • 仲良し幼馴染グループのメンバーはそれぞれがメインヒロインを死なせてしまったのは自分のせいだと思い込み、贖罪を求めていた。
    • 物語の当初は幼馴染の死、母親の死、高校受験の失敗により不登校でヒキコモリになった主人公像としてじんたんが提示されます。そしてこのじんたんが死霊ヒロイン:めんまの「願い事」=未練を解消するという動機付けを得て、さまざまな課題に挑戦することで、社会復帰していくという構造をとっています。復学への挑戦、ポケモンによるゲーム好きヒロインとの交流の復活、花火を打ち上げる為のバイトなど様々な社会経験を積み、ヒキコモリを脱却していくのです。
    • めんまが死んだ日、じんたんは幼馴染グループからめんまのことが好きなのでは?と囃し立てられたため、めんまのことをなじって逃走してしまいます。よくあるツンデレ男児の幼馴染展開テンプレを地でいくパターンですが、このことがきっかけとなりめんまは事故に遭い死んでしまうのです。こうしてじんたんは間接的にとはいえ自分がめんまを殺してしまったという罪の意識を抱えることとなったのでした。
    • このように、じんたんの告白劇がめんまの死を引き起こしたのですが、実はこの死の背景には幼馴染全員が関わっていたのです。めんまに好意を寄せていたグループNo.2の男:ゆきあつと、じんたんに好意を寄せていた少女:あなるがこの告白劇を仕組んでおり、これを事前に知ったつるこはめんまに真相をばらしています。お情けでグループに入れてもらったみそっかすの少年:ぽっぽは事故後にまだ生きている品詞状態のめんまを目撃しており、恐くなって助けを呼ばずに逃げ出していたのです。じんたんはめんまが死んだのは自分のせいだと思っていましたが、幼馴染グループ全員が罪の意識を抱いていたのです。

 
 

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  • 幼少期の意趣返しをするために何かやたらと主人公に突っかかってくるキャラの執着心が印象深い
    • 登場人物の中で一際異彩を放っているのが、じんたんに執着するライバルポジションの少年:ゆきあつです。高校受験に失敗しヒキコモリになったじんたんを学歴差別による優越感から蔑視するコトバを投げつけてきます。めんまが好きだったゆきあつは、めんまに好意を寄せられていたじんたんを今でも憎悪し、じんたんにだけめんまの死霊が見えることから、感情を抑えきれないのです。拗らせたゆきあつはめんまの女装コスをすることで自我の均衡を保っており、「じんたんのめんま」に対して「俺のめんま」を創り上げていました。そして対抗心からめんまのコス姿を晒すことで、俺のめんまは願い事など望んでいないと架空の嘘をでっちあげ、願い事探しを叩き潰そうとしてくるのですね。
    • ゆきあつが「願い事」を叶えるのに協力してくれるようになるのも、じんたんにしかめんまが見えないことを極度に嫌ったためでした。めんまを成仏させてじんたんがめんまを独占する状況を打破したいという理由で「花火」作りを成し遂げようとします。物語の途中で、めんまの母親により花火づくりが妨害されます。その理由は死んだむすめをダシにして花火づくりを楽しもうとしているというものでした。このめんまの家族問題を解決したのがゆきあつで、めんまの父親に土下座して理解を求めた所などでは男を見せるのですが、それも上述の通り、めんまがじんたんにだけ見えることに起因する嫉妬心と考えるとかなりの歪みっぷりが分かるのではないでしょうか。
    • じんたんに対する激しい嫉妬と羨望から、じんたんを乗り越えるために世間からの評価=文武両道・才色兼備を手に入れたゆきあつでしたが、結局のところで求めていたものは手に入れることができなかったのです。めんまの愛情はじんたんに向けられており、同族意識から求めたあなるも、最後までじんたんに惚れこんでいたのです。まぁ、つるこはずっとゆきあつが好きであり、ゆきあつの支えとなれるように努力して寄り添ってきたのだから、最終的には社会的ステータス(高校時点ですが・・・)と自分の理解者を得たのだから、良かったのでは?

 
 

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  • 結局「願い事」そのものはじんたんに感情を吐露させることだが、「花火」は登場人物たちの和解に必要なイベントであった。
    • 本作品の目的はめんまの「願い事」=未練を叶えて、成仏させることです。その願い事とは病弱なじんたんの母からめんまに託されたものでした。すなわち、母親が入院したことにより、気を張って強がって弱い感情を見せなくなったじんたんに、感情を吐露させることだったのです。実はこの「願い事」は第8話で叶っており、めんまに指の間の汚れを取って貰っていたじんたんが、めんまの成仏=めんまの消失であることを意識した時に、涙を流すのですね。じんたんはここでフランダースの犬を引き合いにだすのですが、ここでめんまがパトラッシュは幸せだったと思うよという解釈を示してくれます。つまりはめんまの比喩がパトラッシュであるため、めんまの人生も幸せだったということ。こうして未練が解消され、めんまの願い事は叶ったのです。以後、めんまは薄れかけていくのですが気合で花火打ち上げまで現世に留まります。花火が成功した後も、すぐにはめんまが消えなかったのは、残滓が残っていたからと推測されます。
    • じゃあ、花火は何のためにやったのか?という疑問が残りますが、これは幼馴染たちが和解するための装置として使われます。花火成功でもめんまがすぐに消えなかったため、その理由を考えることになります。ここで幼馴染メンバーたちは、自分たちがめんまの成仏を心から願っていたのではなく、自己本位から花火を打ち上げたと告白するのです。こうして腹を割って話しあった結果、お互いがこれまで抱いていた肥大化した感情は収束に向かい、お互いをより深く理解して、新たなる幼馴染の絆を結び直したのでした。この時点でめんまはもうすでに願い事を叶え、最後の拠り所であった花火も終わったため、あとはもう消えていくばかりでした。とうとうじんたんの目にも見えなくなり、その場にいるのに認知してもらえません。めんまは最後の力を振り絞り残された霊力?で手紙を書き上げ、幼馴染メンバーズに託します。この手紙を読んだメンバーたちは最後に「かくれんぼ」になぞらえた形で「めんまを見つけ」、全員めんまの姿を可視化できるようになります。そして幼馴染たちに見送られ、めんまは消えていったのでした。
    • 幼少期にメインヒロインの死により瓦解した仲良し幼馴染たちの絆が、成長後に現れたメインヒロインの死霊により深いカタチで再構築されたというお話。ただ、話の丈が足りなかったためか、もしくは演出の蛇足になるためか、ぽっぽとつるこはキャラの掘り下げが浅いような感じ。一応前振りはありましたが、ぽっぽなんて事故現場で死ぬ寸前のめんまを見捨てたことをカミングアウトするのはちょっとトートツ感ありましたし。あとじんたんの母親が死ぬところや中学編、高校入試の失敗などはもう少し詳述されていてもよかったかもしれません。

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