雑録

【下馬評】2021年7月発売新作ノベルゲーは何を買ったら良いですか?

2021年7月発売の作品のうち、体験版をやったものは6本。何故かいつの間に祝日が移動しており、世間では4連休になるとのこと。そのため7月の新作は連休に入る前の水曜日(7/21)に発売される作品と、通常通り月末金曜(7/30)の作品に分けられます。大まかなジャンルとしては①SLGのマイスターシリーズと放課後エデュケーション、②シナリオゲーのアサガオ、③廉価版抜きゲーのスローライフ、④キャラゲーのフユキスとカンパネラ、といった感じ。フユキスはいつもの戯画マインだったので信者と学園モノファンが購入するくらいでしょう。予想が読めないのがカンパネラであり、作品全体の構造とギミックはとても興味深いのですが、如何せん日常描写のテキストがつまらなすぎる。吶喊した人は感想を教えてくださいね。

以下は個別評です。

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アサガオは夜を識らない。 (MELLOW) (2021-07-30)

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7月シナリオゲーの筆頭。記憶喪失の主人公はある学園に入学することになるのですが、その実態は一種の少年院であり、犯罪を犯した若年層を如何に構成させるかという実験施設であったというオチ。本作の舞台装置として面白いところは、若年者更生施設の欺瞞性にあると言えるでしょう。この実験施設は元々は研究者の崇高な思想のもとで作られたものだったのですが、様々な利権団体によって骨抜きにされており、今では女性研究者が自己の研究成果を破綻させないように取り繕っているだけになっています。寧ろ女性研究者の頑張りすら無意味なものであり、もう既にあればよいだけの施設、掃きだめと化してしまっている雰囲気もあります。この場合、女性研究者が精神崩壊する様が見どころとなるので是非頑張って欲しいところ。キャラについては一見するとまともそうである人物たちが倫理観おかしいという見せ方。主人公は躊躇なくナチュラルに規範を飛び越えることを常とし、メインヒロインも首切りウサギの死骸を抱いて夜の月明かりに佇むという異常性と狂気を孕んでいます。この箱庭的隔離施設で少年少女たちがどのように生きるのかを描き切れば良作になりそう。


 

天結いラビリンスマイスター (エウシュリー) (2021-07-21)

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エウシュリーのマイスターシリーズ。姫狩・神採・天結の三部作のうち、天結の続編。今回は魔術国家における迷宮の異変調査を行うというノリ。マイスターシリーズといえば、ダンジョン潜って素材集めてアイテム作って売買するというSLG要素が高く評価されてきました。しかし体験版をやった限りでは、今回は店舗経営要素が無くて残念。製品版では実装されるのかしらん?本作のストーリーで主役を張るのが、名門だけれども落ちこぼれである案内役の魔術師。この魔術師の幼馴染が魔術国家の迷宮内で人為的に異変を引き起こしており、それを解決するという展開になっています。この幼馴染魔術師は同じく名門でありながら、おそらく養子であることが匂わされており、拾ってもらった恩義に報いるために、異変を起こしているであろうことが伏線として張られています。一方で主人公とヒロインは精霊の幼女を娘とし疑似家族を形成。前作のコンセプトであった縁結びの神様を主軸として仲間を増やしていきます。マイスターシリーズは、世界観に独自の用語や設定が多く、下手をすると中二要素について行けなくなります。またSLGであることから莫大な時間をドブに捨てることが求められるので安易に手が出せませんな。


 

悠久のカンパネラ (ういんどみるOasis) (2021-07-30)

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ういんどみるのカンパネラシリーズ。「祝福」との繋がりは体験版の時点ではあんまりない。100年前の英雄が封印から目覚め、闇落ちしたカノジョを責任もって殺すというのが物語の目的。マップ移動しながらシナリオを進めていくのはRPGっぽい雰囲気。しかしながら日常パートのテキストはあまり面白くなく読んでいて辛いものがあります。王国の王女さまが国民の支持を取り付ける為にアイドルをしているという設定。主人公の封印は100年ものであったにも関わらず、期限の数年前に解けてしまい無気力状態になっていたところ、このアイドル王女のライブを見て活力を取り戻し、推しとなったという流れ。そしてこの王女が旅する時に、主人公は国王に命ぜられてパーティー組んで手助けをしていきます。この仲間に100年前に旅した仲間が加わり、今回の冒険が行われます。本来ならば、この王女アイドルがメインとなるべきなのでしょうが、シナリオ的に100年前に何があったかの方に興味が引かれがち。彼女が空気とならないことを願うばかりです。


