星の乙女と六華の姉妹 TRIAL EDITION の感想・レビュー

女装主人公お嬢様学園潜入モノ専門メーカーによる舞台少女養成学園モノ。
主人公の妹は容姿だけに特化したヒキコモリ系ダメ人間であった。
それを憂えた母親がコネを使って芸能界養成お嬢様学園にぶちこむ。
主人公は元子役であり妹をサポートするため実力で編入試験に合格する。
こうして妹を更生させつつタレント力を挙げる学園生活が幕を開けた。
体験版では様々な課題をクリアしながらスモールステップ的に成長していく。
主人公の過去のトラウマと妹の自立がシナリオの主軸となる。

元子役であった主人公のトラウマと真ヒロインである黒髪ロングの関係性が物語を動かす原動力

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  • 全体の構造と正ヒロイン・妹ヒロイン・真ヒロインの役割配分
    • 本作の体験版で主に印象に残っているのが3人のヒロイン。狂言回しを担うのが妹ヒロイン。カワイイだけのダメ人間である妹を更生するというのが全ての話の起点になります。またシナリオを動かしている力となるのが主人公の過去。かつて主人公はマルマルモリモリの子役として活躍したものの事件がありトラウマを抱え芸能界から身を引いた模様。その時に現在トップアイドルである黒髪ロングと様々な情交があったとのこと。この黒髪ロングもその時の思い出を大事にしており主人公の女装も一発で見抜き、暖かく見守りつつ自分の所にまで来てくれるのを待っています。故にこの黒髪ロングが真ヒロインであることは間違いないでしょう。グランド√でトリを飾るのに十二分な役割を持っていると言えます。
    • 惜しむらくは正ヒロインである正統派な茶髪。冒頭では編入試験で主人公と一緒にマルマルモリモリのダンスを一発キメて見事合格を果たし読者に印象付けを行うことに成功したのですが、その後は関係性が深まらず希薄化。一応主人公の妹の妹分という地位におさまり、主人公が女装していることに気付かないまま惚れていき、もどかしい思いを重ねていくという典型的なキャラに落ち着くことになります。妹と黒髪ロングが異彩を放っているため、ちょっと影になってしまった感があります。あともうひとりツンデレヒロインがいますが、作中内における個別√解説では抜きゲ枠になるとのこと。
    • これらのヒロインとの交流を楽しみつつ、芸能人養成所なお嬢様学園で様々なレッスンを積んでいくことになります。イメージとしてはお仕事も受けるレビュースタァライトのような学校。マリみて的お姉さまシステムもあります。スールの契りを結ぶのです。
    • そしてなんと言っても女装主人公モノは主人公が一番かわいくなくては始まりません。本作の主人公は見事その期待に応えてくれています。普段は妹の更生を第一に考えるお兄ちゃんとして獅子奮迅しますが、周囲を慮ったり相手を尊重したりする振る舞いにより天然ジゴロ的に周囲の好感度を爆上げしていきます。上述しましたが、元子役でそれなりに社会的評価も高かった主人公が何故芸能界から身を引いたのが一番の伏線でしょう。真ヒロインとの黒髪ロングとどのような経緯があったのかが気になる所。これを上手く処理できるかどうかで名作になれるか凡作で終わるかが決まりそう。真ヒロインという立ち位置は体験版ではあまり絡みが少ないのでキャラ表現の魅力をどのように提示するかが課題となりますが、本作は複数原画師であることを逆手に取り看板絵師担当のキャラデザにすることでプレイヤーを釣ることに成功しています。

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