ヘンタイ・プリズン ROUTE3「波多江妙花」シナリオの感想・レビュー

違法ドラッグ販売を巡る九州ヤクザと新興宗教シスターの抗争劇。
九州一帯を取り仕切るヤクザの関係者が違法ドラッグ販売で捕まった。
そのヤクザのシノギは違法ではないものが中心だったのにどうして。
収容所で麻薬製造が行われていると睨んだ組長は謎を解くため冤罪で収容される。
そこで目にしたものはシスター系看守長による怪しげな密教的儀式だった。
この看守長は電子ドラッグにより囚人たちを洗脳して信者にしていたのである。
真相究明を目指すヤクザとそれを阻止せんとするシスターの攻防が展開される。

ヤクザの舎弟となって違法ドラッグ事件の真相を暴け!

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  • 優等受刑者への道①~2等受刑者になるため顔役として出世しろ~
    • 収容所といったらヤクザ。と、いうわけでヤクザヒロインである組長の姐さんの下で違法ドラッグ事件の真相究明に尽力するのがこのシナリオ。主人公くんはその胆力により組長に一目置かれる存在となると、心の杯を交わして組長の舎弟になります。なんでも組長は違法ドラッグ事件を追っており、収容所内で麻薬製造が行われているのではないかと睨んで調査をしているとのこと。犯人は新興宗教を唱えるシスター系看守長が怪しく、彼女が主宰する儀式に秘密を解く鍵があるみたい。しかしながら儀式に参加するには二等受刑者になる必要があるため、主人公くんはムショの顔役として次々と仕事をこなし、メキメキとその地位を向上させていきます。ついに二等受刑者となった主人公くんが見たものは、ぶっ飛んだ新興宗教の狂気だったのです。独自の宗教用語が飛び交う儀式の異常性はなかなかの破壊力があります。これで麻薬をやっていることは確定的明らか。組長は麻薬を横浜で売りさばいていた組織と手打ち式を行うことで一件落着に導くのですが……。そうは問屋が卸さない。なんとシスター系看守長の介入が入り、すべてはうやむや。主人公くんや組長は劣等受刑者に落とされてしまうのでした。

 
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  • 優等受刑者への道②~1等受刑者になるためカードゲームを売り捌け~
    • ここから這い上がるためにはシスター系看守長が麻薬を製造している確たる証拠を今度こそ見つけなければなりません。今までは組長の庇護がありましたが、組長も劣等受刑者になってしまったため、風当たりは冷たい。シスター系看守長は1等受刑者に対してはシャバの教会で説法をしており、これが怪しいということで、今度は1等受刑者を目指すことになります。それには申請書が必要で1枚50万円。刑務所の中では大金であり、おいそれと用意できるものではありません。主人公くんたちが思いついたのは、カードゲームを作り出し、囚人たちに流行らせることで、製造元として売り捌くこと。遊戯王を元ネタにした前戯王を作り、囚人たちからカネを巻き上げていくのでした。こうして申請書を購入して収容所トップの知己を得ると面接を突破して1等受刑者になることに成功。シスター系看守長が主催するシャバでの教会儀式への潜入に成功します。教会では大乱交が行われており、その狂気は収容所内での儀式よりも過激なものでした。圧倒されるなか証拠を回収するも、妻子を人質に取られた小沢が裏切り結局は失敗に終わります。

 
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  • 真相は電子ドラッグ
    • これまで失敗続きの主人公くんたちでしたが、シスターの方も目論見が露呈することを恐れて焦ってきます。主人公くんたちを強引に始末しようとするなど暴挙に出てきます。イカれたシスターは内部からも危険視されるようになり、主人公くんたちは収容所のトップ、武力鎮圧隊を率いる女帝の後ろ盾を得ます。サブキャラながら女帝の貧窮問答歌と崩壊家庭の様相が丁寧に述べられており、愛着が湧いてしまいますね。そして新興宗教勢力に対抗するため陣営を整えることになり、女看守や女囚人たちをその逸物で味方に引き入れていきます。組長ヒロインに鍛えられた夜伽術を他の女に使うと言う構図。また麻薬の解明も進んでいき、白い粉は単なる塩、聖水はただの小水であることが判明。麻薬は物理的な薬物ではなく電子ドラッグだったのです。仕込まれていた場所は風呂についている残り時間をカウントする電子蛍光板。この光を見るとラリって新興宗教に染まってしまうとのことでした。こうして全ての謎が解き明かされ、最後は二つの陣営が殴り合うバトル展開へ。ヤクザの下で修行を積んだ主人公の正拳突きが炸裂する。勧善懲悪的にシスターを倒してはハッピーエンド。
    • こうしてシスターが倒され全ては片付きましたが、今度はシャバが危うくなります。元々組長は違法ドラッグをばら撒いたという冤罪で捕まっていたワケですので、真相が分かればすぐにでも釈放されるハズでした。しかし主人公くんには女帝が刑務所を掌握するまでの手駒となることが要求され、10年間離れ離れになることを主人公くんが承諾すれば組長を釈放してやろうと条件が付けられます。躊躇する組長に対し、主人公くんはヤクザになることを告げ、若頭に就任。10年間のトンデモ生活で大活躍し、満期出所を果たします。主人公くんはヤクザたちに囲まれながら組長と再会、10年間の時間もひとっとびとなるのでした。

 
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  • ハミダシ者たちのセーフティーネット
    • ぬきたしの時代からそうでしたが、包摂と排除の原理の話はお涙頂戴ながらグッときます。今回はヤクザがハミダシ者たちの受け皿、セーフティーネットであると論じられます。全員が全員、社会に適合して生きていけるわけではないし、ある日突然仕事をクビになるなどして社会のレールから外れてしまうかもしれません。そんなハミダシ者たちを放っておけば社会はどうなるでしょうか。いわゆる失う者が何も無い「無敵の人」を生み出すことになります。ぬきたしでは社会の縁から切り離された秋野水引が、その具体的事例として描かれました。そんな社会からのハミダシ者たちを内包するためにヤクザ家業はあるのだと、組長は説いていくのです。社不を反社で内包する、それがヤクザで家族なのだと述べるのでした。


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