雑録

前近代東アジア史【4】魏晋南北朝時代

  • 魏晋南北朝時代(220~589)とは
    • 後漢滅亡以降隋の中国統一までの約370年にわたる分裂時代の総称。
    • 匈奴・漢の二大帝国の枠組みがくずれ、遊牧社会・農耕社会が入り乱れて抗争・融合した時代。

1.中華の分裂と遊牧民の進出

(1)三国時代

(2)晋

  • ①建国・統一…265年、魏の将軍;司馬炎が帝位を禅譲させ建国。280年、呉を滅ぼして、中国統一。
  • 八王の乱(290~306)と五胡の侵入
    • 司馬炎の死後に起こった8人の王族による晋の内乱。各王が諸民族の武力を頼み、五胡の侵入を招く。
    • 304年、南匈奴劉淵が漢(前趙)を建国。
  • 永嘉の乱(311~316)と晋の滅亡

(3)五胡十六国時代 (304~439)

  • 永嘉の乱を契機に、華北にいた遊牧民の自立と新集団の流入が相次ぎ、西北の甘粛地方から東北の遼東半島まで、華北一帯で次々と王朝が起こる。
  • 華北に興亡した五胡(匈奴鮮卑・羯・氐・羌)と漢人の国家が1世紀以上にわたって興亡を繰り広げる。
    • 383年、淝水の戦い → 氐の前秦が殆ど華北を統一し、87万の大軍を率いて南下したが、8万の東晋軍により撃破された戦い。南北分立の形勢が決定的となった。
    • 386年、鮮卑の拓跋部が台頭し、拓跋珪北魏を建国(都:平城)。439年、太武帝の時に華北を統一!

2.南北朝とその社会

(1)北朝

  • 北魏
    • a.道武帝拓跋珪鮮卑出身。386年に五胡十六国時代北魏を建国した。
    • b.太武帝北魏の第三代皇帝。華北統一。寇謙之を重用して道教に帰依し、廃仏を断行した。
    • c.孝文帝…北魏の第六代皇帝。平城から洛陽に遷都し漢化政策を推進。北魏分裂の原因を作る。
      • 均田制…国家による土地給付とその返還に基づく土地制度。北魏では妻・奴卑・耕牛にも給付。
      • 三長制…均田制を施行するための村落制度。1党=5里=25隣=75家。党長・里長・隣長を置いて支配。
  • 北魏の分裂
    • 東魏北魏末の混乱の中で台頭した高歓が北魏一族の孝静帝を擁立し東魏を建国した。
    • 北斉東魏の実力者高洋が孝静帝を廃して帝位に就いた(文宣帝)。弟の時代まで勢いがあったが、後に寵臣が政治をとり、北周に滅ぼされた。
    • 西魏北魏最後の皇帝孝武帝は高歓の手を逃れて長安の宇文泰を頼ったが、宇文泰は孝武帝を殺害して文帝を擁立し西魏を建国した。
    • 北周西魏の実力者宇文泰が死ぬと甥の宇文護が実権を握り、西魏を廃して宇文泰の子;覚(かく)、毓(いく)、邕(よう)を次々と擁立した。だがそのうちの邕は宇文護を殺害して親政を行い、北斉を併合した。孫の静帝が幼くして即位すると外戚楊堅禅譲の形で国を奪い隋を建国した。

(2)江南(長江下流域)

  • 東晋…晋の王族司馬睿が即位して晋を再建。
    • 華北から多数の漢人貴族・農民が流入 → 江南開発+漢人文化
    • 北方との軍事的緊張の中で、武将が実権を握るようになり滅亡。
  • 南朝東晋以後、建康を都に漢人武将が建てた短命な宋・斉・梁・陳の4王朝。華北から南下した漢人貴族宋が上層部を占め、洗練された漢人文化が盛んとなった。

(3)魏晋南北朝時代の社会経済

(3)-1.土地制度
  • ①大土地所有制の進展 
    • 後漢末の混乱 + 豪族・貴族の大土地所有 → 農民が豪族・貴族の奴隷、隷属民となる
    • 国家が直接支配する土地と人民の減少 は、国家の財政、軍事力の基盤を危うくしてしまう
  • ②貴族の大土地所有制に対抗…大土地所有を抑制し、農民を把握・保護して税収を確保する必要が生じる
    • 屯田制(後漢末期・曹操)…所有者のいない荒地を国有地とし、流民を募って耕作させる
    • 占田・課田法(晋・司馬炎)…土地所有の最高限度を定め、農民に国有地を割り当て耕作
    • 均田制(北魏・孝文帝)…一定の基準で土地を支給する。北魏時代は奴婢や耕牛をも対象としており、その所有者である豪族に有利であった。
  • ③土地所有制限の限界
    • 結局、国家の農民確保、税収の基礎には役だったが、大土地所有制を防げなかった。
(3)-2.官吏任用制度の変化
  • ①漢の郷挙里選前漢武帝が制定した官吏登用法。優秀な人材を地方で選び、地方長官が中央に推薦した。
    • 地方長官が人材を推薦していたたため、豪族の子弟が多く推薦されて官僚となる弊害が生じた
  • ②魏の九品中正(九品官人法)…中央から地方に中正官を派遣し、人材を9ランクに評定して中央に報告させる。
    • はじめは個人の才徳に基づいていたが、中正官と有力豪族が癒着し、豪族が中央官界に進出
  • ③豪族の貴族化 「上品に寒門なく下品に勢族なし」 →門閥貴族の形成