1.日本の風土と人々の生活
1-1.日本の風土
- 人類は風土の影響を受ける →和辻哲郎は『風土』の中で人間を類型化する。
- モンスーン型…自然は豊かな恵みをもたらすが猛威をもふるうので、人間は[② 受容的・忍従的 ]になる。
- 砂漠型…自然は過酷であり、生き延びるための戦いを強いられるので、人間は対抗的・戦闘的になる。
- 牧場型…自然は穏やかで規則性が発見できるので合理的な思考が育ち、人間は自然に対し支配的になる。
- ※日本は特殊なモンスーン型…日本は台風と豪雪を特徴とするので、台風的激情・戦闘的な力強さとしめやかな情緒・静かな諦めの二重性格(「しめやかな激情・戦闘的な恬淡」)となる。
1-2.村落と生活
(1)村落共同体と他界
- 村落共同体
- →平地に構成される =山・海が平地の周囲を区切る →山・海は他界に通じる。
- 他界
- →神や仏の世界。死者の霊魂のおもむく世界。人々が生まれてきた原郷の世界
(2)祖先崇拝
2.古代の人々の考え方
2-1.神と祭祀
(1)アニミズム…さまざまな事物に霊的存在が宿るとする考え。
2-2.清き明き心(清明心)…うそ偽りのなく、何も包み隠さず、つくろい飾るところのない心。
2-3.罪と祓い
(1)罪と祓い
- 祭祀の妨害=共同体の安穏を脅かす「罪」。 ※西洋の「罪」意識とは異なる。
- 祓い…罪を除き去るための呪術 ※「罪」は取り除くことができる
(2)穢れと禊
- 穢れ…出産や死などの不可思議で畏怖すべき事態がおこると穢れが広まる
- 禊…川や海の水で身をすすぎ、穢れを除き去る呪術。 →現代の流し雛など
(3)日本文化の重層的構造
- 日本人=時代の推移とともに多様な外来文化を受容しながら、古来の文化も捨て去ることなく共存させる
- 和辻哲郎はこの現象を「日本文化の重層的構造」(「日本精神」『続日本精神史研究』)と呼ぶ。