2020-06-12 【日本史】政治史人物整理 失われた30年の内閣 受験日本史 概要 55年体制の崩壊により非自民党政権が誕生するが、自民党は首相の座を捨て社会党と連立を組むことで政権に復帰。その後、失われた10年に対処すべく小泉構造改革が行われるが新自由主義経済のもと格差社会が発生。ポスト小泉後、自民党短期政権はリーマンショックに対処できず倒れるが、続く民主党政権も東日本大震災の六重苦により安定せず、再び自民党に政権が戻った。トリクルダウン理論のもとアベノミクスが展開されるが、2015年には一人当たり名目GDPは世界27位に転落し、貿易赤字が慢性化している。 1.非自民連立政権 (1)細川護煕内閣(1993.8~1994.4)日本新党・社・公・新生・さきがけ等8党派非自民党連立内閣 (2)羽田孜内閣(1994.4~1994.6) 新政党・公明党・日本新党・民社党などの非自民連立政権 2.自民党連立政権 (1)村山富市内閣(1994.6~1996.1) 社会党・自民党・さきがけ (2)第一・二次橋本龍太郎内閣(1996.1~1998.7)自社さ連立 ※第二次は単独(社・さは閣外協力) (3)小渕恵三内閣(1998.7~2000.4) 自民党単独政権として発足→自由党(のち保守党)、公明党と連立。 (4)第一~二次森喜朗内閣(2000.4~2001.4) 自民・公明・保守 3. 21世紀の日本 (1)第一~三次小泉純一郎内閣(2001.4~2006.9) 自民・公明・保守 (2)小泉以後の自民党政権 第一次安倍晋三内閣 (06.9~07.9) 福田康夫内閣 (07.9~08.9) 麻生太郎内閣 (08.9~09.9) (3)民主党政権とは何だったのか? 鳩山由紀夫内閣(09.9~10.6) 菅直人内閣 (10.6~11.9) 野田佳彦内閣(11.9~12.12) 4.安倍長期政権と日本の衰退 第二~四次安倍晋三政権(2012.12~2020.6現在) 自民・公明連立政権 1.非自民連立政権 (1)細川護煕内閣(1993.8~1994.4)日本新党・社・公・新生・さきがけ等8党派非自民党連立内閣 ①組閣:93年8月総選挙で躍進した日本新党代表の細川を首相とする非自民党連立政権を組織。 ②政治:政治改革を第1目標に掲げ小選挙区制・政治腐敗防止法などを成立させる。 ③経済:コメの部分市場開放を決定。 ④総辞職:佐川急便グループからの不正資金提供疑惑により総辞職。 (2)羽田孜内閣(1994.4~1994.6) 新政党・公明党・日本新党・民社党などの非自民連立政権 ①組閣:宮沢内閣の時に自民党を離党した羽田と小沢一郎の新政党が中心。 ②業績:前内閣が提出した諸法案を引き継ぎ第129通常国会成立させる。→料金の引き上げをはかる保険法等改正、公職選挙法改正、政治資金規正法改正など ③総辞職:94年度予算成立後、自民党提出の不信任案に社会党も同調したため退陣。 2.自民党連立政権 (1)村山富市内閣(1994.6~1996.1) 社会党・自民党・さきがけ ①組閣:与党第1党の自民党総裁河野洋平を副総理にして社会党党首村山が組閣。社会党内閣としては1947~1948年の片山哲内閣以来47年ぶり。 ②社会党の転換:日米安保体制の継続、自衛隊合憲、「日の丸」「君が代」を国旗国歌として承認 ③業績:年金法(国民年金法を改正→支払いを60から65歳へ)・小選挙区区割法・消費税率引上(5%)決定 ④社会:阪神淡路大震災(95.1)、地下鉄サリン事件(95.3) (2)第一・二次橋本龍太郎内閣(1996.1~1998.7)自社さ連立 ※第二次は単独(社・さは閣外協力) ①組閣:村山退陣後、連立を維持し自民党の首相が復活。総選挙後の第二次橋本内閣は自民党単独政権。 ②経済:バブル経済の時に放漫な融資を行った金融機関に巨額の公的資金を投入し、不良債権処理を図る。 住専問題…住宅専門金融公社を救済するため公的資金6850億円を投入。 ③改革:行政の効率化や財政健全化を目指して行財政改革に着手。 政治 中央省庁再編…縦割り行政の是正。組織のスリム化。 1府22省庁→1府12省庁、内閣府設置(官僚主導から政治主導へ) 経済 財政構造改革法…05年までに国と地方の財政赤字をGDP比3%以下に抑制、赤字国債発行の抑制を目指す。 消費税率5%実施 日本版ビッグバン…銀行・証券・保険の3分野の垣根を低くすることを目的に金融制度改革。 