ウマ娘「轟け、エール!トレセン学園応援団」の感想・レビュー

リーダーシップ論。ついて来い式で失敗したキングヘイローが皆で作り上げる術を学ぶ話。
私的理由により応援団長となったキングヘイローはカリスマで団員の統率を図るが大失敗。
そんなキングをナイスネイチャは気晴らしに誘い、商店街の人々の団結を体感させる。
これによりキングは人々が手と手を取り合う大切さを学び上から与える事の傲慢さを知る。
一生懸命頑張るキングの姿は次第に団員の共感を生みキングの私的理由を応援するようになる。
個人的な都合で始めたキングが個を捨て集団を選ぶ一方で、集団はキングの個を支えるのである。

集団の上に立つ人間の資質~私的理由と全体目的の合一~

独善的なついて来い形式で失敗に陥るキングヘイロー
  • キングとネイチャと商店街
    • トレセン学園で開かれる春のファン感謝祭は体育祭(秋は文化祭)。カワカミプリンセスキングヘイローの助言を鵜呑みにし地獄の4000m障害借り物競争に出ることに。懸命に頑張るカワカミの姿を見たキングは情が湧き、応援団に入ってカワカミを応援しようとします。キングは自ら長に就任するのですが、気合だけが空回りし、団員はちっともついていけません。ファンと一緒に行う合同練習において恥を晒したキング。そんなキングに手を差し伸べることになるのが我らがナイスネイチャという寸法です。キングはプライドが高いので上手くフォローせよと助言を受けていたナイスネイチャは自分語りをすることで婉曲的にキングに団結とは何かを説こうとします。ナイスネイチャと云えば商店街であり、そこの皆が一致団結している姿を見せたのです。キングは商店街の人々と触れ合う内に自分の愚かさを悟ります。自分が良かれと思って他者を引っ張ろうとしても、相手の気持ちに寄り添わないと独善に過ぎないことを痛感するのです。こうしてキングは手と手を取り合って皆で集団を作り上げる尊さを知るのでした。

  • 私的理由と全体目的の合一
    • こうして団結とは何かを学んだキングは成長し、応援団の運営も上手くいくようになり、本番を迎えます。後は当日頑張るだけ!キングもネイチャも他の団員もファンと共に体育祭を盛り上げます。しかしここでアクシデント。なんとプログラム変更によりカワカミが出場する4000m障害・借り物競争の応援に行けなくなってしまったのです。キングは葛藤しますが私的理由を振り払い全体を取ります。自分が応援団に入った理由であるカワカミの応援を切り捨てたのです。そんなキングに対し団員たちは恩返し。キングにカワカミの下へ行ってと述べバンブーメモリーを代役に立てます。当初は私的理由によって応援団を始めたキングが個人的事情を捨て全体の目的を優先した心意気はエモいですし……そんなキングに対し最初は公共を私物化するとんでもないウマだと認識していた団員たちがその感情を理解するようになるという相互作用は巧みなシナリオとなっています。ワザマエ!

  • ネイチャとキングの仄かな友情
    • 団員たちのは配慮でカワカミの応援に駆けつけるも応援団はキングの一人だけ。しかしながらネイチャとの商店街体験で経たキングは周囲の観客の応援心に火をつけ、一緒に種目全体を盛り上げていきます。独りよがりに空回りしていたキングが一人一人と手を取り合い大きなうねりを作り出す場面はグッとくる展開です。こうして応援は成功裡に終わり、カワカミを励ますという目的は達成されたのでした。体育祭後、応援団は解散されましたが、ナイスネイチャキングヘイローの間に芽生えた仄かな感情は維持されます。二人でお茶をしばく関係になるのはステキ。時代はネイチャキングエンド。
ナイスネイチャの商店街で団結とは何かを知るキングヘイロー
失敗を反省して改善できる女キングヘイロー
私的理由と全体目的の合一
ナイスネイチャキングヘイローの仄かな友情

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