 

フユキス (戯画) (2021-07-21)

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戯画マイン。メーカー戯画がひたすら出し続けている学園モノがキスシリーズです。その殆どが単なるキャラゲーで終わっており、名を残せたのは美術系の高校を舞台に美術要素を上手く活かしてシナリオを深めた『キスアト』くらいです。キャラゲーのライトな学園モノの需要を見出して生産しているのでしょう。本作の場合は、ヒロインたちのアクの強さが目立ち、キャラゲーなのにヒロインたちに好感を持てないのが痛い所となっています。物語に特に目的などはありません。お人よしな主人公がぶっ飛んだヒロインたちに振り回されるのを眺めるだけのゲームと化しています。特に生徒会長は酷い。虚栄心と他者需要願望が強く、何でもかんでも仕事を安請け合いするくせに、結局仕事を抱え込み過ぎて勝手にフラストレーションをためるという困ったちゃんです。さらに発狂して屋上で仕事を押し付けるなと叫んでいるのですが、いやそれ押し付けられたんじゃなくて自分でかかえこんだだけでしょ?とツッコミどころ満載超巨大ブーメラン。さらに主人公を雑用係としてターゲットに定め、いいように扱うので見るに堪えませんでした。そしてもう一人のぶりっ子ヒロインもキツイ。タウン誌の読者モデルをやっているという設定なのですが、これまたいいように主人公を利用していきます。このヒロインのテキストは所謂おじさん構文となっていて語尾にハートマークをつけるような文章が多用されます。それを媚び媚びした声優の声で読み上げられるので、ちょっとした苦行になっています。


 

放課後⇒エデュケーション! ~先生とはじめる魅惑のレッスン~ (Escu:de) (2021-07-21)

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遊べるゲーム系要素を取り入れているのがエスクードというメーカーの特徴です。しかしゲームパートをウリにしているのに肝心のゲームがつまらないというのもまたエスクードの特徴です。昨今は無料で遊べるゲームがネット上に氾濫しており、ソシャゲも大量に転がっています。そんな中、エスクードが提供するのはどれも古臭さを感じるポチポチゲー。いやむしろプレイヤー層の高齢化に適応してレトロさ溢れる作業ゲーを提供しているのか?本作の場合は、昔懐かしきステータス上昇系ゲーム。コマンド選んでターン内で各パラーメータの上げ下げがあり、イベント発生条件の数値を満たしていくというモノ。そして解放されるイベントは、タイトル通り放課後の補習授業ということで、各教科の小ネタを通した女教師とのイチャラブとなっています。語学以外の文系科目は切り捨てられており、理系が中心となっているのも、ちょっと珍しいかもしれません。物理と化学。


 

奴隷姫騎士と奴隷侍女とのスローライフ (Waffle) (2021-07-30)

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なろう系。パーティー追放系ざまぁ作品。主人公は中堅冒険者だったものの先輩に裏切られてドラゴンをおびき寄せる為の餌とされてしまい人間不信に陥ります。結局、ドラゴンに手を出した代償は大きく囮とされた主人公だけでなくクエスト参加メンバーは全滅。たまたま主人公だけが生き残り、重傷を負いながらも財宝を掠め取って逃げ切れたという設定です。怪我で満足に身体を動かせないため、手にした財宝で奴隷を買うことになり、それが反乱で国が滅びて奴隷となった姫騎士と侍女だったというワケ。あまりにも高額すぎて買い手がつかずにいた所を主人公が買収。傷が癒えるまで森の中の小屋でスローライフを送ることにするのです。しかしスローライフ作品って言っても延々とスローライフを描いているだけの作品ってないよね?本作の場合も姫騎士と侍女の奴隷たちは裏切りにより国が滅びたと述べており、それが主人公の共感するところにもなっているので、結局、国家再興オチとなりそう。