雑録

ゴールデンカムイ樺太編(5)「樺太には3つの少数民族が生活している」の感想・レビュー

アシㇼパさんを少数民族独立運動の指導者に育てるシリーズ。
主権国民国家体制に呑み込まれて消滅していく文化を目の当たりにしていく。
ウィルタの天葬が改宗により土葬に変えられていく衝撃がアシㇼパさんを襲う。
こうしてアシㇼパさんは少数民族の生き残りをかけてアイヌ運動に身を投じていく。
コタン周辺で狩猟生活に満足しヒンナヒンナしていたアシㇼパさんはもういない。
アイヌの金塊をアイヌ独立/文化保存に用いる為、戦いに身を投ることになるのだった。

アシㇼパさんの民族的覚醒とイノセンス性を崇拝する杉元との乖離

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  • キロランケの狙いは金塊の暗号だけではなくアシㇼパさんに民族的自覚を促すこと
    • 今回はアシㇼパさんパート。敷香から北緯50度以北を越え、帝政ロシア領に侵入していきます。キロランケはなんとアレクサンドル2世の暗殺に加わっており(という設定であり)、未だにその命をロシアから狙われていました。若い時にアシㇼパさんの父とキロランケに出会っている鶴見篤四郎はそのことを重々承知であり、キロランケが国境侵犯を行うことを前もってロシア側に流していたのです。そのためウィルタ接触してトナカイで国境を越えようとしていた苦労も水の泡となり、国境警備隊に狙撃されることになります。狙撃手同士の戦いということで、次回は尾形回です。
    • アシㇼパさんターンは兎にも角にも少数民族の文化が磨り潰されていくことを目の当たりにするアシㇼパさん様子がしつこいくらいに描かれていきます。これがキロランケの最大の狙い。金塊の暗号よりも重要な点です。アシㇼパさんが父から男として狩猟生活を教え込まれたのは技術的側面でしたが、キロランケの実地教育が精神的側面を育てていくのです。こうしてアシㇼパさんは周囲の大人の狙い通りにアイヌ文化の守り手となるように思い始めてしまいます。一方で杉元はアシㇼパさんのことを純粋無垢な崇拝の対象に祀り上げてしまっていました。二人が分かたれていた間に、大きな溝が出来ており、この後ひと悶着起る伏線となるのです。最終的には杉元がアシㇼパさんの独立運動に理解を示すことで決着がつきますが、そうするとこの漫画はどうやってアイヌ問題にケリをつけるのかが非常に気になります。

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