地誌【6】補論 アフリカ主要国まとめ

前回(アフリカ地誌)の補論

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1.北アフリカ諸国

(1)エジプト…都はカイロ、公用語アラビア語、人口約8100人(2010年)のイスラーム教国家!

  • イギリスから独立
    • 1914年、WWⅠ勃発により、英国保護国化。戦後、反英運動が起こり、イギリスはエジプトを懐柔するため条件付き独立を一方的に宣言。完全独立を求める運動はなおも続き1936年に対等な国家として独立。
  • 国境線
    • エジプト-スーダン間:[22°N]/エジプト‐リビア間:[25°E]⇒植民地時代[数理的]国境
  • 農業
    • ナイル川の洪水を利用して農業が行われ、小麦、ナツメヤシ、米、綿花などの栽培が盛ん。
    • 肥沃な土壌…氾濫するたびに上流から運ばれてきた養分を含んだ土壌が河川から溢れ出て、川沿いに堆積。
  • ☆アスワンハイダム(1971年完成)の功罪
    • 長所
      • 農業用水を安定して確保 ⇒ 灌漑農地の拡大 ⇒ 綿花の生産量が増加
      • 流量調節が可能になる ⇒ 洪水防止、水力発電による工業化(アルミニウム工業)
    • 短所
      • ダムを建設したことで洪水がなくなると、上流から運ばれてきていた養分に富んだ土壌が、ナイル川沿いの農地に供給されなくなる ⇒ 化学肥料を与えなければ農業ができなくなる。
      • 過剰な灌漑により、土中に含まれていた塩分が地表面に集積する塩害も深刻になる。

(2)アルジェリア…旧仏領。130年にわたる支配(1830~1962)を受けて、独立。(仏:ド・ゴール政権)

  • 気候…大部分がBW(砂漠気候)。アトラス山脈以北はCs(地中海性気候)。
  • 産業…原油天然ガスの生産国でOPEC加盟国。アトラス以南は遊牧とフォガラで灌漑農業

(3)リビア … 旧イタリア領。1951年に独立。アラビア語イスラーム教。

2.東アフリカ

(1)エチオピア

  • アフリカ最古の独立国 宗教は主にキリスト教コプト派、公用語はアムハラ語 
  • 人口約8300万人(アフリカではナイジェリアに次いで多い。)
  • 一人当たりGNI(国民総所得)はアフリカでも低い水準。最貧国のひとつ。
  • エチオピア高原南部のカッフェ地方はコーヒー豆の原産地。コーヒー豆はエチオピアの重要な輸出品。
  • 牧畜が盛んで牛の飼育頭数が多い。皮革製品も輸出されている。

(2)ケニア 旧英領(1963年独立) 公用語スワヒリ語と英語

  • スワヒリ語…アフリカ東岸現地語とアラビア語の融合言語。ケニアタンザニアなどで使用される。
  • ホワイトハイランド
    • ⇒白人が入植した高原地帯。ケニアは国土の中央に赤道が通過するが、標高が高い所は気温が低く過ごしやすい。そのため、高原地帯に白人が入植して、茶やコーヒー豆などのプランテーションが開かれる。世界有数の茶の生産国。

(3)マダガスカル 旧仏領(1960年独立←「アフリカの年」)

  • 主要民族…10世紀頃までに東南アジアから移住してきたマレー系(オーストロネシア語族)
  • 主要産業…稲作
  • 気候 
    • インド洋からの南東貿易風が中央部の高地にぶつかり、斜面に沿って上昇気流が生じるため、風上側の東部は年中多雨となる。
    • 風下側となる西部では降水量が少なくなり、南西部では砂漠気候(BW)や、ステップ気候(BS)が分布する。

3.ギニア湾沿岸

(1)ナイジェリア  旧英領(1960年独立) 人口約1.6億人(2010、アフリカ最大) ギニア湾

  • 宗教…かつての奴隷貿易の中心地 ⇒ 北部にはイスラーム教、 南部にはキリスト教
  • 気候と農業
    • 南部:熱帯雨林気候(Af、Am):カカオ豆・油やしプランテーション。キャッサバ
    • 北部:サバナ気候(Aw)とステップ気候(BS) ⇒北部に向かうほど降水量は少ない:遊牧、綿花、落花生
  • ニジェール川
    • 湿潤地域を水源として乾燥地域を貫流する外来河川
    • 河口部には上流から運搬されてきた土砂が堆積してできた広大なデルタ(三角州)
    • 河口付近には油田。輸出額に占める原油の割合は8割。 アフリカ最大の産油国OPEC加盟国。
  • 民族紛争…南西部:ヨルバ族 、北部:ハウサ族、フラニ族 、南東部:イボ族
    • ビアフラ内戦:油田地帯に分布するイボ族がビアフラ共和国として分離独立を宣言。ハウサ族、ヨルバ族は油田の権益確保のため一斉に反発し内戦に陥り、100万人以上の餓死者を出したうえ、イボ族は全面降伏。
    • 内戦終結後は、首都がラゴスアブジャに遷都され、民族融和を図る。

(2)リベリア 首都モンロビア

  • アフリカ最初の黒人共和国(黒人の独立国の中ではハイチに次ぎ2番目)。
  • 合衆国解放奴隷が建国。(英国解放奴隷の国はシエラレオネ)
  • 便宜置籍船国…船舶にかかる登録税などが安いため、先進国の海運会社などが船籍を便宜的にリベリアに置く。そのため商船保有量が世界有数になっている。

(3)コートジボワール(仏語で「象牙海岸」の意味)首都ヤムロスク 旧仏領

  • カカオ世界一の生産量(2010年)。コーヒーも増加。北部はゲリラ紛争地域。

(4)ガーナ 首都アクラは経度0度で本初子午線を通る

4.中南アフリカ

(1)コンゴ民主共和国 (旧ザイール・民族紛争を経てコンゴ民主共和国になる。西隣は旧仏領コンゴ共和国)

(2)南アフリカ共和国

  • b.位置と自然
    • アフリカ大陸南端。内陸部には1000mをこえる高原が広がり温和。
    • 1200m以上の高原はハイベルトとよばれ、ステップの草原となっている。
    • 気候
      • 南西部…Cs(地中海性気候)
      • 南東部…Cfb(西岸海洋性気候)
    • d.アパルトヘイト
    • 少数派である白人の特権を維持するための政策。現地のアフリカーンス語(オランダ系白人移民の言語)で「隔離」を意味する。住民を出生時の肌の色などで、4人種(黒人・白人・混血・インド系)に分類し、生活のあらゆる場面で区別した。ちなみに日本人は「名誉白人」として扱われ、アパルトヘイトをする南アと積極的に貿易を繰り広げたので、国連で名指しで批判された。
  • e.資源と産業
    • i.農牧業…西岸部では地中海式農業、ハイベルトでは小麦・コーン・牛などの商業的混合農業、中西部は企業的牧畜。
    • ii.鉱業…ヨハネスバーグでは、金・プラチナ・銀など。キンバリーや首都プレトリア付近ではダイアモンド。ドラケンスバーグ山脈の石炭、他にも鉄鉱石、ウラン、プラチナ、マンガンなどのレアメタル
    • iii.工業…各種の重工業が発達。日本をはじめ、ヨーロッパ諸国やアメリカなど先進国との結びつきが強い。ケープタウンはアフリカ最大の貿易港で、日本の遠洋漁船の基地としても知られている。