雑録

喫茶ステラと死神の蝶 体験版の感想・レビュー

人間の感情に引き寄せられる魂の残滓「死神の蝶」を刈る為、喫茶店を開く話。
主人公は交通事故にあうが「死神の蝶」の力で過去改編し生き返ってしまう。
世界の秩序を乱す存在と認定された主人公は死神の監視下に置かれ喫茶店に協力することに。
(協力しないと神が世界介入して主人公くんは死ぬ。デッドエンド。)
茶店にこだわるのは四季ナツメさんが両親の夢を受け継ごうとしていたから。
体験版では店を開く為に内装や制服の準備、料理の修行や人材集めに奮闘することになる。
パティシエ確保の為、退職し精神崩壊中の涼音さんを社会復帰させる場面が見所。
体験版の時点では、ナツメと涼音がツートップで印象深いキャラとなっている。

「死神の蝶」とは何か?

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  • 本作の死神は魂の残滓である「死神の蝶」を浄化するお仕事
    • 【1】本作の主人公くんは学部3年で堅実に人生を送っています。しかしながら、順調に単位を回収し、インターンに行ったりしてみるも、将来に対して希望が持てずにいました。「正規雇用の給与所得者になり結婚して家庭を持ち子どもを育てて定年まで働く」・・・そんな「日本的成功モデル」を前にして苦悩しています。実際問題、小泉政権の時にそのような「日本的成功モデル」は崩壊してしまったのですが、社会には過去の幻想として理想像がこびりついており、その枠組みから外れる者に恐怖や劣等意識を与えるのです。就活を目前にするなかで、無意識に現実に不満を持つ主人公くんに「死神の蝶」が巣食っていきます。(と、いうか同日発売であるCF1億円の『MUSICUS!』も「日本的成功モデル」に対してのアンチテーゼを謳ってましたね)
    • 【2】主人公くんは交通事故に遭い死ぬのですが、その際に童貞のまま死にたくないと強く願ったことにより「死神の蝶」の力が発動し、過去改編が行われ、時間が巻き戻されて蘇ります。この力を使ってしまったからさぁ大変。世界を改編した主人公くんは神々から目を付けられることになり、神の遣使である死神の栞那さんから協力を要請されます。栞那さんは魂の残滓「死神の蝶」を浄化する仕事についており、「死神の蝶」は人間の感情に吸い寄せられる為、効率よく蝶を集めるために店を開きたいというのです。主人公くんはこれに協力すれば、神の遣使である栞那さんの監視下に置かれることとなり、即座に神から干渉を受けて修正されずに済むというワケです(※ちなみに断ると神の世界干渉によりセカイは修復されて主人公くんは死ぬ)。以上により、主人公くんは死神と一緒に店を開くことになったのです。

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四季ナツメさんは両親の夢であった喫茶店を開きたい

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  • ナツメさんと喫茶店へのコダワリ
    • 【1】主人公くん達の当面の目標は喫茶店の開業まで漕ぎつけること。なぜ「喫茶店」かというと、ナツメさんにコダワリがあったからです。キャラソンCMムービーの自己紹介での伏線がここで回収されます。ナツメさんはもう既に栞那と知り合っており、二人で店をオープンさせようとしていたのですが、店の持ち主である大家が要求してくる基準を満たすことができなかったのです。主人公くんは大家の要求の基準を充たすべく、獅子奮迅の活躍を見せます。
    • 【2】喫茶店へのこだわりについて、ナツメさんの口から語られる理由説明では、CLANNAD展開が発動します。クラナドでは、渚のパパのアッキーが演劇の劇団員をしていたけれど、子育てと両立できずに渚が病気になってしまい、夢を諦めたというアレですね。ナツメさんの場合も幼少期に病気をしたせいで、両親の喫茶店の夢を潰してしまったのでした。だからといってナツメさんが喫茶店を開いても今更どうにもならんだろうという問題ですが、よくある泣きゲーとかだと「ナツメは実はホスピスであり、栞那の死神パワーで一時的に病気から復活しているだけで、最後の未練をかなえようとしている」とかいう安直パターンが予想されます。本作品はどうなるか楽しみですね。
    • 【3】体験版の主役は四季ナツメさんであるといっても過言ではなく、ナツメさんの夢であったカフェを開業するために努力する主人公くんという構図になっています。ただ単に喫茶店を開くことだけ漠然と考えていたナツメさんや栞那に対し、主人公くんはパパンの力も使って、諸問題をクリアしていきます。店をどのような客層をターゲットにして利益を出すのか、そのための店づくりとしての制服や内装、料理はどうするのか等々を具体的に詰めていきます。主人公くんが料理をマスターするために特訓するシーンは良い感じ。主人公くんとその父親の関係を描いたり、主人公くんが女の為に努力したりするのは『サノバウィッチ』でもありましたが、結構好き。
    • 【4】喫茶店はナツメさんの提案なので、体験版をやるとカウントダウンムービー26日前で「感慨深い」と言っている言葉の意味がよく分かると思います。またナツメさんは一種の顔芸が魅力的であり、クールで不愛想になりがちなことを気にして笑顔の練習をしたり、酒に酔って主人公くんに絡み翌日に理性を取り戻して照れたり、主人公くんを喜ばせるために足コキをマスターしてきたりとそれはもう素晴らしいキャラ造形。体験版の表のヒロインは間違いなくナツメさんという事が出来るでしょう。
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精神崩壊シリーズ涼音さん編 退職した若者はどこへ行ったか?

