雑録

海と雪のシアンブルー「清木琴羽」シナリオの感想・レビュー

転勤族のために故郷を持てず自己肯定感が極端に低くなってしまった少女の話。
引っ越しを繰り返した少女が転入先に馴染むためには郷に従うしかなかった。
積極的に雑用を買って出て便利屋認定されることで居場所を得たのである。
そのため面倒ごとを押し付けられてしまう損な役割に甘んじていた。
だがしかし、だからこそ、人徳を得ており困った時には皆が助けてくれるのであった。
都合よく過去を忘れる系主人公や無理やり深刻にするエピソードも満載である。

清木琴羽のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 転入先のコミュニティで居場所を得る為には
    • 清木琴羽は親が転勤族であり引っ越しを繰り返してきました。そのため友人と深い関係を構築することが出来ずにいたのです。既存のコミュニティで自分の居場所を得るには郷に従うしかなく、雑用を引き受けることで役割を得ます。しかしそれは諸刃の剣であり、面倒ごとを押し付けられる便利屋と化し、いいようにこき使われがちでもあったのです。卒アル委員も同様であり、受験勉強をしなければならないのに引き受けなけばならない雰囲気になり、就任することになります。自己肯定感が低く、自分を卑下することで精神的な安定を図ろうとする少女を見て主人公は珍しく感情的になってしまったりもします。その理由は主人公が卒アル委員を通してヒロインの良さを知ったからでした。自分が魅力的だと思う少女が自己卑下ばかりするので、もっとポジティブになって欲しいという思いから来たものだったというオチ。
    • そんなこんなで淡い恋心を意識し始めた際、琴羽の方から付き合って欲しいと告白してきます。ただし期間限定で。主人公は推薦で上京することが決まっており、琴羽は故郷を作るために地元に進学することを決めてしました。主人公は遠距離恋愛をすると琴羽の負担となると考え告白しなかったのですが、、琴羽はせめて思い出が欲しかったのです。期間限定のお試しという枕詞を取り除くためには、琴羽の自己肯定感をマシマシにせねばなりません。琴羽の自己肯定感が低いのは、引っ越しを繰り返すことで「自分なんか誰も覚えてくれていない」という事実があったからでした。その筆頭となるのが主人公。なんと琴羽は主人公たちの暮らしている地域に幼少期に一時的に住んでいたことがあり、そこで主人公とも出会っていたのでした。琴羽がこの地域に住むのは2度目だったのです。ここで当然の様にゼロ年代ゲーでありがちな手垢に塗れた「主人公が都合よく過去を忘れている」というテンプレを2020年代初頭にもぶち込んで来るので驚きです。主人公が思い出すことでフラグが成立します。
    • フラグ構築後は結構強引な展開が目立ちます。シナリオ量をかさ上げするかの如く、ヒロインが受験日に会場に遅刻しそうになる危機や卒アルが印刷不良で卒業式までに間に合わなさそうな危機が発生します。後者のイベントでは卒業式に卒アルが無いのは寂しいから手作りの卒アルを作ろうとか言い出します。ここで琴羽の“人徳”が発動し、これまで琴羽に借りのあった人々が助けに来てくれたのでした。琴羽の人生は無駄では無かったんだ!!となります。こうして自己卑下が目立った少女は主人公との交際で自己肯定感を得てキャンパスライフを楽しむのでした。

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