雑録

喫茶ステラと死神の蝶 製品版共通ルート「仕事と能力とアイデンティティ」の感想・レビュー

製品版共通√は3章末尾と4章。ここでは主人公が自己の卑屈さと対峙することになる。
成功体験に乏しいから自分に自信が持てず自己肯定感が低くなるという負のスパイラル。
そんな状況に対し主人公は喫茶店での仕事を通して自分に出来ることを増やしていく。
しかし頭にチラつくのは自分の料理が必要されていないのではないかという疑念。
この疑念を3章のモブの女の子や4章の新メニュー開発により払拭するのだ!
こうして仕事により能力を身につけた主人公はアイデンティティを確立していく。
そういえば天色アイルノーツの主人公も自己卑下と向き合うことが求められていましたね。

自己の卑屈さに囚われる主人公が負のスパイラルから脱却する成長譚

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  • 3章 モブキャラ少女による父親のための誕生日ケーキのはなし
    • 3章は後半まで体験版でプレイできますが、3章の概要をざっとおさらい。3章では、二人のサブキャラが話の中心になっていました。一人目は、いつもケーキを注文するのに手を付けず残してしまう中年男性。二人目は父親の誕生日の為にケーキを探す女の子。この二人が実は親子であり、誕生日パーティーを成功させるために、主人公くんたちは二人に関わっていくという流れです。一方で主人公くんはネガティブ思考に陥りがちで、自分の料理について悩んでいました。頭では喫茶店なのだから紅茶・コーヒーとケーキが主であり軽食は二の次と分かっているのですが、どうしても自分がつくる軽食はいらないんじゃね?と悲観的になっていたのです。そんな主人公くんの悩みを解決するのが、このモブキャラの少女だったのです。誕生日パーティーは、主人公くんの発案で、女の子も一緒にケーキを作ることになり、大成功を収めます。そして手作りケーキに加えて、女の子が父親の仕事に尊崇の念を抱いていることを語ると、父親は奮起して仕事での失敗を乗り越えることが出来たのですね。そしてこの余波が主人公くんにも及び、女の子は主人公くんが作るオムライスが大好き!と伝えて来るのです。今まで褒められるという経験が無かった主人公くんはここで初めて肯定を得たのでした。

 

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  • 4章 新メニュー開発と定期試験の勉強指導
    • 3章で女の子にオムライス美味しいですと言われた主人公くんですが、問題の根は深く、そう簡単に自分の卑屈さから脱却できません。主人公くんが一歩を踏み出すには、まだ何かが必要なのです。それが4章でのテーマとなるのですが、父親からの導きで、新メニュー開発に挑んでいくことになります。ゆずソフトの作品はチラホラと父親の役割が重要な位置を占めることがあり、サノバウィッチの時にも父親のアドバイスが良い味だしていました。父親と対立している反抗期を乗り越え、何とか助言を受け入れられるようになる頃の年代の描き方が、なかなか上手いと個人的には思っています。皆様は如何でしょうか?・・・話がずれましたね、内容の話に戻りましょう。
    • 主人公くんは新メニューの開発と並行して後輩二人の高校の試験勉強を見てあげることになります。同じ大学の四季ナツメさんとタッグを組んで、メカクレ鬼太郎ヒロインの赤点回避に臨みます。みんなでワチャワチャしている雰囲気がわりと素敵に描けているだけでなく、もし赤点になるとスタッフが欠如して職場が地獄になるので必死に取り組む展開が結構グッときます。このような慌ただしい毎日を送る中で、主人公くんは「包み込む」という発想を得て、カルボナーラのオムレツを考案します。これが結構受けて新メニューに加わる事になり、主人公くんはメニュー開発の喜びを噛みしめるのでした。

 
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  • 栞那さん=主人公くんの母親説
    • この主人公くんの卑屈さを見事に突くのが栞那さんの役割となっており、3章の女の子が主人公くんのオムレツのファンになってくれたこと等を挙げ、主人公くんに自己肯定感を認識させる機能を果たしています。また主人公くんが父親との関係を再構築するなかで、死んだ母親の幻影を思い出すようにもなっていきます。栞那さんは主人公くんが抱える心の闇を知っているような描写が挿入されるので、まさか栞那さんは主人公くんの母親なんじゃね?という邪推が出来てしまうのですね。いや、もう続き読めば真相は分かるのですが、共通√をやった時点での感想ということで、ここに記しておきます。

 
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