雑録

クラウドファンディングにおけるコンテンツツーリズムの効果と文化財保護

次のコンテンツツーリズム論演習の授業で報告するネタ用のメモ。
『艦これ』で現地に関心を持った人々(所謂提督)が文化財保護に協力した事例報告。
(『ウマ娘』の引退馬事業の事例と対比する必要アリ!?)
返礼品が全くコンテンツと関係なくても寄付受納が集まるという事実を示したことに意義。
これまでの呉コラボ等により地域理解が促進されていたという文脈や背景が参考になる。

文化財保護をめぐる動き

戦艦大和の主砲を作った工作機械、それが大型旋盤15299機。敗戦後、神戸製鋼所に払い下げられ、その後株式会社きしろの手に渡り2013年まで使用されてきました。この大型旋盤が寄贈されることとなったのですが、文化財の収集、保管、展示には莫大な費用がかかります。少子高齢化と産業の衰退に喘ぐ行政にとって文化財のためだけに予算を配分することはできません。ネット上において、左からは戦争に関連する工作機械を展示するとは何事だ・カネが勿体ない・予算は老人福祉に回せと反対され、右からは屋内展示でないとは何事だ・プライドは無いのか・潮風で錆びると反対されています。

 
↓大型旋盤の輸送・展示に関するクラウドファンディング事業


コンテンツツーリズムの効果

上記のように、反対の嵐のなかで始まったクラファン事業、当初は絶望的ともされていましたが……。なんとコンテンツツーリズムの効果がクラファンにも効果を発揮しました。多くの方々がふるさと納税での控除やオリジナル万年筆、ナイトミュージアムを求めて寄付をしてくれていますが、その中には艦これファンの方々も散見されており、C2機関からは応援メッセージが届いてます。博物館に聖地巡礼するべくナイトミュージアムのツアー解説に申し込んだというツイートも見られます。まさにコンテンツの魅力が人の移動を生んでおり、それが文化財にも影響を及ぼしているという貴重な事例を目撃していると言えます。勿論、コンテンツを社会に活用しようとする場合、のうりん事件・献血事件・みかん事件等々、問題が起こることを考慮しておかなければなりません。特にゲーム媒体が成人向け仕様であるためセンシティブになりがち。娯楽的興味を契機として文化財にも興味関心を持ってもらうための工夫も必要です。

 
↓返礼品のナイトミュージアムツアーを求める道民の方々


歴史的意義

大型旋盤の歴史教育的な意義としては、すぐに思い浮かぶものを羅列しただけでも、以下のような歴史を教材化して学ぶことができます。①軍縮体制からの転換、②漸減邀撃作戦による艦隊決戦主義、③工廠における技術開発と軍港都市の成長、④1930年代後半における日独関係、⑤戦後の軍転法、⑥高度成長の終わりと産業構造の転換など、様々な歴史を文化財から辿ることができます。大型旋盤を実際に見ることによって大和の主砲の制作過程について思いを馳せることができるかと思います。パナマ運河によりアメリカは艦艇の大きさが制限されるので、日本は優位性を確保するために大型の主砲に走るも、時は既に空母機動部隊による艦載機に移り変わっていたという事実を感じることができるでしょう。

 
↓艦これとクラウドファンディングの効果