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  • 苦労を重ねてパティシエになるも退職して精神崩壊してしまった涼音さん

    • 【1】ナツメさんが体験版の表のヒロインだとしたら、裏のヒロインがサブキャラ枠の涼音さん。ゆずソフトは伝統的にサブキャラも攻略できますし、体験版のオマケシーンではきちんと夜伽描写も用意されています。やったね、涼音さん!

    • 【2】涼音さんは主人公くんの友達の姉で、かつてはエリートなパティシエだったのですが、有名店を退職してニートとなっておりヒキコモリの生活を送っていました。個人的に、こういう退職・精神崩壊キャラ大好きです。例えば、①生徒間トラブルに対処できずに生徒が自殺し精神崩壊してしまった『素晴日々』の女性教員。②上司のパワハラ、理不尽な要求をする保護者への対応、複雑な家庭環境の生徒対応などで擦り切れて適応障害を起こしてしまった『みあよぞ』のニート先生。③イジメ問題を解決するために尽力するも結局生徒が転校することになり心が折れてしまった『天色アイルノーツ』の主人公くん。④有名私大附属高校の教員になるもエスカレーター式私立が内包する教員・保護者・生徒の腐敗にノックアウトされた『夜廻る』の主人公くんなどなど、よりどりみどり。本作によりまた1枚、退職&精神崩壊キャラに新しいページが刻まれました。

    • 【3】閑話休題。本作の場合は、主人公くんが涼音さんの社会復帰に一役買います。親友と共に涼音さんの部屋に赴き衰弱している所を保護すると、職場でのトラブルの情報を集めて行きます。親友(涼音弟)の話では、涼音さんの理想はデザート重視論であり、どんな料理でもデザートの質が悪いと料理全体、ひいては店全体が悪いイメージとなってしまうので、デザートが重要だと唱えていたそうです。涼音さんは、デザートで人を喜ばせるのだとケーキ作りに命を燃やしていたのだそうです。しかし涼音さんはその理想のあまり上司と衝突を繰り返すことになり、結局は自分の理想を実現することができず、退職に追い込まれてしまったのでした。

    • 【4】そんな汐音さんにパティシエとしての情熱を取り戻させるために主人公くんは一計を講じるのです。キッチンスタッフ担当になった主人公くんは、特訓によりオムライスやパスタなどの腕を磨き、涼音さんとその弟に振舞います。しかし、ここで出されたデザートが料理に比べて見劣りするパンケーキだったのです。これがデザート最強信者の涼音さんのプライドを刺激するというわけさ。なぜ料理はキッチリ作っているのに、パンケーキは練習しなかったのだと!!!涼音さんはブチ切れた結果、生きる気力を取り戻し、お手本を振舞ってくれるのです。そしてメンバーたちからは絶賛の嵐!を受けます。こうして涼音さんは喫茶店の厨房担当として働くこととなったのでした。

    • 【5】主人公くんは涼音さんと同じキッチンスタッフということで、様々なスキルの手ほどきを受けるのですが、この師弟関係がなかなかグッとくる展開になっております。涼音さんも正ヒロインで良かったんじゃね?と思わずにはいられないのでした。主人公くんと朝の仕込みをするために、涼音さんが自室まで迎えに来てくれて、一緒にキッチンへ向かうとか最高のシュチュなので是非プレイして欲しいところ!!

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