雑録

倫理 日本思想【3】日本人と儒教

1.儒教の受容

  • 中近世…禅僧により朱子学が伝来。戦国時代末期には藤原惺窩が登場。
  • 近世…幕藩体制が成立してから大きく発展→権威と権力の問題
    • 伝統的権威によらず、実力で支配体制をつくりあげた幕府が、儒教を利用してその統治を正統化する理論とした。

2.朱子学

  • 林羅山江戸幕府のもとで朱子学の官学化をおしすすめる。
    • 居敬窮理
      • 理…万物をつらぬく理論、天理ともいう。「天は高く地は卑し、天は高く地は低し、上下差別あるごとく、人にもまた君は尊く、臣は卑しきぞ」    
      • 敬…つつしむ。欲望を抑えて精神をつつしむ。      
      • 居敬窮理…敬によって心と理を一体化→上下関係を尊ぶ。
    • 上下定文の理
      • 理=天理
        • 万物の間には上下尊卑の秩序がある。人間社会の法則としての人倫の道も同様。
        • 封建社会の身分秩序を正当化する=君臣関係では君は尊く臣は卑しい。
        • 父子・夫婦・兄弟のあいだでも同様。
    • 存心持敬…敬(つつしみ)をもって心を保ち、上下の身分秩序に従って行動する。
  • cf.朱子学幕藩体制
    • 敬によって私利私欲を厳しく戒め、理(天理)との一体化を求める教え→支配階級である武士の自覚を促す。
      • 新井白石…6代家宣・7代家継治世下で正徳の治。元禄期の幕政を修正。儀式典礼を整備した。
      • 雨森芳洲対馬藩に仕え朝鮮との善隣友好外交に努力した。
      • 山崎闇斎…敬(つつしみ)を臣下の内面を正す道として強調。

3.陽明学

  • 孝の徳 中江藤樹 → 朱子学批判
    • 朱子学の敬はうわべだけの形式主義で、行動と心の在り方が一致しない
    • 時・処・位…時と場所と身分に応じて道徳を実現していく。
    • 孝…愛し敬う心(愛敬、まごころをもって人に親しみ、上を敬い、下をあなどらない)→宇宙万物をつらぬく普遍的な原理。人間の内面に根差し万人に共通する道を求める。
    • 良知…孝の奥底には、すべての人は理非を正しく知ることができる能力は備わっている。
    • 知行合一…良知を行いにあらわすこと。行うことは知ることの完成である。
  • cf.貝原益軒
    • 庶民の道徳に貢献。朱子学が持つ反面合理的・批判的精神の側面から「信ずべきを信じ、疑うべきを疑う」として実証主義的精神を唱え、西洋科学を受容する素地を作った。

cf.江戸時代の仏教

  • 現代の仏教 → 葬式などで根強く日本文化に残っている ⇒葬式や法事の制度は江戸から
  • 寺請制度(檀家制度)
    • 江戸幕府キリスト教を禁じるために、民衆を仏教の寺院に帰属させ、その信徒であることの証明を寺から請けさせた制度。幕府が寺院を通して民衆を統制する。
  • 宗門人別帳
    • 民衆はいずれかの寺で檀家になることを義務付けられており、その時に作成された戸籍。引越しや旅行の際には、その寺の檀家であることを証明する寺請証文が必要とされた。
  • 葬儀の整備
    • 家には仏壇が置かれ、葬式や法事の際には、僧が招かれるようになった。寺院にとっては収入が保障される経済的な基盤となった。