列強体制【2】社会主義思想の登場

1.資本主義社会の弊害

  • 資本主義経
    • 全体の目標(利潤追求)のために能率的に管理・運営する仕組み→人間は組織のなかに歯車のように組み込まれ、管理される→自己喪失感(自分の意志ではない何かに動かされている)・人間疎外(感情や生きがいを見失う)

2.社会主義の思想

  • 資本主義の矛盾…資本主義の目的は利潤追求であり、貧富の差や恐慌が発生する。
  • 解決方法…私有財産制の否定・生産手段の公有化・計画経済
  • 公正・平等な社会!

3.空想的社会主義

  • サン=シモン
    • フランス革命の激動を生き、合理的に経済が統制された搾取のない産業社会の創設を主張した。王侯貴族や僧侶が支配する旧社会を批判し、資本家や科学者や労働者などの産業者が、自主的に管理・支配する社会が、人類を解放すると考えた。
  • フーリエ
    • 商業の欺瞞性や資本主義の無秩序・無政府性と矛盾を痛感。サン=シモンとはことなり、産業が労働者を搾取すると指摘した。理想社会である協同組合ファランジュの建設を主張。
  • オーウェン
    • 工場経営者。環境や教育が人間に与える影響を考慮し、労働者の福利厚生を整備したら大成功して有名になる。のちにアメリカで共産主義的な共同体「ニューハーモニー村」を作るが失敗し全財産を失った。それでもイギリスで労働組合運動や協同組合運動を指導し、労働者・婦人・児童を福祉に尽力。
  • 空想的社会主義者の限界
    • 資本主義の矛盾を指摘し理想的社会を描写したが、資本主義の分析が不十分であり、新しい社会への道筋を認識せず。

4.マルクスの思想

  • 資本主義における人間疎外
    • 人間は類的存在であり、他者との関わりで生きる。そのため労働による自己実現と労働による社会連帯を求める。しかし資本主義のもとでは労働が苦役になる(労働の疎外)ので社会変革(すべての人間の解放が必要)を起こせ⇒ 「万国のプロレタリアート(労働者)よ! 団結せよ!!」
    • 生活への労働者の不満が、ナショナリズムの影響を受けて多民族を排除する方向へと進むことを懸念し、労働者の国際的団結による社会主義の実現を訴える。
  • 史的唯物論
    • 人間の物質的な生産活動を土台にして、それを反映する社会的・政治的・精神的な意識形態が形成されるという考え方。生産力と生産関係の矛盾から発生する階級闘争を社会発展の原動力とする。
    • 精神的物産(イデオロギー)である上部構造(法律・政治・学問・宗教など)は、社会・経済の仕組み(物質的構造)である下部構造(生産様式)に規定される。
    • 下部構造において、生産関係(奴隷主と奴隷・領主と農奴・資本家と労働者などの人間の社会関係)は生産力によって規定される。
    • 生産力は絶えず発展するのに対し、生産関係は変化しにくい。そのため生産力と生産関係に矛盾が生じ、革命が発生する。
  • 社会構造の進化
    • ☆新しい生産関係が成立すると、生産力は急激に上昇するが、各生産関係のもつ限界によって、生産力は次第に停滞する。この停滞は、階級闘争と革命により打破され、新しい生産関係が成立する。
    • 原始共産制奴隷制封建制→資本制→共産制と社会が移行する。封建制から資本制する際にはブルジョワ革命が起こり、資本制から共産制に移行する際にはプロレタリア革命が起こる。共産制に至ると、国家も階級も廃絶され万人が自由・平等となる。

5.社会主義共産主義の違い

  • 社会主義
    • 社会主義共産主義の低い段階だといわれる。この段階では国家が存続しており、「能力に応じて働き、労働に応じて分配される。」
  • 共産主義
    • 過渡的な社会主義を経て、国家が廃絶され高次の共産主義段階にはいると、「能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」ことのできる理想が実現している社会に到達できる。