1.第一次世界大戦の経緯
(1)大戦勃発
- 1914
- 6.28 サライェヴォ事件…墺領ボスニア・ヘルツェゴビナ州でセルビア系民族主義者に皇太子フランツ=フェルディナントが暗殺される。
- 7.28 墺の対セルビア宣戦…ドイツの強力な支援により墺はセルビアに宣戦
- 7.30-31 ロシアの総動員…ロシア、パン=スラブ主義に基づき対オーストリア参戦
- 8月 ドイツのシュリーフェンプラン発動!
- 敵国いずれかにおいて動員が下されたならば、直ちにドイツも総動員を進めてベルギーを通過してフランス軍を包囲殲滅し、さらに手を返して動員の遅いと見られるロシア軍に対処するというもの。ドイツはこの計画に従って、8月1日にロシアに対して、さらに二日後にはフランスに対しても宣戦を布告し、ベルギー侵攻を開始した
- 8.1 ドイツの対ロシア宣戦
- 8.3 ドイツの対フランス宣戦・ドイツのベルギー侵攻
- 8.4 イギリスの対ドイツ宣戦…永世中立国ベルギーへの侵攻は国際法違反
(2)大戦の展開
- 1914
- 8月
- 日本参戦…ドイツ東洋艦隊による通商破壊を防ぐ為、日英同盟に基づき参戦
- タンネンベルクの戦い…独将軍ヒンデンブル、ロシアに圧勝。
- 9月 マルヌの戦い…仏、ドイツの進撃を阻止→シュリーフェンプラン挫折
- 10月 オスマン帝国参戦…オスマン帝国は第一次バルカン戦争敗退後、ドイツに接近しており参戦
- 8月
- 1915
- 4月-5月 イープルの戦い…ドイツ軍初めての毒ガス使用
- 5月
- ルシタニア号事件…客船ルシタニア号が独潜水艦に無警告撃沈され米国世論を刺激
- イタリア参戦…「未回収のイタリア」を獲得するためロンドン密約で連合国側で参戦
- 10月 ブルガリア参戦 第二次バルカン戦争敗退後、ドイツに接近しており参戦
(3)秘密外交の展開 ~イギリス三枚舌外交~
(4)大戦の転換点 ~1917~ アメリカ合衆国参戦とロシア革命によるソヴィエト政権の誕生
- 1917
- 2月 無制限潜水艦作戦…ドイツがイギリス封鎖をねらってとった通商破壊作戦。指定水路以外を航行する船を無警告で撃沈すると宣言。
- 3月 露暦二月革命…帝政ロシア崩壊。臨時政は戦争続行。二重権力状態
- 4月 アメリカ参戦…ドイツが無制限潜水艦作戦をとるとアメリカはただちにドイツと断交し、宣戦。
- 参戦理由:①ルシタニア号事件に米国人も多数巻き込まれたため対独世論を刺激、②ドイツに戦後世界の覇権を握られてしまうことの恐れ、③協商国への借款が回収できなくなることの恐れ、④ロシアの戦時体制が革命の勃発で動揺し、戦況がドイツに有利となる。
- 11月 露暦十月革命…ソヴィエト政権樹立。「平和に関する布告」で「無併合・無賠償・民族自決」の即時講和を表明
(5)大戦の終局
- 1918年に同盟国が次々と降伏し、ドイツで十一月革命が起こってWWⅠは終戦を迎える。
2.総力戦下のヨーロッパ
(1)新兵器の登場
- ②毒ガス…独軍がイープルの戦いで初めて使用。生物に有害な気体を用いた。
- ③航空機…大戦当初は偵察や軽爆撃。その後は航続距離の長い大型爆撃機や機関銃を搭載した戦闘機が登場し空中戦が行われた。
- ④戦車…英軍がソンムの戦いで初めて使用。チャーチルが農業用トラクターのキャタピラーを応用して開発させた。機関銃掃射を防ぎ塹壕を乗り越えることもできたので各陣営で開発が進んだ。「タンク」とは兵器開発上の暗号名「水槽」より。
- ⑤潜水艦…水面下を潜行して行動する軍艦。第一次世界大戦では敵の商船を攻撃することが主要任務。
(2) 総力戦 体制
- ②挙国一致体制…戦争や経済大恐慌など非常事態を乗り切るため、反対政党も加えて政府を支える体制。WWⅠでは英のロイド=ジョージ内閣や仏のクレマンソー内閣が有名。