サラリーマンの医療費負担1割→2割へ 外交 アメリカとの間に普天間飛行場の返還に合意 日米安保共同宣言…冷戦終結によるガイドラインの見直しを宣言。 北海道関係…露大統領エリツィンと北方領土について会談及びアイヌ文化振興法成立。 ④挫折と退陣 不良債権処理の遅れから金融機関の破綻が相次ぎ、さらにアジア通貨危機の発生により景気は急速に悪化、改革は挫折した。参院選に敗れて退陣。 (3)小渕恵三内閣(1998.7~2000.4) 自民党単独政権として発足→自由党(のち保守党)、公明党と連立。 ①組閣:橋本退陣後、自民党総裁選で勝利し首相に就任。 ②金融国会…北海道拓殖銀行の経営破綻、山一證券の自主廃業を受け金融再生処理法が成立 ③業績…改正男女雇用機会均等法・ガイドライン関連法(日米防衛協力のための指針)・国旗国歌法 ④退陣:脳梗塞で入院、死去。 (4)第一~二次森喜朗内閣(2000.4~2001.4) 自民・公明・保守 ①組閣:小渕急病後、有力者による密室協議で首相になったとされる。 ②第26回サミット(九州・沖縄)…情報技術の格差解消、感染症対策、遺伝子組み換え食品の安全性など ③退陣:失言問題などでマスコミからの批判もあり支持率低下を理由に総辞職。 3. 21世紀の日本 (1)第一~三次小泉純一郎内閣(2001.4~2006.9) 自民・公明・保守 ①新自由主義と格差社会 小さな政府を目指して民営化と規制緩和を促進。特に労働・雇用の面での派遣労働の原則自由化によって、非正規雇用労働者が急増し、雇用の打ち切りができるようになった。 自由競争が重視された結果、2002年以降いざなぎ景気を超える好景気が続いたが、貧困と格差によるものだったので、「無実感景気」「リストラ景気」「格差景気」などと呼ばれる。 ②具体的な政策 政治 国立大学法人・病院・美術館・博物館などの独立行政法人化 道路関係四公団民営化関係四法公布・郵政民営化法公布 経済 三位一体の改革(地方分権促進)…地方への補助金削減・地方交付税の削減・税源移譲 労働者派遣法改正…製造業への派遣解禁、派遣期間の延長など 外交 日朝首脳会談 → 日朝平壌宣言に調印 (2)小泉以後の自民党政権 第一次安倍晋三内閣 (06.9~07.9) 「戦後レジームからの脱却」→憲法改正国民投票法、改正教育基本法 参院選で大敗、「ねじれ国会」 福田康夫内閣 (07.9~08.9) 「ねじれ国会」に悩まされ法案可決が難航。 サミット(洞爺湖)後、総辞職。 麻生太郎内閣 (08.9~09.9) 政権発足直後にリーマンショックによる世界金融危機が起こる。 支持率が低いまま総選挙で敗退。 (3)民主党政権とは何だったのか? 鳩山由紀夫内閣(09.9~10.6) 民主党大勝。参院対策として社民・国民新党と連立。 普天間基地移設問題で迷走し、鳩山と小沢の汚職問題もあり退陣。 菅直人内閣 (10.6~11.9) 消費税増税発言で参院選大敗。 尖閣諸島での中国巡視艇事件、東日本大震災、福島第一原発事故の対応への批判が集まり退陣。 野田佳彦内閣(11.9~12.12) 復興増税・消費税増税に取り組むもマニフェストの変更で党内からも批判が高まる。 第46回総選挙に大敗。 4.安倍長期政権と日本の衰退 第二~四次安倍晋三政権(2012.12~2020.6現在) 自民・公明連立政権 ①第46回総選挙(2012.12)で自民党が294/480で勝利し安倍晋三が5年ぶりに首相に返り咲く。 「危機突破内閣」と称して経済再生、復興、危機管理に取り組む政策を示す。 ②第47回総選挙(2014.12.14) でも自民党が291/475で勝利し、第三次安倍内閣発足。 アベノミクス3本の矢…金融緩和(通貨供給量を増やす)・財政政策(政府による需要創出)・成長戦略 失われた30年…2015年時点では一人当たり名目GDPは世界27位に転落し、貿易赤字が慢性化 ③第48回総選挙(2017.10.22)自民勝利(274/465)第4次安倍内閣。 2017年現時点での成長戦略「第4次産業革命」における革新的技術(IoT、人工知能、ビッグデータなど)の創出と活用を目指している。 安倍の総裁任期は2021年9月末まで。 ④明仁の退位と徳仁の即位 2019年5月1日、125代明仁が退位し、徳仁が126代天皇に即位した。 ⑤コロナショック 2020年新型コロナウイルスにより世界経済は打撃を受けた。