ウマ娘「メジロアルダン」シナリオの感想・レビュー

ホスピス系病弱ウマ娘が「自分の生きた軌跡」を残すため、その刹那を刻む話。
アルダンは入退院を繰り返しデビューすら果たせず全盛期が過ぎ去ろうとしていた。
それでも決して諦めること無く自分の不利を受け入れ必死で訓練に励んでいた。
走れる機会を逃さないことがアルダンとっては重要で適性外の選抜レースに挑む。
トレーナーはスカウトすれば無茶を防げると思い専属になることを提案するが……。
アルダンは選抜レースの後に来て欲しいと言い残し、自分の実力を示すことに拘る。
いつ死ぬか分からないアルダンにとって「今」を刻むことが全てだったのである!
その結果ダート1200でも結果を残し、約束通り、トレーナーのスカウトを受け入れる。
フラグ成立後は刹那主義者アルダンの想いを汲み取り、最大の理解者となっていく。
「今、この瞬間を輝かせるために命を賭すことは、私に許されたただ1つの権利なのです」

メジロアルダンのキャラクター表現とフラグ生成過程

1.自分は何のためにこの世に生まれて来たのか。自分が生きた証を残すために足掻き続ける生命の尊さ。

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刹那に命を賭すアルダンの矜持
  • ホスピスウマ娘メジロアルダン
    • トレーナーがメジロアルダンを初めて認識したのは病院で、入退院を繰り返しているホスピス系病弱ウマ娘だと知ることになります。両親はアルダンが死ぬことを怖れており競技者となるのは反対で、周囲からもその病弱さについて陰口を叩かれていました。しかしアルダンは決して屈することなく、自己の体調を見極めながら慎重にトレーニングを重ねていきます。トレーナーは偶然アルダンのタブレットを見てしまうのですが、そこには必死で試行錯誤する努力の成果が見て取れたのでした。アルダンの事が気になり始めたトレーナーは、たづなさんとアルダンが込み入った話をしている場面に遭遇し立ち聞きしてしまいます。アルダンの距離適性は芝中距離とのことなのですが、なんとダート1200の選抜レースに出るというのです。

  • 本格化と全盛期
    • ここで出て来るのは「本格化」の話題。ウマ娘が特異的な身体性能を発揮できるのは人生のごく一時期のみであると語られ、アルダンはレースに出ることも無く、その全盛期を過ぎ去ろうとしていたのです。出られる時に出られるレースに出るしかない。トレーナーはアルダンの無茶を知り自分がスカウトすれば不適正のレースに出ることもあるまいと説得するのですが、逆にアルダンはデヴューしたらどんなコンディションでも走らなければならない時があると反論します。そしてスカウトは選抜レースの後でと言い残すとトレーナーの元から去っていくのでした。スカウトを断られたトレーナーですが見守ることは忘れません。ダート1200に向けて調整を重ねる真摯な姿に惚れ込んでいくことになります。そしてアルダンは見事にその結果を示したのです。今までアルダンをディスってた方々が掌返しで賞賛するのですが、アルダンの目線はトレーナーのみ。並みいる人々を掻き分けてアルダンの下へ辿り着いたトレーナーが選抜レースの後に来たよと述べる所はグッとくる展開です。

 

2.人生の「今」、「その時」、「その一瞬」の刹那を輝かせることが出来るのは、支えてくれる理解者がいるから

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ウマ娘ナルキッソス
  • 刹那展でメジロアルダンが主人公に求めたものとは
    • フラグ成立後、アルダンにとってトレーナーは人生を捧げて献身する最大の理解者となっていきます。ぜひ皆さんにご覧いただきたいのはアルダンに連れられて赴く美術館の企画展。テーマは「刹那展」であり芸術家の遺作ばかり集められた展示でした。いつ死ぬか分からないアルダンにとって、それは自分も生きた証を残したいと願うその象徴だったのでしょう。特にアルダンがこだわったのが、屋外に晒された絵画。この作品の作者には活動を生涯隣で支えてくれたパートナーがいて、その絵画はパートナーに宛て、最期の力を振り絞って遺されたものだというのです。この事実を伏せたままアルダンはトレーナーに絵画を見せるのですが、それ即ち、トレーナーに自分が死ぬまでの生涯のパートナーになって欲しいということの隠された意図だったのでしょう。案の定、美術館デートの後には、アルダンが自分の決意を語る場面が挿入されることとなります。

もう、ご存じのこととは思いますが。……私は生まれつき、あまりに弱く、脆い体をしております。〔……〕主治医からは『率直に言ってレースに耐えうる体ではない』『ケガや故障と隣り合わせになるだろう』と診断されました。……両親は、いまだに私が競争生活を送ることに反対しています。私を失うことが恐ろしくて堪らないと、先日も電話で泣かれました〔……〕ですがーそれでも。それでも、です。トレーナーさん。いつ砕け散るとも知れぬ身です。メジロの、あるいはウマ娘たちの紡ぐ輝かしき歴史の中に、すぐ埋もれゆくこともあるでしょう。すぐに色褪せ、忘れ去られる。-それでも、『今』。今、この瞬間を輝かせるため命を賭すことは、私に許されたただ1つの権利なのです。短くとも。儚くとも。ほんのかすかな光跡であろうとも。私は私自身の生きた軌跡を、『今』にひと筋、残したいのです。

 

3.自分さえ知らない自分を知っていてくれる理解者(トレーナー)に心を許し甘えるアルダンは破壊力抜群

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理解者となったトレーナーに惚れ込むアルダン
  • メジロアルダンが清楚でお淑やかな理由
    • アルダンの決意を受け入れ心を交わしたトレーナーはアルダンを陰に日向に支えていきます。それこそ、刹那展の絵画の作者を支えたパートナーのように。そんなトレーナーに対してアルダンが惚れないわけがなく……。気高きアルダンがトレーナーにデレデレとなっていくイチャラブシーンは破壊力抜群となっています。アルダンが清楚でお淑やかな振る舞いをしているのにはワケがあり、メジロ家としての気品のみだけではなく、過去のトラウマがあったのです。それ即ち、しゃんとしていないと、病弱扱いされてしまうというのものでした。それ故、アルダンはいかなる時も背筋を伸ばして生きざるを得なかったのですが、トレーナーさんに甘えてもいいんだと受け入れられることとなります。

  • トレーナーに甘えるメジロアルダン
    • そしてトレーナーとの交流を通して、アルダンは自分でも知らない自分をトレーナーは知っていてくれることを実感するのです。こうしてアルダンにとってトレーナーは本当に心を開ける存在となっていきます。アルダンが言うにはトレーナーは止まり木であると。夏合宿の肝試しを終えた後、初めて人に甘えることを覚えたアルダンが、トレーナーの肩を借りたいと申し出、このまま眠ってしまっていいのかもしれないと述懐するところは最大の見せ場となっています。おススメ!!!最後にはアルダンがトレーナーの"未来"をも刻むと述べ、"永遠"にまでなるのでした。
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トレーナーの肩を借り身を寄せるアルダン
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未来を刻んで永遠になったアルダン