雑録

天ノ少女「Grand END」の感想・レビュー

両腕の無い天使を描いた『天罰』に関連する3つの事件を解き明かす話。
天ノ少女の構成としては、前園編、八木沼編、色羽編の主に3つで成り立っている。
窪井逮捕、八木沼生存、色羽救出を満たすと六識を射殺してグランドエンド。
群馬県の榛名湖に冬子の分骨を埋葬し、魚住と杏子の結婚式で終わる。
主人公は冬子へのパラノイアから解放され、ステラと共感エンドとなる。
グランドルートだと六識の幕引きが少しあっけなかったかもしれない。
(あんだけひっぱったのに殻ノ少女像にホイホイ誘き寄せられて射殺されるとか)

前園静編

  • 前園静と窪井千絵の師弟愛百合
    • 天ノ少女の物語は、両腕が無く翼を持った天使の絵画(『天罰』)を巡る一連の事件から始まります。この絵画が公開されてから見立て殺人が3件起こり、最後は画廊を営んでいた笹倉啓太が殺害されます。最初の3件は前園静が、笹倉殺害は窪井千絵が起こした事件です。事の発端は前園静の妹多邑空が天使病という病に罹っていたことでした。天使病とはもともと両腕がなく肩胛骨が異常に膨張してしまうという奇病です。前園静はこの病気を持つ妹をモデルに『天罰』を描いたのですが、これが公開され衆目に晒されると天使病にコンプレックスを抱いていた多邑空は自殺してしまうのです。前園静はこの自殺した妹の死体を使って『天罰』と同じ像を作ることを思いつき実行したのでした。1件目の事件はこの多邑空の死体が用いられたのですが、前園静の死体だということにされます。そして前園静は残り2件の殺人事件を起こし、『天罰』に見立てた像をさらに作っていったのでした。その一方、前園静には百合的関係を持つ弟子:窪井千絵がいました。窪井千絵は愛する師匠と男女の肉体関係にあった雇用主である笹倉啓太を殺害します。窪井千絵はイタリア留学が決まっており渡航させてしまうと逮捕できません。前園静の支援が無いと6年後の佐枝色羽事件が解決できないので注意しましょう。

八木沼了一編

  • 八木沼了一の植物人間状態の姉に対する妄執
    • 天ノ少女の第2幕となるのが八木沼了一を巡る一連の事件です。八木沼了一は植物人間状態である姉に対して妄執を抱いていました。そこを六識命に付け込まれてしまうのです。姉を治療してやるぞと言われてそれに縋ってしまうのです。八木沼は逮捕されていた六識を移送する際、自分が担当になり六識にわざと拳銃で撃たれます。こうして六識はまんまと逃亡に成功するのですが、八木沼の姉は治療されることなど無く子宮を切除されて六識命に食べられてしまうのです。現実に気付いた八木沼は発狂して自殺を図ります。ここで八木沼を拳銃自殺させてしまうと佐枝色羽事件における貸金庫の鍵の捜査令状が取れずバッドエンドになります。八木沼了一を自殺させないようにうまく選択肢を選んで行きましょう。

佐枝色羽編

  • 主人公と冬子の娘
    • 八木沼編の後、イキナリ時間軸は6年後に飛ぶのでビビります。6年経っても、黒屋尚織及び彼が連れ去った主人公と冬子の間の娘は見つからないままでした。しかし児童失踪事件が娘発見に繋がっていくのです。天ノ少女第3幕は、これまた『天罰』の見立て殺人から始まります。この捜査の一環として調布飛行場周辺(調布と三鷹の市境)で発生した児童失踪事件の解決が求められます。調布三鷹エリアの3件の農家、佐枝家・鳴子家・多邑家で少女が失踪していました。このうち多邑家の少女:多邑春花は前園静と笹倉啓太の間の娘。佐枝家の少女:佐枝色羽は黒屋尚織が農家に預けた主人公と冬子の間の娘。鳴子家の少女:鳴子愛美は前頭葉に疾患のある異常者でした。児童失踪事件の真相は鳴子家によって引き起こされたものでした。前頭葉に疾患のある鳴子愛美は善悪の判断が出来ず少女ながらにして殺人を犯してしまいます。これを隠蔽するために愛美の父:鳴子昭之は地下壕に娘を閉じ込めるとともに、娘の要望に応じて同年代の少女を友達として攫ってきたのでした。『天罰』の見立て殺人を行ったのも鳴子昭之であり、それは少女たちの監禁で精神的に行き詰っていた鳴子昭之が周囲の耳目を集める為に起こしたものだったのです。
    • 鳴子事件を経てついに主人公は冬子の娘を見つけ出すことに成功します。本来ならば瑠璃と名付けられるはずでしたが、佐枝家では色羽と呼ばれて育てられていました。ここで最後にもう一波乱発生します。なんと主人公と同様に冬子に対して妄執を抱いていた朽木文弥がその娘;色羽を攫い、さらに朽木は六識命に付け込まれ色羽が連れ去られてしまうのです。これに対し、六識命に復讐を誓う八木沼が思いついた案が「殻ノ少女像」と色羽を交換すること。中原美沙の遺体を作って作られた「殻ノ少女像」を餌にすれば、六識命は釣られずにはいられません。色羽を連れてやってきた六識命を主人公が射殺してエンド。なんかあっけない幕切れ。

グランドエンド

  • 魚住と杏子の結婚式
    • ラストは群馬県の榛名湖で終幕を迎えます。朽木家から分骨してもらった冬子の遺骨を湖の畔に埋葬することでパラノイアから解放されます。杏子は主人公との過去の関係を清算して魚住と結ばれます。主人公の心には「死亡した婚約者」と「パラノイアの対象の少女」の2人がい大きなウェイトを占めていたから。結局、主人公はステラと「割れ鍋に綴じ蓋」的な関係を構築します。愛ゆえに結ばれるのではなく、主人公の欠けてしまった部分にステラの余った部分がうまく当て嵌まったという関係。さらに結婚式には茅原一家も呼ばれて複雑な関係性が解きほぐされていきます。こうして『殻ノ少女』シリーズはハッピーエンドで幕を閉じるのでした。