1.カントの批判哲学
- 批判哲学…経験論と合理論を批判・総合して理性の能力を吟味する哲学。
- ヒュームによる因果律の否定
- 合理論者であったカントに「独断のまどろみ」を破らせる。
- ア・プリオリ…経験的な認識に先立つもの。
- 普通の考え方だと、人間は物を「認識」する際、「物」という対象を、見たり触ったりなど「知覚」することによって、「物」が存在していると分かる。(「本」を認識する際には、対象の「本」を目で見たり、触ったりして知覚することで、存在している「本」だと分かる)。しかし、それは間違いだとするのがカント。人間が知覚したとしても、それが何かという「概念」が無ければ「物」は「存在」できない。私たちが「本」という概念を知らなければ、「本」は存在せず、その「物」はただの「紙の束」。本という「概念」は、本があるという「認識」に先立っている。
- 「現実の何ものか」(現実に存在している物体)+「"本"という概念」→「ここに本がある」という認識。
- ※認識=感性(感覚を受容する)+悟性(概念を形成する)
- 理論理性におけるコペルニクス的転回
- 認識とは対象である「物」(客観)を、そのまま受け入れるのではない。(認識が対象に従うのではない)
- 認識とは、人間(主観)の働きによって「物」が現象として構成されることである。
- 認識が対象をなぞるのではなく、対象が認識に従う。
2.自律としての自由
- 自由と不自由
- 不自由…本能・欲求のまま、自然の因果法則に支配されて存在すること。
- 自由…良心や義務などにより、本能・欲求などの自然の因果法則から逃れられること。
- 人間は理性的存在であるので自由でありうる。
- 理性
- 理論理性…理性のうち、認識に関わるもの。
- 実践理性…理性のうち、意志に関わるもの。
- 理性
- 「人は何をなすべきか」
- 道徳法則…自然界に普遍的法則があるように、いつでもどのような場合でも誰にでも当てはまる普遍妥当性のある実践の法則。
- 意志の自律…自らが立てた道徳法則にみずから従うこと。カントはこれが自由であり、人間の尊厳だとした。
- 動機主義…道徳法則 is not「行為の規範」but 「心の在り方」。行為の結果よりも、その動機が重視される。
- Ex.「カネのために人を治療する名医」よりも「人を救う為に治療をする平凡な医者」。
- 道徳法則…自然界に普遍的法則があるように、いつでもどのような場合でも誰にでも当てはまる普遍妥当性のある実践の法則。
- 人格…道徳法則に自律的に従う主体。カントにとっては最高の価値。
- 人格の本質=行為の源泉である意志の良さ=善意志