『男たちの大和/YAMATO』を見た感想

戦艦大和の生き残りを養父とした女性が水没した地点に散骨しに行く話。
船を出すのは同じく生き残りで、女性の養父を上官とした元・少年兵。
元・少年兵は自分だけが死ねなかった自罰意識を抱えて60年間苦悩してきた。
散骨しに行く過程で、大和で勤務していた日々を回想していく(映画の主な内容)。
最終的に元・少年兵はこれまで生きてきた人生の意義を見出し救われる。
戦艦大和は無意味だったのかという問いに対する答えでもある。

自分だけが生き残ってしまったと戦後60年間苦悩してきたお爺さんが救済される

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  • 人は意味の無い死に耐えられない為その正当化を図るが、そもそも生きることに意味など無いので生き残っても煩悶する。
    • 主人公は戦艦大和に乗船していた元・少年兵の生き残りのお爺さん漁師。戦後60年を生き残ってしまった自罰意識を抱えて生きてきた(本作は2005年作製)。このお爺さんが戦艦大和でのトラウマを解消して救われるというのが大きな流れである。
    • トラウマ救済をするのが少年兵の上官を養父とした女性。元・少年兵は自分だけが生き残ったと思っていたが、色々と良くしてくれた上官もまた生き残っていたことが判明する。そして上官は戦争孤児たちを引き取り養育していたのだとかいう。上官は戦後60年を全うして死亡、養女の女性は大和水没地点で散骨したいという意志を持っていた。
    • 水没地点まで漁船を駆る中、元・少年兵は大和で勤務していた若き頃を思い出していく。題材となる海戦はレイテと沖縄特攻。特に沖縄特攻の際には犬死に耐えられないグループと悠久の大義を掲げるグループが対立するところが見どころ。ここでは幕末明治の薩英戦争・馬関戦争が引き合いに出され、負けてから目覚める論が提唱されて、その先駆けとなるのだと説得され幕引きとなる。襲い来る飛行機に成す術もなく一方的にやられていく戦艦大和のシーンはさすがに魅入ってしまう。その後、運よく生き延びた少年兵が、遺族から生き残ったことを糾弾・罵倒されたため、戦後60年苦悩することになる。
    • ラストシーンではついに戦艦大和水没地点へと辿り着き散骨する。その際、女性から戦後における上官の生き様と言葉を聞かされたことで、元少年兵は自分が生き残ったことの意味・自分の人生の意味を見つけることが出来た。こうして60年の苦悩から解放されることになってハッピーエンドとなる。

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