血統と身分に基づく理想像によく応え、分別を弁えて自我を抑圧してしまう少女を解き放つ話。
ファインモーションは愛蘭王家出身でトレセン学園とラーメンに憧れて留学してきます。
レースで見たエアシャカールの走りにインスパイアされ、秘めた思いを疼かせることに。
そんなファインモーションの抑圧されたキモチに気付いたのが我らがトレーナー!
その人生を賭してファインモーションの夢を叶える覚悟と決意を示します。
トレーナーのおかげで自分の中の本当の想いに気付いたファインは父親と対峙。
トレーナーと二人三脚して選抜レースで1位を勝ち取り見事父親に認めさせるのでした。
フラグ構築後はラーメンを軸に「いつもの」「日常」が如何に尊いかが語られます。
1.王族として理想像に応える自己とその内面が持つ本当の欲求
ファインモーションは愛蘭王家の血筋を引く王女様。幼少の頃から走ることが大好きでしたが、淑女としての教育によりそれも断念。
トレセン学園に憧れて留学するも、走ることは禁じられており、ラーメン屋を梯子する毎日を送っていました。そんな
ファインモーションでしたが、ある時
エアシャカールのレースを見て興奮し、禁を破ってついつい走ってしまいます。それを見ていたトレーナーはファインの天賦の才と秘めたる想いに気付いたのでした。しかし一国の王女を相手にするということは並大抵のことではありません。トレーナーに覚悟と決意を持たせる存在が
エアシャカールとSPの隊長さん。二人によって忠告を受けたトレーナーは命を賭して少女の夢を叶える人生を完遂する覚悟を示し、
ファインモーションの抑圧されていた思いを解き放つのです。トレーナーのおかげで自分の内面と向き合った
ファインモーションが父親と対峙して王族としての理想像と自己の欲求を語るところは結構グッとくる場面です。たとえ進む先が茨の道だったとしてもってやつ。最終的に父親を納得させるためには結果を示すことが肝要。トレーナーに鍛えてもらうことを望んだ
ファインモーションと二人三脚し見事選抜レースで1位を勝ち取ります。
ファインモーションの走りを見た父親はここで娘の欲求を認め、トレーナーに託すのでした。フラグが成立!
フラグ構築後は、主にラーメンを主軸としてシナリオが進んでいきます。テーマは「特別でないただの1日」という「特別さ」。忍び込んだ迷子の子猫の飼い主を探すために「麺色」の脳細胞をきらめかせたり、森のハイキングで特製つけ麵弁当に舌鼓をうったり、ドラゴン退治(
ごっこ)を終えて常連となったラーメン屋の店主と交流したりなんだり。シナリオ終局部もやっぱりラーメン。冒頭のトレーナーとの出会い編はコンビニのイートインで
カップ麺のお湯を貰うことがきっかけでしたが、最後はインスタントラーメン(いわゆる袋麺)で締めるという徹底ぶり。まさにラーメンにより円環の理が発動し、全てのラーメンが繋がっているのです。ちなみにラストの袋麺編は、インスタントラーメンに投入する具を皆で探し求めるというもの。ラーメン屋常連編でもそうでしたが、王族である
ファインモーションにとって、日常こそが非日常であり「いつもの」毎日が過ごせることこそが何より「特別」なのです。これほどかというほど、表現手法はラーメンでしたが、ラーメンを通して
ファインモーションの人物像が掘り下げられたのでした。
ファインモーションが時折見せる
「日常」の有限性が、どことなく悲哀を感じさせてしんみりくるのに、少しビターになりそうな雰囲気をラーメンで全力回避するという流れになっています。