環大西洋革命【3】 フランス革命の勃発と展開

1.フランス革命前夜

(1)ブルボン朝の財政難

(2)アンシャン=レジーム(旧制度)

  • ①特権身分…第一身分(聖職者)、第二身分(貴族)が国土の約半分を領地とし、免税特権を持つ。全人口の2%。
  • ②第三身分…平民(全体の98%)。荘園領主に納める地代や国に納める租税の重い負担に苦しむ。
    • →平民のうち生産手段を持つ有産市民をブルジョワジーといい、活動の自由を求めて旧制度に反発。

(3)財政改革の失敗

  • ①財政改革…財務総監のテュルゴー(任1774-76)、ネッケル(任77-81)は特権身分の免税特権廃止により財政再建を目指すがともに貴族などの反対で辞任、免職に追い込まれた。
  • ②名士会(1787)…フランスの財政産を救う新税審議のため開催されたが、新税実施を拒否し、全国三部会開催を要求した。→ 一橋2013第2問;貴族の三部会開催要求は革命か反乱か
  • ③英仏通商条約(1786)…イーデン条約。産業革命の英製品が流入し、仏は経済不振となる。

(4)アンシャン=レジーム批判

  • アベ=シェイエス…第三身分出身の聖職者。1789年初頭、『第三身分とは何か』で特権身分を批判して世論に大きな影響を与える。→「第三身分はフランスの全てであるが、権利おいては無であり、彼らは何者かになることを求めている」

2.三部会(1789.5)の空転

  • ☆第一身分300名、第二身分300名、第三身分600名が議決方式をめぐる対立で議論に入れず。
    • ⇒ 一人一票(→第三身分に有利) or  一身分一票(→特権身分に有利) で対立。

3.国民議会

  • 1789.6.17 国民議会設立宣言
    • 空転する三部会のなか第三身分議員たちが自らを国民全体の代表と宣言して「国民議会」を名乗り、特権身分の一部も合流。6/20にはテニスコートの誓いで憲法を制定するまで国民議会を解散しないことを宣誓。6/27には国王から承認を取り付け、7/9に憲法制定に着手し、憲法制定国民議会となった。
  • 1789.7.11 優柔不断なルイ16世がネッケルを罷免 → パリ市民の不満が高まりデモの激化
  • 1789.7.14 バスティーユ襲撃 →「大恐怖」…全国各地で農民が領主や買い占め商人、高利貸を襲撃
    • 国民議会の対応
  • 1789.10  パリの食料事情が悪化 →十月事件(ヴェルサイユ行進)で国王一家をパリに連行
  • 1789~91 諸改革の実施…接収した教会財産を担保としたアッシニア債券・ギルドの廃止・度量衡の統一等
  • 1791.4 宮廷と議会の調停をしていた穏健貴族ミラボーの死亡
    • ⇒ヴァレンヌ逃亡事件(6月)…革命の急進化に怯えマリーアントワネットの母国オーストリアに逃亡するが失敗。  

4.立法議会

  • 1792.7 立法議会の「祖国の危機」を宣言 → 義勇兵を全国に募る。
  • 1792.8.10 8月10日事件…テュルリー宮殿を襲撃して王権停止。
    • ルイ16世夫妻がオーストリアと共謀しているとの疑惑から激昂したパリ市民と義勇兵ラファイエット率いる常備軍を撃破。テュルリー宮殿を占領し、王を幽閉した。この事件で国王夫妻の裁判と王政の廃止、つまり共和政の実現は不可避的となる。革命最大の転換点!!
  • 1792.9.20 ヴァルミーの戦いで革命軍初勝利 
    • 「ここから、そしてこの日から世界の歴史の新しい時代が始まる」(byプロイセン軍従軍中のゲーテ)

5.国民公会

  • 1792.9.20 国民公会召集 → 王政廃止と共和政宣言
  • 1793.1 ルイ16世処刑⇒2月、第1回対仏大同盟結成(革命軍の攻勢と国王の処刑を英のピットが警戒)
    • ⇒革命防衛のために改革を実施…①徴兵制(→反対するヴァンデーの乱が勃発) ②革命裁判所 ③公安委
  • 1793.6.2 ジャコバン独裁…公安委員会を最高執政機関とする
    • 1793年憲法…男性普通選挙・最も民主的な革命時の憲法とされる。( 実施されず )
    • 封建地代の無償廃止
      • ※1789年の封建的特権の廃止の時には、土地の所有権は領主にあるとして、農民の土地所有権は否定されたので地代は有償廃止だった。
      • ※封建地代の無償廃止により多くの農民が土地を得て自作農となり、革命への熱意を失った。
    • 最高価格令の拡大…1793年5月に公布、9月に拡大。ジャコバン派を支持するサン=キュロットへの食料の安定供給のため。やがて労働者からも反感を受けた。
    • 伝統の破壊…革命暦キリスト教の否定による理性崇拝の宗教
  • 1795.8.22 1795年憲法…独裁の再発を防止するため、制限選挙・二院制の議会と5人の総裁制。

6.フランス革命の歴史的意義

  • ①身分制社会の枠組みを壊す!→ブルジョワジーの政治的・社会的な活動への制約をなくす。経済活動の自由。
  • ②近代世界の根底を成す思想 →自由・平等・基本的人権などの理念。
  • 国民意識の強化  → 国民軍の形成・外国の干渉を排除する必要性から国民意識が強まる。