帝国主義アメリカ ~膨張主義の展開~

1.南北戦争後のアメリ

  • ①黒人問題…解放された400万近い奴隷は土地を所有せず→小作農になるか農業労働者になるしかない。
    • シェアクロッパー制度:土地・農機具・住居・家畜など農業生産に必要な手段を地主から借り受け、収穫物を3分の1~2分の1を地主に支払う分益小作人を使った制度。
  • ②大陸横断鉄道…1869年。東部と太平洋岸が連結。西部開拓が促され合衆国が経済的・政治的に統一。
  • ③独占体の形成と移民問題
    • (a)資本主義の高度化と独占段階…トラストの形成:市場に複数ある同業会社を合併・買収することによって市場を一社で支配→ロックフェラー(スタンダード石油会社)・モルガン(金融と産業界を支配した財閥)
    • (b)労資問題 → 工業化により賃金労働者が増大し、労資問題が発生
      • 資本家の立場:ハーバード=スペンサーの「社会進化論」を信奉。→「神を信じ勤勉を尊びその報酬として富が与えられ、それによって社会が進化する」
      • 労働者の立場→1886:アメリカ労働総同盟(AFL)・1905:世界産業労働者同盟(IWW)を結成。
    • (c)19世紀における人口移動
      • ヨーロッパ系…1870年代まではアイルランド系・ドイツ系が中心。19世紀半ばの欧州は工業化の進展と農業の近代化で従来の社会構造がくずれ困窮者が増大。アイルランドのじゃがいも飢饉や1848年の革命の政治混乱によりアメリカに移住した。※80年代以降は伊・東欧からの移民が多数派。ユダヤ人も流入した。
      • アジア系…クーリー(苦力)と呼ばれるインド人や中国人の移民。奴隷制の廃止に伴い低賃金肉体労働で労働力を補完した。中国人移民はカリフォルニアなどの太平洋岸に居住し、大陸横断鉄道の建設を担った。

2.アメリカの対外膨張

1880年代に世界最大の工業国・1890年にフロンティア消滅

パン=アメリカ会議(1889)

  • ラテン=アメリカ諸国を勢力下に置く。

マッキンリー政権(任1897~1901)

  • (a)1898年 米西戦争 ← カリブ海政策の一環。
  • (b)ハワイを併合 → グアムとフィリピンを連絡 「太平洋の飛び石」
  • (c)ジョン=ヘイの門戸開放宣言 →列強の中国分割に対して門戸開放・機会均等・領土保全

セオドア=ルーズヴェルト政権(任1901~09)

  • (a)革新主義…産業の独占化・社会的不平等に対し、反トラスト法で独占を規制。ロックフェラーのスタンダード石油会社を標的としたシャーマン法を制定した。
  • (b)棍棒外交…カリブ海政策。「大きな棍棒を携えて、穏やかに話せ」と軍事力を背景に外交政策を展開。コロンビアからパナマを独立させて、パナマ運河を建設(1914開通)。
  • (c)ポーツマス条約…日露戦争で日本を支援し、講和を斡旋。

タフト政権(任1909~13)

  • ドル外交 …海外投資の拡大によって政治的・経済的な影響力の増大をはかる外交政策

ウィルソン政権(任1913~21)

  • (a)新しい自由…独占を打破し、自由競争を回復するための法的規制の重要性を説く政策方針。
    • →クレイトン反トラスト法…独占を生み出す大企業の行為を禁止。不当競争を防止するため連邦取引委員会を成立
  • (b)宣教師外交…独裁政治に苦しんでいる地域にすぐれたアメリカ流の民主主義を広めることが使命とする外交方針。--ハイチ・ドミニカ・キューバなどカリブ海諸地域に海兵隊を派遣し、メキシコ革命にも介入。