2020-07-05 古アメリカ世界 受験世界史 前近代欧米史 1.アメリカ大陸における農耕文化発展地域の特徴 2.メソアメリカ文明 (1)メキシコ高原 (2)ユカタン半島(マヤ文明) 3.アンデス地方 (1)チャビン文化 (2)その後のアンデス文明 4.アステカ王国とインカ帝国 (1)メキシコ高原 (2)アンデス地方 5.北米大陸の文化 (1)メキシコ・ユカタン半島・アンデス以外のアメリカ文明 (2)ヨーロッパ人侵入直前のアメリカ(15世紀) 1.アメリカ大陸における農耕文化発展地域の特徴 ①メソアメリカ文明 a.特徴:メキシコ高原から中央アメリカにかけて成立した古代文明。暦・文字を用いたが、大型家畜(馬や牛)を持たず、鉄器・車輪を用いない点が特徴的。大河の灌漑によらない独自の農法を発展させた。 b.代表例:メキシコのオルメカ文明・テオティワカン文明・トルテカ文明とそれに続くアステカ文明、ユカタン半島のマヤ文明などが代表的な文明である。 ②アンデス文明 a.特徴:南米アンデス地帯に築かれた古代文明の総称。段々畑や灌漑施設を発達させた。 b.代表例:チャビン文化に始まり、ティワナク・ナスカ・チムー・インカなどの各文明が代表的。 2.メソアメリカ文明 (1)メキシコ高原 ①トウモロコシ農耕文化(前2千年紀ごろ~)…夏作雑穀で乾燥に強いため栽培されたトウモロコシはアメリ カの古代文明では聖なる食べ物とされた。海抜3000m程度まではトウモロコシが、それ以上の高地ではジャガイモが主に栽培された。 ②メキシコ高原の主要な文明の変遷 a.オルメカ文明(前1200年頃までに成立)…独特な巨石人頭像・ジャガー崇拝・ヒスイの重視・神殿ピラミッドが特徴的。 b.テオティワカン文明(前1C~後6C)…黒曜石製品の交易で栄え、羽毛蛇神を信仰した。太陽と月のピラミッドで有名。 c.トルテカ文明(10~12世紀)…テオティワカン文明を継承しトゥーラを中心に栄える。遠隔地や周辺地と交易したが、広域を支配することはなかった。 (2)ユカタン半島(マヤ文明) ①マヤ文明の変遷 前1000年頃…神殿ピラミッドが発達する。 前4世紀頃…各地に都市が成立する。 9世紀以降…南部から北部に中心が移る。 10世紀…メキシコ高原のトルテカ人の侵入を受ける。 15世紀以降…都市内や都市間の抗争が激しくなる。 16世紀…スペイン人により征服される。 ②マヤ文明の特徴 都市…マヤ文字で飾られた石造建築からなる都市 マヤ暦…二十進法を用いた数学・天文観測が高度に発達し、精密な暦法を作成。 農業…従来からの焼き畑だけでなく、灌漑をともなう定住農耕が行われていた。 3.アンデス地方 (1)チャビン文化 ①定住化…メキシコ高原からトウモロコシの栽培文化が伝来し定住化。 ②成立…前10世紀、美しい土器を持つチャビン文化が成立。 ③発展…紀元前後、宗教的な色彩の濃い都市文明に発展し、神殿がつくられた。 (2)その後のアンデス文明 ①特徴 大規模な灌漑設備がつくられ、トウモロコシ、ジャガイモの集約栽培やリャマ、アルパカの家畜化が進む。 ②主なアンデス文明の変遷 a.ティワナク…ボリビアのティティカカ湖畔の遺跡と、それによって代表される宗教文化。起源は前400年頃で、後500年頃までに神域の大半は完成し、それから数百年間アンデス地方の高原一帯に広がった。 b.ナスカ…1C~8C。ナスカ川流域のカワチ遺跡が中心。高度で繊細な彩文土器が有名。 c.チムー…12~15C。ペルーのモチェ河口に発展。織物・金属工芸の技術をインカ帝国に伝えた。 4.アステカ王国とインカ帝国 (1)メキシコ高原 ①チチメカ族…メキシコ北部に居住した狩猟民族。10世紀以降南下し、各地の文明を吸収・継承した。こうした移住集団のうち最後に南下したのがアステカ人だった。 ②アステカ王国(14~16C) 特徴:メキシコ中央高原に栄えた。貢納と引き換えに自治を認めた軍事的国家。1521年にコルテスにより征服された。 首都:テノチティトラン…14世紀、ティティカカ湖上の島に建設された。湖で広大な盛土畑が造成された。コルテスにより破壊され廃墟の上に現在のメキシコシティがつくられた。 (2)アンデス地方 ①ケチュア人…ティワナク文明ののちに起こった諸王国の抗争の中から勢力を増強。15世紀にインカ帝国を建設した。 ②インカ帝国 a.神権政治…インカの王は太陽の子とみなされ、絶大な宗教的権力をふるう。 b.広大な領域支配…帝国を4つの領土に分け、巡察使を派遣。 c.インフラ整備…全国に道路網と宿駅制度を設け、飛脚は首都クスコからエクアドルまでを20日で往復。 d.石造建築…巨大な石造の神殿や要塞の建設。 e.農業…高地に階段状に整備され灌漑網を持ったトウモロコシ畑がつくられる。 f.キープ…文字がないインカ帝国で用いられた、縄の色や結び方で統計や数字を記録する伝達手段。 g.滅亡…皇帝アタワルパの時代、1533年にピサロにより滅ぼされた。 5.北米大陸の文化 (1)メキシコ・ユカタン半島・アンデス以外のアメリカ文明 ①部族社会の形成…狩猟・採集民たちの部族的な社会が形成。 ②前300年頃…ミシシッピ川流域で農耕社会が形成。 ③12世紀頃…現在のニューメキシコ州やコロラド州に中央アメリカ文明の影響を受けた日干し煉瓦の集合住宅群がつくられる。 (2)ヨーロッパ人侵入直前のアメリカ(15世紀) ①平原部には農耕文化が広がる。 ②北米大陸の先住民たちは文字を持たなかったが、自然に順応した文化を営み、口承文化を発展。 ③土地所有権は存在しないが、狩猟権や財産権の考えは発達。