前近代東アジア史【1】中国古代文明と殷周時代

1.農耕都市文明のおこり

(1)黄河文明長江文明

※時期については諸説あり教科書・資料集によってバラバラである。

  • 黄河文明
    • a.仰韶文化(前5000?~前3000?) 黄河中流域に成立した新石器文化
      • 彩文土器(彩陶)…仰韶文化の特色。素焼きの土器に赤・白・黒などの顔料で文様をつけたもの。
      • アワ・キビを栽培し、豚・犬・鶏を家畜とし、半地下の住居に住み、環濠集落を形成した。
    • b.竜山文化(前2500?~前2000?) 黄河下流域に成立した新石器文化
      • 黒陶…薄手の黒色磨研土器。竜山文化の特色。
      • 灰陶…竜山期に現れた日常用の厚い土器。鬲(れき)→穀物を煮る。鼎(かなえ)→獣肉を煮る
      • 城壁を持った諸都市が出現、馬・牛の家畜化、養蚕業の開始
  • 長江文明
    • a.河姆渡文化(前5000?~前3000?) 長江下流域に成立した新石器文化。
      • 稲・ひょうたん・豆類、家畜の骨、漆器、高床式住居が発見された。
    • b.良渚文化(前3000?~前1600?)
      • 独特な玉器が大量に出土、墓地・祭壇・集落などの複合遺跡。

(2)都市国家「邑」の形成

  • ①前1000年代:濠や城壁で囲まれた大規模な集落を築く政治権力の出現
  • ②邑の形成…城郭都市。内部に王宮・祭壇・工作所・市場・住居など一切を備えており、政治・文化・経済・生活の単位。

2.殷と周

(0)建国神話

  • 三皇五帝とは…中国古代の伝説上の帝王。文明や国家・民族の起源を8神で説明しようとする。
  • ②三皇…伏羲(フクギ:漁猟の発明者)・神農(シンノウ:農耕の発明者)・燧人(スイジン:火食の発明者)
  • ③五帝
    • 黄帝(コウテイ)…五穀栽培を教え、初めて文字・音律・度量衡・医薬・衣服・貨幣を制定。
    • 顓頊(センギョク)…黄帝の孫。暦法の発明者。
    • 帝嚳(テイコク)…黄帝の曾孫。殷の始祖神。
    • 堯(ギョウ)…日月星辰を観測して暦を作成。舜に位を譲った。
    • 舜(シュン)…農業・工業を発展させ、治水に功績のあった禹に位を譲った。
  • 夏王朝…舜から位を譲られた禹が開き桀に至る伝説上の王朝。『史記』に記載されているが、文字資料などは発見されていない。二里頭遺跡との関連が指摘されており、中国では公式にその存在が認められている。

(1)殷 (前16C~前11C) → 確認できる最古の王朝。(後期の都は商。発掘された殷墟は商の遺跡)

  • ①政治史…湯王が夏の桀を滅ぼして建国。30代紂王の時、周の武王に滅ぼされた。
  • ②邑制国家…多数の邑が連合し有力な邑を盟主として従属する国家。殷自体も邑の一つであり、殷の王は自らの領域を統治しつつ、大小多数の邑を統率した。
  • 神権政治…盛大に神の祭りを行い、神意を占って国事を決定し、強大な宗教的権威によって支配する政治。甲骨文字は占いの記録に用いられた。
  • ④統治の特徴…高度に発達した青銅器、占いを記録する甲骨文字、西アジア起源の戦車戦術などで他の邑を従えた。

(2)周

(2)-1.西周 (前11C~前770) 都:鎬京
  • ①陝西の渭水盆地を拠点に興った周が殷を滅ぼす (牧野の戦い→周の武王VS殷の紂王)
  • 封建制度 ※封建→「土地の授受に基づく分権的な統治組織」
    • a.一族・功臣や土着の有力首長を世襲の諸侯に任じて各邑を支配させ、貢納と軍役を課す。
    • b.周王や諸侯は自領内の有力者に領地を与えて世襲身分の家臣(卿・大夫・士)として民を支配。
    • c.西周封建制=血縁関係…支配層のまとまりは、父方の血筋を同じくする一族(宗族)を秩序づける規範(宗法)によって保たれた。 Cf. 西欧中世の封建制=契約関係
    • d.後の春秋時代孔子が開いた儒家では、王(=天子)を君子補佐する西周の政治を理想とし、戦国時代の孟子は王道論で易姓革命を肯定!
      • 易姓革命…天命を受けた天子が悪政を行えば、天は天命をあらため(革め)、別の有徳者を天子とし、姓(王朝の名)をかえる(易る)とする。平和的な交代を禅譲、武力によるものを放伐という。
(2)-2.東周 (前770~前256) 都:洛邑
  • ①前8C :周が鎬京から洛邑に遷都し、東周の時代が始まる。
  • ②東遷の理由
    • 史記』では犬戎(けんじゅう)による鎬京攻略
    • 『竹書紀年』では王位継承問題による内戦
  • ③その後の周
    • 周は春秋時代までは権威を保っていたが、戦国時代には周王は諸侯に無視されるようになる。